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金銭
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ふりがな文庫
“
金銭
(
かね
)” の例文
旧字:
金錢
「左様ですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、
金銭
(
かね
)
次第だ。
親父
(
おやじ
)
に一つ話してみましょう」
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
嫉妬
(
しっと
)
、
猜疑
(
さいぎ
)
、朋党異伐、
金銭
(
かね
)
に対する
狂人
(
きちがい
)
のような執着、そのために起こる殺人兇行——あるものと云えばこんなものばかりです。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
遊佐は気が小いから
可
(
い
)
かない。ああ云ふ風だから
益
(
ますま
)
す
脚下
(
あしもと
)
を見られて好い事を為れるのだ。高が
金銭
(
かね
)
の
貸借
(
かしかり
)
だ、命に別条は有りはしないさ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それでもまだ十分ではないと見えて、皇帝は話が
金銭
(
かね
)
の事になると、いつも「足りない、足りない。」と言つて
歎
(
こぼ
)
してゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そこでおれが心も
決定
(
きま
)
り、家庫を
金銭
(
かね
)
にして、東京へ引越したその後は。我が出所をば知られじと、籍も移して家も買ひ、身持律義にしてゐたれば。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
▼ もっと見る
ああ百円あったらなアと思うと、これまで
金銭
(
かね
)
のことなどさまで自分を悩ましたことのないのが、今更の如くその怪しい、恐ろしい力を感じて来る。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これは
less
(
レッス
)
を
加
(
くわ
)
えれば前例によれば
価
(
あたい
)
なきもの、つまらぬもののように聞こゆるが、その
実
(
じつ
)
意味は正反対でとても
金銭
(
かね
)
に換算の出来ぬもの
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まだこの
世界
(
せけえ
)
は
金銭
(
かね
)
が落ちてる、大層くさくどこへ行っても金金と
吐
(
ぬか
)
しゃあがってピリついてるが、おれの眼で見りゃあ
狗
(
いん
)
の
屎
(
くそ
)
より金はたくさんにころがってらア。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何うか遺失主を調べて返したいと思って居た処、お持主が其の
許
(
もと
)
であれば
速
(
すみやか
)
にお返し申すのみで、何も其の儘で壱銭も中の
金銭
(
かね
)
は遣い捨てません、それが
慥
(
たし
)
かなる証拠で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、友達と落合っても、
金銭
(
かね
)
のない彼等には、結局、大したことのできよう筈はなかった。最上の豪遊は、カフェーにでもはいって、みんなして一本のビイルを飲むことであった。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
有
(
も
)
って生れた
美貌
(
びぼう
)
が仇となり、無頼漢同様な、さる旗下の次男に
所望
(
しょもう
)
されて、嫌がる彼女を
金銭
(
かね
)
で転んだ親類たちが取って押さえて、無理往生に輿入れさせようというある日の朝
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
花馬車競技の会長たるの名誉をも与えようという華々しき
規定
(
さだめ
)
ゆえ、
素
(
もと
)
より
金銭
(
かね
)
に糸目をつけぬ封侯富豪、我れこそは今年の一等賞を獲得して、金銭に換え難き光栄をいだき取ろうと
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「そうですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、
金銭
(
かね
)
次第だ。親父に一つ話して見ましょう」
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
仮初
(
かりそめ
)
にも
一匹
(
いつぴき
)
の男子たる者が、
金銭
(
かね
)
の為に
見易
(
みか
)
へられたかと思へば、その無念といふものは、私は
一
(
い
)
……一生忘れられんです。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
道徳的といふのは、借りた
金銭
(
かね
)
をきちんと期限通りに返すとか、電車のなかで婦人客に席を譲るとかするのをいふのでない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
金銭
(
かね
)
に直して幾万円? 箆棒めえ借せられるものか! だが借したのは事実なのだ。……曰くがなけりゃアならないぞ……
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
拾うと直ぐ、
金銭
(
かね
)
! という一念が自分の頭にひらめいた。占たと思った、そして何となく夢ではないかとも思った。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
とぼけちやいけない、お園さん。己れも男だ、銭金づくで、お前の、おさきにや遣はれない。注込めといふ事なら、
金銭
(
かね
)
はおひおひ注ぎ込むが。先づ今日のところでは、働きだけを
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
しかし、師匠の寿信という人は、なかなかその道に手堅く、稽古をおろそかにしませんところから、その稽古はなかなか
金銭
(
かね
)
が掛かりました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
紳士たりといへども
金銭
(
かね
)
に
窮
(
こま
)
らんと云ふ限は無い、窮つたから借りるのだ。借りて返さんと言ひは
為
(
す
)
まいし、名誉に於て
傷
(
きずつ
)
くところは少しも無い
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お前は
金銭
(
かね
)
の事で屈託してゐるらしいが、さう心配するが物はない。今日
午過
(
ひるすぎ
)
に、お前の主人が頭が病めるといひ出す。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
拾った金の穴を埋めんと
悶
(
もが
)
いて又夢に
金銭
(
かね
)
を拾う。自分は
醒
(
さ
)
めた後で、人間の心の浅ましさを
染々
(
しみじみ
)
と感じた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「三万円!
何
(
ど
)
う
仕
(
つかまつ
)
りまして、これだけの書物が三万やそこいらの
金銭
(
かね
)
で
購
(
か
)
はれるものぢやございません。
如何
(
いかゞ
)
でせう、四万円といふ事に致しましては?」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そこで私は右の五十円を亀岡氏の番頭さんに渡し会計を頼んで金銭の入用の時はそれから支出してもらうことにして、その他
金銭
(
かね
)
の出入りはこの人に一任しました。
幕末維新懐古談:29 東雲師没後の事など
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「自分は
先日
(
こなひだ
)
以前の教師が困つてゐるのを見ながら、つい
金銭
(
かね
)
の
出惜
(
だしをし
)
みをした。それが今二千円も
奮
(
はづ
)
んで茶匙一本を買ふなんて、何て矛盾した事だらう。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
金銭
(
かね
)
のある人は金を出して逃れる道をした、その当時何んでもない
爺
(
じい
)
さま
婆
(
ばあ
)
さまが、思い掛けなく、金持の息子の養子親となって仕合わせをしたなどいう話があって
幕末維新懐古談:22 徴兵適齢のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
何事も
金銭
(
かね
)
で始末がつけられると思つてゐる
富豪
(
かねもち
)
にとつて、暑さは真実苦手であつた。何故といつて、お
太陽様
(
てんとさま
)
は女のやうに
金銭
(
かね
)
で
節操
(
みさを
)
を売らなかつたから。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして
金銭
(
かね
)
を五十円私に渡し
幕末維新懐古談:29 東雲師没後の事など
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
その折お前は何となく
睡
(
ねむ
)
つぽくなるだらうからそれをきつかけに主人に相談してみろ、
屹度
(
きつと
)
金銭
(
かね
)
は出来る。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
岸和田紡績の寺田
甚与茂
(
じんよも
)
氏は
金銭
(
かね
)
を出すのが何よりも嫌ひな老人である。今の実業家で自動車に乗りつけないやうな人は滅多にあるまいが、寺田氏はその一
人
(
にん
)
である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
金銭
(
かね
)
さへ儲かつたら、地獄へでも下りて
往
(
ゆ
)
くのが支那人の
慣
(
ならは
)
しである。手当が良いといふので、苦力は苦もなく集まつた。青年将校はそれを一
纏
(
まと
)
めに船に乗せて、
馬耳塞
(
マルセーユ
)
をさして海へ出た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“金銭”の意味
《名詞》
金銭(きんせん)
金でつくった銭。
お金、銭。
(出典:Wiktionary)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
“金銭”で始まる語句
金銭上
金銭出入
金銭斑々
金銭豹子
金銭登録器
金銭のための芸術