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胴衣
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チョッキ
ふりがな文庫
“
胴衣
(
チョッキ
)” の例文
すると、ボーイは
首肯
(
うなず
)
いて部屋を出て行ったが、間もなく等身大の
藁
(
わら
)
人形を
抱
(
かかえ
)
て戻って来た。藁人形には不格好に
胴衣
(
チョッキ
)
が着せてあった。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところが父親のほうは、上等の黒羅紗の上着と白い
胴衣
(
チョッキ
)
とを着た、丈の高い肩幅の広い男で、その胴衣には、金縁の鼻眼鏡がつるさがっていた。
道化者
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
その結果、小野さんの
胴衣
(
チョッキ
)
の襟とシャツとの間から三尺ばかりの細い黒いリボンを発見することが出来たのでございます。
遺書に就て
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
そのうちに青白い毛ムクジャラの手を
胴衣
(
チョッキ
)
の内ポケットに入れて、一枚のカード型の紙片を探り出しますと、私の顔を意味ありげにチラリと見ながら
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
丹前の胸を開いて、
違棚
(
ちがいだな
)
の上から、例の異様な
胴衣
(
チョッキ
)
を取り下ろして、
体
(
たい
)
を
斜
(
なな
)
めに腕を通した時、甲野さんは聞いた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
体格の
逞
(
たくま
)
しい谷村博士は、すすめられた茶を
啜
(
すす
)
った
後
(
のち
)
、しばらくは
胴衣
(
チョッキ
)
の
金鎖
(
きんぐさり
)
を太い指にからめていたが、やがて電燈に照らされた三人の顔を見廻すと
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この信号をお聞きになりましたら、直ぐ救命
胴衣
(
チョッキ
)
あるいは救命
浮帯
(
ヴイ
)
を御着用の上、甲板上に御参集を願います。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
少し舊式の
胴衣
(
チョッキ
)
の上へ、短かい上衣の胸をはだけて着てゐるそのヤンの新らしい着物は、パリ人を見馴れた彼女の眼には、恐らく大して立派なものではなかつた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
「
俺
(
わし
)
はもうこんな事には一日も耐えられそうにないよ。そこでだね」と続けながら、彼は床几から飛び上がるようにして、相手の
胴衣
(
チョッキ
)
の辺りをぐいと一本突いたものだ。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
帽子や上衣や
胴衣
(
チョッキ
)
を左右に投げ出して、世界を征服するような元気で仕事にかかった。あちらこちらに散らかってる音楽の草稿を取り上げた。が心はそこになかった。ただ眼で読んでるばかりだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
黒上衣の、白
胴衣
(
チョッキ
)
の、
佇立
(
ちょりつ
)
した、密集した、幾段々になった
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
谷村博士はそう云ったぎり、沈んだ眼を畳へやっていたが、ふと思い出したように、
胴衣
(
チョッキ
)
の時計を出して見ると
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかして
愈々
(
いよいよ
)
開始の際には汽笛長声一発とともに銅鑼を連打致します故、直ぐ救命
胴衣
(
チョッキ
)
あるいは救命
浮帯
(
ヴイ
)
を御着用のうえ、定めの場所へ御参集を願います。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一人は
胸開
(
むねあき
)
の狭い。模様のある
胴衣
(
チョッキ
)
を着て、右手の親指を胴衣のぽっけっとへ突き込んだまま
肘
(
ひじ
)
を張っている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
胴衣
(
チョッキ
)
はただ細い黒い一本の筋に過ぎないし、また燕尾服の上着は、ようやく胃のずっと下のあたりに来て、一つボタンで合されていて、おまけに肩のところから
道化者
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
黒っぽいモーニングコートに
縞
(
しま
)
ズボン白
胴衣
(
チョッキ
)
の轟氏がタダ独りで、事務机の前の廻転椅子に腰をかけて、
金口
(
きんぐち
)
煙草を吹かしながら一時二十五分を示している正面の大時計を見ている。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
寝台の上には、上衣を脱いだ
胴衣
(
チョッキ
)
一枚の林一郎が、左胸に
貫通銃創
(
かんつうじゅうそう
)
を受けて横たわっていた。生々しい血潮は、胴衣から流れて白いシーツを
紅
(
くれない
)
に染め、まだ乾ききらず血の匂いを漂わしている。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
クリストフは
胴衣
(
チョッキ
)
の胸を開いて、強く息をした。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鼠の勝った
品
(
ひん
)
の好い
胴衣
(
チョッキ
)
の
隠袋
(
かくし
)
には——恩賜の時計が
這入
(
はい
)
っている。この上に金時計をとは、小さき胸の小夜子が夢にだも知るはずがない。小野さんは変っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
敏子の声には今までにない、
荒々
(
あらあら
)
しい力がこもっている。男はワイシャツの肩や
胴衣
(
チョッキ
)
に今は一ぱいにさし始めた、
眩
(
まばゆ
)
い日の光を
鍍金
(
めっき
)
しながら、何ともその問に答えなかった。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
相手の紳士はそうした私の顔を、その黒い、つめたい執念深い
瞳付
(
めつき
)
で十数秒間、
凝視
(
ぎょうし
)
しておりましたが、やがてまた
胴衣
(
チョッキ
)
の内側から一つの白い封筒を探り出して、
恭
(
うやうや
)
しく私の前に置きました。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ハ 救命
胴衣
(
チョッキ
)
或いは救命
浮帯
(
ヴイ
)
の着用方。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
下は
仕立
(
した
)
ておろしのフロックに、近頃
流行
(
はや
)
る白いスリップが
胴衣
(
チョッキ
)
の
胸開
(
むねあき
)
を沿うて細い筋を
奇麗
(
きれい
)
にあらわしている。高柳君はなるほどいい
手際
(
てぎわ
)
だと
羨
(
うらや
)
ましく眺めていた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
槐
(
えんじゅ
)
に張り渡した、この庭には
似合
(
にあ
)
わない、水色のハムモックにもふり
撒
(
ま
)
いている。ハムモックの中に
仰向
(
あおむ
)
けになった、夏のズボンに
胴衣
(
チョッキ
)
しかつけない、
小肥
(
こぶと
)
りの男にもふり撒いている。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうして冷たい、青白い眼付きで、チラリと私を一瞥しただけで、そのまま静かに眼を伏せると、左手で
胴衣
(
チョッキ
)
のポケットをかい探って、大きな銀色の懐中時計を取り出して、
掌
(
てのひら
)
の上に載せた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「こうすると引き立ちますよ」と云って
故
(
もと
)
の席に返る。小野さんの
胴衣
(
チョッキ
)
の胸には松葉形に組んだ金の鎖が、
釦
(
ボタン
)
の穴を左右に抜けて、黒ずんだメルトン地を背景に
燦爛
(
さんらん
)
と
耀
(
かが
)
やいている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
Cocked hat と云うのであろう。銀の
縁
(
ふち
)
のある
帽子
(
ぼうし
)
をかぶり、
刺繍
(
ぬいとり
)
のある
胴衣
(
チョッキ
)
を着、膝ぎりしかないズボンをはいている。おまけに肩へ垂れているのは
天然
(
てんねん
)
自然の髪の毛ではない。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
青年は上衣と
胴衣
(
チョッキ
)
を脱いでワイシャツ一つのネクタイを緩めているし、眉香子も丹前を床の上に脱ぎ棄てて、派手な空色地の長
襦袢
(
じゅばん
)
に、五色ダンダラの博多織の伊達巻を無造作に巻きつけている。
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“胴衣”の意味
《名詞》
上半身に着用する衣服。
胴着。
(出典:Wiktionary)
胴
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“胴”で始まる語句
胴
胴中
胴間声
胴忘
胴乱
胴顫
胴服
胴巻
胴体
胴震