やり)” の例文
大岡殿聞れ大分其方は神妙者しんめうものと見える昨年より當年へかけ傍輩はうばいうちいとまを取てさがりしと云ふ者か又は不首尾ふしゆびにてひまやりしとか何か五兵衞方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せんに働いていた川西という工場のことを、小野田は心に描いていたが、前借などの始末のやりっぱなしになっている其処へは行きたくなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
無理やりに小さい実験台をいくつか押し込んで、三つの実験がやっと同時にやれるようになったのであるが、椅子いすなどは邪魔になってしようがない。
○あなた助けておやりなさい。○一体あいつをこんな難儀におとしいれたのは誰です。わたしですか。あなたですか。
例の誤訳退治の時、細君が「あなた本当に間違つてゐるのでないなら、なんとか云つておやりなさいな」と云ふと、木村は、「ところがなんとも云はないね」と云つた。
田楽豆腐 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ノドケにはのどの中をテレビン油でふいやります。それは筆の代りに鳥の羽の中ほどをむしって先の方をちょう位なかたちに残してテレビン油をつけて喉の中をグルリと拭くのです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
寝ては起き起きては物食ひその日その日を送行おくりゆく事さへ実はつらくてならぬ心地致され候。それ故三味線も切れたる糸掛換かけかへるが面倒にてそのまゝ打捨てうぐいすも先日鳥屋へ戻しやり申候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
猶太でも羅馬ロウマでも屁とも思わぬ爆弾演説を平気でやりつづけて来たのじゃから恐らく世界一、喧嘩腰の強い男じゃろう。日本の耶蘇教信者は殴られても泣笑いをしてペコペコしている。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たのしみと云ってひきずり出しておやりなさい、貴方は人がいからいけません
先刻判事が向いにやりしと云いたる医官二名出張し来りて此時までも共々とも/″\に手を取りて老人の死骸をあらため居たれば余は一方に気の揉めるうちにも又一方に医官が検査の結果如何いかゞほとんど心配の思いに堪えず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
田舎でやりかけようとしている仕事と、そこで人に囲われている女とから離れることの出来なかった兄の壮太郎は、そう言って話に乗易のりやすいお島をそそのかした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
よびやりけるに六右衞門は何事やらんと打驚怖おどろきすぐに其使ひとともに來て見ればあにはからん久八が主人に折檻せつかんうける有樣に暫時しばしあきれて言葉もなし五兵衞は皺枯聲しわかれごゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは門番の頭がぼうっとなる位の事は、わたしが遣って上げますから、あなた鍵を手に入れて、人間の手で女を引き出しておやりなさい。わたしは外に張番をしています。
むしって芽の所を出して見て、芽のけた奴は食う方へ入れる。芽の満足でいる奴は植える方へ入れるのだ。己が立って見ていると、江戸の坊様も手伝っておやりなさいと抜かしやぁがる。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
私しは皆にそう云てやりました目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
案内として其糸切村へ參らんと支度をなし神職夫妻にはいとまやり次右衞門三五郎寺社奉行差添さしそへ小林軍次郎奉行遠藤喜助同道にて夜四ツ時過より淡島道あはしまみち五十町一里半を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一月二月ひとつきふたつき小野田の住込んでいたたなでは、毎日のように入浸いりびたっていたお島は、平和の攪乱者こうらんしゃか何ぞのように忌嫌いみきらわれ、不謹慎な口の利き方や、やりっぱなしな日常生活の不検束ふしだらさが
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
取り巻いておやりなさるだけの値打はあります。5115