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つばもと
ふりがな文庫
“
鍔元
(
つばもと
)” の例文
直衛は座をすべり、懐紙を口に
咥
(
くわ
)
えて、静かに刀を抜いた。
鞘
(
さや
)
を左に置き、刀を垂直に立ててその切刃を見た。
切先
(
きっさき
)
から
鍔元
(
つばもと
)
まで。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
随竜垣に手を掛けて
土庇
(
どびさし
)
の上へ飛上って、文治郎
鍔元
(
つばもと
)
へ垂れる
血
(
のり
)
を
振
(
ふる
)
いながら下をこう見ると、腕が良いのに
切物
(
きれもの
)
が良いから、すぱり
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見
(
みん
)
と
拔放
(
ぬきはなし
)
ければ
鍔元
(
つばもと
)
より
切先
(
きつさき
)
まで
生々
(
なま/\
)
しき
血汐
(
ちしほ
)
の付
居
(
ゐる
)
にぞコレヤ
汝
(
おのれ
)
は大膽不敵なる奴かな是が何より證據なり
何處
(
どこ
)
で人を殺し
夜盜
(
よたう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
半蔵は青い
河内木綿
(
かわちもめん
)
の
合羽
(
かっぱ
)
を着、
脚絆
(
きゃはん
)
をつけて、すっかり道中姿になった。旅の守り刀は
綿更紗
(
めんざらさ
)
の袋で
鍔元
(
つばもと
)
を包んで、それを腰にさした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は両手に柄を
掴
(
つか
)
んで、
渾身
(
こんしん
)
の力をこめながら、一気にその
剣
(
つるぎ
)
を引き抜いた。剣は今し方
磨
(
と
)
いだように
鍔元
(
つばもと
)
から
切先
(
きっさき
)
まで冷やかな光を放っていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
そこの細工場でこつこつと刻んでいた千柿老人に
鍔元
(
つばもと
)
をさしつけながら、かたきが目の前にいでもするかのように、どもりどもりやにわといいました。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
われ巨人を切る事三
度
(
たび
)
、三度目にわが太刀は
鍔元
(
つばもと
)
より三つに折れて巨人の戴く甲の鉢金の、内側に
歪
(
ゆが
)
むを見たり。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
刀は侍の大切のものだから、よく気をつけるものだが、刀は関の
兼平
(
かねひら
)
だが、源兵衛へ貸した時、
鍔元
(
つばもと
)
より三寸上って折れた、それから刀の目ききを稽古した。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大久保は、馬車から引きずり降ろされて、六人の壮士から切りさいなまれた。ひとりの壮士は、とどめの短刀をもって、その
鍔元
(
つばもと
)
まで、大久保の
咽
(
のど
)
に突きさした。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
それより早く、一足飛びこんだ葉之助、ガッチリ受けて
鍔元
(
つばもと
)
競
(
せ
)
り合い、ハッと驚くその呼吸を逆に刎ねて体当り! ヨロヨロするところを腰車、
颯
(
さっ
)
と払って横へ抜け
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
脇差を抜き、
狙
(
ねら
)
いすましていた彼の一
閃
(
せん
)
はとたんに、大虎の
肛門
(
こうもん
)
をグサと
鍔元
(
つばもと
)
まで突き刺していた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鍔元
(
つばもと
)
から
鋩子先
(
ぼうしさき
)
と何度もうら表を返して眺めているうちに、名匠の鍛えた
豪胆不撓
(
ごうたんふとう
)
の刀魂が見る見る自分に乗り移ってくるようにおぼえて、かれは眼をあげて窓のそとを見た。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
階子
(
はしご
)
をさして天井へ上った、
警官
(
おまわり
)
さんの
洋剣
(
サアベル
)
が、何かの拍子に
倒
(
さかさま
)
になって、
鍔元
(
つばもと
)
が緩んでいたか、すっと
抜出
(
ぬけだ
)
したために、下に居たものが一人、切られた事がある座敷だそうで。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また、ケンカの時源兵衛にかしてやった関の
兼平
(
かねひら
)
が
鍔元
(
つばもと
)
から三寸上で折れていた。刀は侍の大切なものだから、こいつは気をつけなくちゃアいけないと気がついて、それ以来刀のメキキも稽古した。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
玄一郎は左手で刀の
鍔元
(
つばもと
)
を
掴
(
つか
)
み、眼前にいる男たちよりは、左側の叢林の中と背後にある暗がりのほうへすばやく眼をやった。
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
刀の
鍔元
(
つばもと
)
にてパチリと受流し、身を引く途端に伴藏がズルリと前へのめる所を、腕を取って逆に
捻倒
(
ねじたお
)
し。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
取りあげて
錵
(
にえ
)
、におい、こしらえのぐあいを、
巨細
(
こさい
)
に見改めていましたが、その目が
鍔元
(
つばもと
)
へ注がれると同時に、ふふん——という軽い微笑が名人の口にほころびました。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
鍔元
(
つばもと
)
から
切尖
(
きっさき
)
まで縦に刃の模様がついているはず、その模様が大波を打ったように大形についているのもあれば、丸味を持った
鋸
(
のこぎり
)
の歯のように細かくついているのもある
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大男は腰の
剣
(
つるぎ
)
を抜くと、
無造作
(
むぞうさ
)
にそれを
鍔元
(
つばもと
)
まで、大木の根本へ突き通した。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「まず弓を取って、
切先
(
きっさき
)
から
鍔元
(
つばもと
)
までしらべて見る……」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「云うだけ云ったら知らせろ」と、銀之丞は静かに提灯を傍わらの木の枝へぶら下げた、それからこちらへ向き直り、左手で刀の
鍔元
(
つばもと
)
を握りながら
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
井上真改の一刀は
鍔元
(
つばもと
)
から折れて
彼方
(
かなた
)
に飛び、水もたまらず島田の一刀を肩先に受けて、
凄
(
すさ
)
まじき絶叫をあとに残して雪に斃れる。それと
間髪
(
かんはつ
)
を
容
(
い
)
れず後ろから廻った岡田弥市の拝み討。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ときには左手で刀の
鍔元
(
つばもと
)
を握り、葭簀をあけて出ようとするが、まるで手足が自由にならないかのように、がたがたと震えながら
立竦
(
たちすく
)
み、また縁台へ戻るのであった。
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「むしろお相手をしましょう」と云って左手で大剣の
鍔元
(
つばもと
)
を掴んだ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鍔
漢検準1級
部首:⾦
17画
元
常用漢字
小2
部首:⼉
4画
“鍔”で始まる語句
鍔
鍔広
鍔際
鍔音
鍔鳴
鍔競
鍔口
鍔甚
鍔廣
鍔押