トップ
>
這
>
ばい
ふりがな文庫
“
這
(
ばい
)” の例文
宵子はまた足元の危ない歩きつきをして、松本の書斎の入口まで来て、四つ
這
(
ばい
)
になった。彼女が父に礼をするときには必ず四つ這になるのが例であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その男が飜訳物の探偵小説にでもある様に、犬の様に四つん
這
(
ばい
)
になって、その辺の地面を
嗅
(
か
)
ぎ
廻
(
まわ
)
ったものだ。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
愚僧は地上に落ち候まゝ、
殆
(
ほとん
)
ど気絶も致さむばかりにて、
漸
(
ようや
)
く
起直
(
おきなお
)
り候ものゝ、烈しく腰を打ち、その上片足を
挫
(
くじ
)
き、
四
(
よ
)
ツ
這
(
ばい
)
になりて人知れず
寝所
(
しんじょ
)
へ戻り候仕末。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
謂いつつ
燈
(
ともし
)
をふっと消す、後は
真暗
(
まっくら
)
、美人は
褄
(
つま
)
を引合せて身を擦抜けんと
透
(
すき
)
を
窺
(
うかが
)
い、三吉は捕えんと大手を広げておよび腰、老婆は抜かして
四
(
よつ
)
ン
這
(
ばい
)
、いずれも
黙
(
だんまり
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俗務をおッつくねて、課長の顔色を
承
(
う
)
けて、
強
(
しい
)
て笑ッたり
諛言
(
ゆげん
)
を呈したり、
四
(
よつ
)
ン
這
(
ばい
)
に這廻わッたり、
乞食
(
こつじき
)
にも劣る真似をして
漸
(
ようや
)
くの事で三十五円の
慈恵金
(
じえきん
)
に有附いた……それが
何処
(
どこ
)
が栄誉になる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
蒋門神
(
しょうもんしん
)
を四ツ
這
(
ばい
)
にさせて、武松、大杯の名月を飲みほす事
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの一行が測量の途次
茫々
(
ぼうぼう
)
たる
芒原
(
すすきはら
)
の中で、突然
面
(
おもて
)
も向けられないほどの風に出会った時、彼らは
四
(
よ
)
つ
這
(
ばい
)
になって、つい近所の密林の中へ逃げ込んだところが
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
香
(
かんば
)
しい、暖かな、とろりとした、春の野に
横
(
よこた
)
わる心地で、枕を逆に、掻巻の上へ寝巻の腹ん
這
(
ばい
)
になって、蒲団の裙に乗出しながら、
頬杖
(
ほおづえ
)
を支いて、
恍惚
(
うっとり
)
した
状
(
さま
)
にその菫を見ている内
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裏
(
うら
)
の窓も
開
(
あ
)
ける。窓には竹の格子が付いてゐる。
家主
(
やぬし
)
の庭が見える。
鶏
(
にはとり
)
を飼つてゐる。美禰子は例の如く
掃
(
は
)
き出した。三四郎は四つ
這
(
ばい
)
になつて、
後
(
あと
)
から拭き出した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
中
(
ちゅう
)
ッ
腹
(
ぱら
)
でずいと立つと、不意に膝かけの口が足へからんだので、
亀
(
かめ
)
の
子
(
こ
)
這
(
ばい
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々病人の部屋が
寂
(
しん
)
とするごとに、隣の女連の中へ、四ツ
這
(
ばい
)
に顔を出して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間の同情に乏しい実行も
大分
(
だいぶ
)
見聞
(
けんもん
)
したが、この時ほど
恨
(
うら
)
めしく感じた事はなかった。ついに天祐もどっかへ消え
失
(
う
)
せて、在来の通り
四
(
よ
)
つ
這
(
ばい
)
になって、眼を白黒するの醜態を演ずるまでに閉口した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「居やあしねえや。」と弥吉は腹ン
這
(
ばい
)
になって、
覗
(
のぞ
)
いている。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
這
漢検準1級
部首:⾡
11画
“這”を含む語句
這入
這出
這々
這般
四這
腹這
這奴
這上
出這入
這込
這個
這箇
這裏
横這
這入込
這奴等
這麽
夜這
御這入
這廻
...