總領そうりやう)” の例文
新字:総領
ことに總領そうりやうの勇太郎坊ちやんは、育ちが遲れて可愛盛りを病身で暮した爲に、旦那樣も、つい面倒臭がつて、存分に可愛がつては下さいません。
ところなきなれば結句けつくよき死塲處しにばしよ人目ひとめぢぬやうにりけり、にが/\しきことなれどもをんなこゝろだてるからねば檀家だんかもののみはとがめず、總領そうりやうはなといふを懷胎もうけころ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嘉川主税之助養子やうし總領そうりやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
打明けると家のはぢだが、隣に住んで居る總領そうりやうの又五郎、やくざな野郎には相違ありませんが、近頃は幾らか固くもなつたやうだし、自分から進んで親の側へ來る位だから
石之助いしのすけとて山村やまむら總領そうりやう息子むすこはゝちがふに父親てゝおやあいうすく、これを養子やうしいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談さうだん、十ねんむかしよりみゝはさみて面白おもしろからず、いま勘當かんだうのならぬこそをかしけれ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちやして大奧おほおくにもたかく、お約束やくそく聟君むこぎみ洋行中やうかうちうにて、寐覺ねざめ寫眞しやしんものがたる總領そうりやう令孃ひめさへ、垣根かきねさくられかし吾助ごすけ、いさヽかの用事ようじにて大層たいそうらしく、御褒美ごはうびたまはる菓子くわし花紅葉はなもみぢ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
總領そうりやうの徳太郎夫妻、妹娘のお延の五人だけ、奉公人は番頭の宇之助、小僧の巳代吉、あとは下女のお米だけ、この七人のうちには、お米の言葉を信じると、嫁のお染を殺すやうな人間はありません。
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
目鼻めはなだちの何處どこやらが水子みづこにてせたる總領そうりやうによくたりとて、いまはなきひとなる地主ぢぬし内儀つま可愛かあいがられ、はじめはお大盡だいじん旦那だんなたつとびしひとを、父上ちゝうへぶやうにりしは其身そのみ幸福しやわせなれども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)