重疊ちようでふ)” の例文
新字:重畳
拜借はいしやく仕つり度是迄推參すいさん候といふに強慾がうよく無道ぶだうの天忠和尚滿面まんめんゑみふくみ夫は重疊ちようでふの事なりさてわけは如何にと尋ぬるに大膳はひざすゝめ聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わざりて篠山さゝやまえきのプラツトホームを歩行あるくのさへ、重疊ちようでふつらなやまれば、くまおもひがした。酒顛童子しゆてんどうじ大江山おほえやま
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
弓弭ゆはづ清水しみづむすんで、弓かけ松の下に立つて眺める。西は重疊ちようでふたる磐城いはきの山に雲霧白く渦まいて流れて居る。東は太平洋、雲間漏る夕日の鈍い光を浮べて唯とろりとして居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
外記 それは重疊ちようでふ。十吉とわしとは乳兄弟、達者と聞けば嬉しいぞ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
世話好せわずきなのが、二人ふたりつて、これかたはらかべけると、つばめでもがんでもなかつた。するところ樓臺亭館ろうだいていくわん重疊ちようでふとしてゆる𢌞めぐる、御殿造ごてんづくりの極彩色ごくさいしき
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
致して居しがまづ重疊ちようでふ左樣さやう御座らば立歸りよろこばせし上又あらためて出まする事に仕つれば何分なにぶん宜敷よろしくお頼申すとよろこびをのべわかれを告取散とりちらせし辨當など始末しまつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御意にかなへばそれで重疊ちようでふ、ありがたくお禮を申されい。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
づは重疊ちようでふむかつて齒向はむかつてでもられようものなら、町内ちやうない夜番よばんにつけても、竹箒たかばうき押取おつとつてたゝかはねばらないところを、とき敵手あひてげてくれるにかぎる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夫は重疊ちようでふ何分にも御頼み申とて引合ひきあはせしに大いに幸之進が心にかなひ母子共引取て大坂に差置さしおき不自由なき樣に金銀を送り半年ばかり世話せしにはや主人の供にて江戸へくだるに付き母子にも路金ろぎん并びに手形てがた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)