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緋毛氈
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ひもうせん
ふりがな文庫
“
緋毛氈
(
ひもうせん
)” の例文
と、次々に深紅の血汐が、ポカリポカリと水面へ浮かび、その辺一面見ている間に
緋毛氈
(
ひもうせん
)
でも敷いたように、
唐紅
(
からくれない
)
と一変した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
広い客間の日本室を、雛段は
半分
(
なかば
)
ほども占領している。室の幅一ぱいの雛段の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の上に、ところせく、雛人形と調度類が飾られてあった。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
次の部屋は、打って変って明るく、
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の腰掛を据えて「お茶を差上げます」と書いた柱掛けなどが下がっております。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の敷かれていた俄か造りの涼み台は、そして浴衣がけの手に団扇をもった日本人の男女たちは、はたして少女の記憶にのこったことだろうか。
昼の花火
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
お仮住いなので広くはありませんが、床の間に
緋毛氈
(
ひもうせん
)
をかけた
一間幅
(
いっけんはば
)
の雛段は、幾段あったでしょうか。幾組かの内裏雛、中には古代の品もありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
そして
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の上へ
的台
(
まとうだい
)
のかわりになってあぐらをくみ、なにか
与三
(
よさ
)
もどきに暴言を吐いておりますと
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましいが、室内で装置する場合には、緑色の布を額縁として
画
(
くぎ
)
り、地は、春の土を思わせるような、黄土色の布か、
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を敷きつめる。
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
女房
(
かみさん
)
は立った
序
(
ついで
)
に、小僧にも
吩咐
(
いいつ
)
けないで、自分で
蒲団
(
ふとん
)
を持出して
店端
(
みせばな
)
の縁台に——夏は氷を売る早手廻しの
緋毛氈
(
ひもうせん
)
——余り新しくはないのであるが、向う側が三間ばかり
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葦簾のかげに
緋毛氈
(
ひもうせん
)
敷いた腰かけが並んで、茶碗に
土瓶
(
どびん
)
、小暗い隅には磨きあげた
薬罐
(
やかん
)
が光り、菓子の塗り箱が二つ三つそこらに出ている——ありきたりの水茶屋のしつらえ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
塀で構われた小さな馬場を思わせる空地の
周囲
(
ぐるり
)
の桜の木々が一時に満開して、そこへ町家の人たちが
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を敷き、重詰めを開き、ちろりのお酒をお燗して、三味線を弾いてさんざめいた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
惨殺
(
ざんさつ
)
、麻酔、魔薬、
妖女
(
ようじょ
)
、宗教———種々雑多の
傀儡
(
かいらい
)
が、香の煙に溶け込んで、
朦朧
(
もうろう
)
と立ち
罩
(
こ
)
める中に、二畳ばかりの
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を敷き、どんよりとした蛮人のような
瞳
(
ひとみ
)
を
据
(
す
)
えて、寝ころんだ
儘
(
まま
)
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その昔、芝居茶屋の混雑、お
浚
(
さら
)
いの座敷の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
、祭礼の
万燈
(
まんどう
)
花笠
(
はながさ
)
に
酔
(
え
)
ったその眼は永久に光を失ったばかりに、かえって浅間しい電車や電線や薄ッぺらな西洋づくりを打仰ぐ不幸を知らない。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
父母とともに行く
歌舞伎座
(
かぶきざ
)
や新富座の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の美しい
棧敷
(
さじき
)
とは打って変って薄暗い
鉄格子
(
てつごうし
)
の中から人の頭を越して
覗
(
のぞ
)
いたケレンだくさんの小芝居の舞台は子供の目にはかえって不思議に面白かった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
花のない時も、桜若葉が青々と涼しそうに長く続いて、その間に掛茶屋の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
がちらちらと目に附きます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
昼はいくらか客もありますが、日が暮れるとサッと店をしまって、婆さんと娘が、菓子箱と
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を背負い、
大薬缶
(
おおやかん
)
をブラ下げて自分の家へ帰ってしまいます。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
琴が、
生田
(
いくた
)
流のも山田流のも、幾面も
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の上にならべてあった。
三味線
(
しゃみせん
)
も出ている。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先に立って、船の内へ導いて行ったが、見れば、
艫
(
とも
)
寄りの一
劃
(
かく
)
に
幕
(
とばり
)
をめぐらし、
緋毛氈
(
ひもうせん
)
をしき、桃山
蒔絵
(
まきえ
)
の銚子だの、料理のお重だの、水の上とも思われない、
豪奢
(
ごうしゃ
)
な小座敷が
拵
(
こしら
)
えてある。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見上げた
破風口
(
はふぐち
)
は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、
縁
(
えん
)
に添いつつ
中土間
(
なかどま
)
を、
囲炉裡
(
いろり
)
の前を向うへ通ると、
桃桜
(
ももさくら
)
溌
(
ぱっ
)
と輝くばかり、
五壇
(
ごだん
)
一面の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
、やがて四畳半を
充満
(
いっぱい
)
に雛
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そればかりか私の家なぞは祭りと言っても別段何をするのでもないのに引き替えて商家では
稼業
(
かぎょう
)
を休んでまでも店先に
金屏風
(
きんびょうぶ
)
を立て廻し、
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を敷き、曲りくねった遠州流の生花を飾って客を待つ。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
上京内裏
(
かみぎょうだいり
)
の東から南への馬場八町には、若草の色もまだ浅く、
柵
(
さく
)
のところどころの八尺柱は、
緋毛氈
(
ひもうせん
)
でつつまれていた。そして、
禁裡
(
きんり
)
東之御門外のあたりに、
御出御
(
ごしゅつぎょ
)
をあおぐ
行宮
(
あんぐう
)
は建てられてあった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中央の畳に
緋毛氈
(
ひもうせん
)
を敷き、古風な
金
(
かね
)
の丸鏡の鏡台が
据
(
すえ
)
てあった。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ただ
緋毛氈
(
ひもうせん
)
のかわりに、
敷妙
(
しきたえ
)
の錦である。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と細い段の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋
漢検準1級
部首:⽷
14画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
氈
漢検1級
部首:⽑
17画
“緋”で始まる語句
緋
緋縮緬
緋鯉
緋色
緋縅
緋鹿子
緋葉
緋桃
緋羅紗
緋鹿