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背馳
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はいち
ふりがな文庫
“
背馳
(
はいち
)” の例文
彼自身は修行の際に語録を読むことをやめて専心に
打坐
(
たざ
)
した。しかし打坐を重んずることは言葉による表現と
背馳
(
はいち
)
するものではない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そうして一時は仏説などの因果の考えとは全く
背馳
(
はいち
)
する別物であるかのように見えたのが、近ごろはまた著しい転向を示して来て
科学と文学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは目的とはまったく
背馳
(
はいち
)
していて、かえってクリストフを遠ざけていた。クリストフはもはやその
不機嫌
(
ふきげん
)
さを隠そうとしなかった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すると彼らには明かに
背馳
(
はいち
)
した両面の生活がある事になる。業務についた自分と業務を離れた自分とはどう見たって矛盾である。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが、城中一方の大将たる
呂常
(
りょじょう
)
などの考えは、まったくそれと
背馳
(
はいち
)
していた。城に籠るは最後のことだ。まして、軍書にも明らかに
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
小山「それは感情から来るのだ。感情は多く道理と
背馳
(
はいち
)
する。君がお登和さんと結婚すべき正当の道理があれば御両親もそれを ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その所論おのおの
趣
(
おもむき
)
を一にせずして、はなはだしきは
相互
(
あいたがい
)
に
背馳
(
はいち
)
するものもあるに似たれども、平安の一義にいたりては
相違
(
あいたが
)
うなきを見るべし。
教育の目的
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あるいはまたそれに反して志向するところ欲求するところに
背馳
(
はいち
)
した世界が現前し、更にそれに向って変革を要求せざるを得なくなることもある。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
もちろん
物資愛護
(
ぶっしあいご
)
の叫ばれる
現下
(
げんか
)
の国策に
背馳
(
はいち
)
する行為ではあったが、しかし光枝の場合は、壊すための理由があった。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、どちらも、正式に口に出さない理由を感じ取っていた。話の出るのが遅れれば遅れるほどお互いの考えは遠く
背馳
(
はいち
)
するのではなかろうか。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
妊娠分娩等の時期にある婦人が国家に向って経済上の特殊な保護を要求しようという欧米の女権論者の主張が私たちの理想と
背馳
(
はいち
)
することを思って
平塚さんと私の論争
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これは恐らく、彼の満足が、暗々の
裡
(
うち
)
に論理と
背馳
(
はいち
)
して、彼の行為とその結果のすべてとを肯定するほど、虫の好い性質を帯びていたからであろう。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
燕王、
指揮
(
しき
)
武勝
(
ぶしょう
)
を
遣
(
や
)
りて、朝廷兵を
罷
(
や
)
むるを許したまいて、而して糧を絶ち北を攻めしめたもうは、
前詔
(
ぜんしょう
)
と
背馳
(
はいち
)
すと奏す。帝書を得て兵を
罷
(
や
)
むるの意あり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは一見私の志している所と
背馳
(
はいち
)
しているようであるがそうではない。よく両立し得るものである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
こうして、いよいよロス氏と警察の間に意見が
背馳
(
はいち
)
してくると、警察は急に積極的に出た。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
コレアルハ
六朝
(
りくちょう
)
ヨリ始ル。然レドモ唐宋大賢ノ文ヲ
観
(
み
)
ルニ直ニ
胸臆
(
きょうおく
)
ヲ抒シ
通暢
(
つうちょう
)
明白ニシテ切ニ事理ニ当ル。
夫
(
か
)
ノ彫虫
篆刻
(
てんこく
)
スル者トハ
背馳
(
はいち
)
セリ。名ハ集ナリトイヘドモ実ハ子ナリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
した無残な
烙印
(
やきいん
)
には、たしか索溝の
形状
(
かたち
)
と、
背馳
(
はいち
)
するものがあるように思われるんだが
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
今回計らずもデモクラシーの本家本元なる米国に渡るを好機会として、自分の述べた事が他人の、ことに先輩の説くところとどれほど符合するか、また
背馳
(
はいち
)
するかを見たい心掛である。
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
時代の好尚と
背馳
(
はいち
)
した、かかる古曲を持ち伝へてゐた人だけに、門弟といふものも、ほとんど無ければ、同情のある聴き手も至つて稀で、言はば、演奏者と聴衆とを合せて唯一人のみで
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
このたびの戦争が、吾人人類に
普
(
あまね
)
く一大教訓を
齎
(
もたら
)
すべきであるが、しかし我輩の考うる一大教訓とは全く
背馳
(
はいち
)
して、このたびの戦争に基づき将来を予想して、再び一大戦争の起ると見るものもある。
列強環視の中心に在る日本
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
神が歴史を指導するというのは、人の経営に対して大方針を授け、この方針に
背馳
(
はいち
)
する経営をば是正するとの意である。人が歴史を営むには、神の正義を実現すべしとの根本方針が与えられている。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
彼の
徒
(
いたづら
)
に
靜養
(
せいやう
)
瞑坐
(
めいざ
)
を事とすのみならば、則ち此の
學脈
(
がくみやく
)
と
背馳
(
はいち
)
す。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
その永久不変の使命に
背馳
(
はいち
)
することになるのであります。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
剣聖の心境に
背馳
(
はいち
)
すること千万なり。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
舞台の出来事はたえずその小説と
背馳
(
はいち
)
するので、また新たに筋を立て直さなければならなかった。しかし彼はそれに困らされはしなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一つにはまた実際に近頃の二科会の絵の傾向が自分の好みに
背馳
(
はいち
)
して来たように思われたためもある。
二科展院展急行瞥見
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その偽物を床の間へかけて風流だとか
高尚
(
こうしょう
)
だとか
独
(
ひとり
)
でよがって台所では
青銅鍋
(
からかねなべ
)
を使っているような似非風流が長く流行したら日本国も亡びるね。我邦の風流は大概実用と
背馳
(
はいち
)
している。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
魯粛の考えとは非常に
背馳
(
はいち
)
しているけれど、まだ曹操との一戦も開始しないうちに、味方の首脳部で内紛論争を起すのもおもしろくないことだし、先は、大都督の権を以てすることなので、魯粛も
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに日本の老人の多数は私のこの理想と全く
背馳
(
はいち
)
している。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夜にしばしば寝床の中で、自分の理想と
背馳
(
はいち
)
する種々なこまかい昼間の出来事を、思い浮かべては嘆息した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それはとにかく彼がミュンヘンの小学で受けたローマカトリックの教義と家庭におけるユダヤ教の教義との相対的な矛盾——因襲的な独断と独断の
背馳
(
はいち
)
が彼の幼い心にどのような反応を起させたか
アインシュタイン
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分のうちにもってる善良な正直なものと
背馳
(
はいち
)
しようとつとめているのか、それを怪しむのであった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかも、他人の中をのぞき込み、その内部の思想を
穿鑿
(
せんさく
)
し、もしそれが一般の意見に
背馳
(
はいち
)
するようなものであるときには、その説明を求める、という権利を各人がもっている。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それが自分の本心と
背馳
(
はいち
)
するならば、自分の本心のほうが誤りであるとしたかもしれない。彼女は町の人々を
軽蔑
(
けいべつ
)
していた。しかも町の人々から軽蔑されることは堪えがたかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
馳
漢検準1級
部首:⾺
13画
“背”で始まる語句
背後
背
背負
背中
背丈
背戸
背嚢
背向
背景
背広