みずか)” の例文
即ち一方においては、尊王の思想、天子に政をみずからせしめ、一国の全権を帰せんとするの思想にして、水戸派実にこれが魁首かいしゅたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
わがこの薬は、かしこくも月宮殿げっきゅうでん嫦娥じょうがみずから伝授したまひし霊法なれば、縦令たとい怎麼いかなる難症なりとも、とみにいゆることしんの如し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
己れ炊事をみずからするの覚悟なくばの豪壮なる壮士のはいのいかで賤業せんぎょううべなわん、私利私欲をててこそ、鬼神きしんをも服従せしむべきなりけれ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
新産の駒その生母を失えば同群中新たに産せし牝馬その世話をする(熊楠いわく、猫もこれと同じきはロメーンズも言い、予みずから幾度も見た)
その上疏も栄五郎の書いたのを透き写しにされ、みずから署名して、それを尾州公(徳川茂徳しげのり、当時玄同げんどうと改名)に託された。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
内乱の起る場合 は法王がかくれたとか、あるいはなお幼くしてまつりごとみずからすることが出来んという時に当り、ある大臣がをほしいままにするとか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
上代の政治は天皇の親政(すべての政治が天皇の意志から出、天皇が大小の政務をみずから執られるという意義でいう)
国王がみずから久高知念玉城に行幸されたのでありますが、『仕置』によれば、向象賢の頃には国王の名代として三司官さんしかんが行くようになっていたのであります。
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
しかるに当時余輩は尺度について未だみずから研究した事がなかったが為に、これについて多くを言うの自信が無く、ただ仮りに関野君言うが如きものであったとしても
法隆寺再建非再建論の回顧 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
これをがえんぜなかったが、王は怒って、「王璽は朕の物である」と言って、これを大臣の手より奪ってみずから勅赦状に鈐したるち、これをモールヴィーエーに返された。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
従って多くの場合に、レクタアが代筆したが、ただ或る霊が初めて通信を試みるとか、又は特に通信を強調する必要を感じた場合とかには、当事者がみずから筆を執るのであった。
そこで主将謙信は広瀬の方面に敵を圧迫していた諸将に速に兵をおさめて犀川方面に退却するよう命じ、みずからも柿崎等と共に背後の妻女山を迂廻して来た甲軍に当りつつ退いた。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかしそればかりでなく同時に「我みずから千人のあかを去らん」
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
おまけに校正まで私みずからせねばならぬ事になった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
みずか薬餌やくじを供す
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
奉仏兼大婬で高名な則天武后みずから上東門外に迎えたほどの傑僧で、『寄帰内法伝』は法師がかの地で目撃した所を記した、法螺ほら抜きの真実譚だ。
唐の太宗が貞観六年みずから罪人を訊問し、罪死に当る大辟囚だいへきしゅうらを憐愍れんびんして、翌年の秋刑を行う時
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
そうしてこういう道徳思想が儒教の経典の文字のままに、君徳の修養の指針とせられたのは、実は、天皇がみずから政治をせられなかったところに、一つの理由があったのである。
第六には田畠の事をみずからし玉うの類なり〔松陰家庭の活ける写真〕。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
神様にも動物の肉を供え、かしこくも古代の天子様は、御みずから肉食を遊ばされたのであります。また今日では、一般人民殆ど肉食をせぬものはありません。また皮を扱うものを以て賤しいとも致しません。
ごうも慈母の撫育ぶいくことなることなく、終日そのかたわらほだされて、更に他意とてはなき模様なりしにぞ、両親はかえって安心のていにてみずから愛孫の世話をなしくるるようになり、またその愛孫の母なればとて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
みずか麻衣まいを曳く
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ル・ヴァーヤンも、みずから鳥が四フィートばかり隔てて、蛇にねらわるるを見しに、身体痙攣ひきつりて動く能わず。
荘厳なる儀式をもって、公はみずからこの神意裁判を主宰せられた。ラルフはまず骰子を投じた。輾転てんてんまた輾転、二個の骰子は共に六を示した。合せて十二点。得らるべき最高点である。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
そこで、その旨を書いて赤い箱に入れ家廟中に封じ、代々相伝えて十代めの孫に至り、某年月日にこの箱を太守に送り、必ず太守自身堂より下ってみずからこれを受けしめよ、と書き付け置いた。
はたかさで美々しく飾り、王みずから四種の兵隊を随えて智馬を迎え、赤銅の板を地に畳み上げて安置し、太子自ら千枝の金の蓋をささげその上を覆い、王の長女金と宝玉で飾った払子ほっすで蚊や蠅を追い去り