褐色かつしよく)” の例文
草木さうもくおよ地上ちじやうしもまばたきしながらよこにさうしてなゝめけるとほ西にし山々やま/\ゆき一頻ひとしきりひかつた。すべてをつうじて褐色かつしよくひかりつゝまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日本につぽんやまのうさぎには二通ふたとほりあつて、そのひとつは平常へいじよう褐色かつしよくをしてゐますが、ふゆになると眞白まつしろかはるもの、もひとつは一年中いちねんじゆうとほして褐色かつしよくのものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
兩方の顳顬こめかみには、暗い褐色かつしよくの髮がその時の流行のやうに、——當時は撫でつけて捲いたのや、長い捲毛まきげは流行してゐなかつた——丸みをつけた捲毛でふさになつてゐた。
いま動物どうぶつはそのおほきいしつ天井てんじよういてあつたが、いし凹凸おうとつたくみに利用りようして突出部とつしゆつぶ動物どうぶつ腹部ふくぶとし、くろ褐色かつしよく彩色さいしきをもつていてあつて、それがあり/\とのこつてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
収穫前の田畑はいづれも豊かに、黄に、褐色かつしよくに、飴色あめいろに色付いてゐた。あたりには、赤とんぼの群がちら/\と飛んでゐた。その或るものは、歩いてゐる青竹に、朱傘に、柩にとまつたりした。
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
ちよいと見ると、褐色かつしよく
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しな庭先にはさきくりかられた大根だいこ褐色かつしよくるのをた。おつぎも勘次かんじよこむしろいてまた大根だいこつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
縁日えんにちでよくあかをしたかわいゝ、しろぶちのうさぎをつてゐるのを、みなさんも、たびたびごらんになつたでせう。しかしやまには褐色かつしよくのうさぎがゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
然し實際のところ八十名はえてはゐなかつたのだけれど、皆は一樣に、見慣れない型の褐色かつしよく毛織けおりの服を着、長い和蘭風オランダふうの前掛をかけてゐた。丁度自習の時間であつた。
そして褐色かつしよくの草原に深く溝をつくつてゐる凹地について進んで行つた。私はその深い茂みに膝を沒してわたつて行つた。曲り角について𢌞ると、隱れた隅に苔蒸こけむして黒ずんだ花崗岩を見出した。