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索寞
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さくばく
ふりがな文庫
“
索寞
(
さくばく
)” の例文
僕に取って事実というものくらい無味
索寞
(
さくばく
)
なものはない。それは眼の前の道端に転がっている石同様、たゞそれ切りのものだ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
何故
(
なぜ
)
家は
此
(
か
)
うなんだらうと、
索寞
(
さくばく
)
といふよりは、これぢや
寧
(
むし
)
ろ
荒凉
(
くわうりやう
)
と
謂
(
い
)
ツた方が適當だからな。」と
呟
(
つぶや
)
き、
不圖
(
ふと
)
また奧を
覗
(
のぞ
)
いて、
燥
(
いら
)
ツた聲で
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
一方には老後の
索寞
(
さくばく
)
、月経閉鎖期前後の悲哀、その他種種の事情から精神の平衡を欠き、もしくはヒステリイ症に
罹
(
かか
)
っている婦人だからである。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
しかしその陶然と赤くなつた顔は、この
索寞
(
さくばく
)
とした部屋の空気が、
明
(
あかる
)
くなるかと思ふ程、男らしい活力に
溢
(
あふ
)
れてゐた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
屋根ばかりしか見えない窓外の
索寞
(
さくばく
)
とした
景色
(
けしき
)
のなかで、特に私の眼をひくものといったら、それだけなのであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
彼
(
かれ
)
は
冬
(
ふゆ
)
になつてまた
起
(
おこ
)
りかけた
僂痲質斯
(
レウマチス
)
を
恐
(
おそ
)
れて
極
(
きは
)
めてそろ/\と
歩
(
ほ
)
を
運
(
はこ
)
んだ。
利根川
(
とねがは
)
を
渡
(
わた
)
つてからは
枯木
(
かれき
)
の
林
(
はやし
)
は
索寞
(
さくばく
)
として
連續
(
れんぞく
)
しつゝ
彼
(
かれ
)
を
呑
(
の
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
先生が
疾
(
と
)
くに
索寞
(
さくばく
)
たる日本を去るべくして、いまだに去らないのは、実にこの愛すべき学生あるがためである。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんなところは、宿泊料も安いであろうという、理由だけで、私はその
索寞
(
さくばく
)
たる山村を選んだ。昭和十五年、七月三日の事である。その頃は、私にも、少しお金の余裕があったのである。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一つの
齟齬
(
そご
)
もなくすべてが完了したとき、そうだ、おれは
索寞
(
さくばく
)
と恥ずかしくなり、いたたまれなくなった……どうしてそこにいられるか、事が完了した以上おれは余計な人間じゃないか、あとは
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
須臾
(
しゅゆ
)
にして月影は除き、僕は眼の前にまぼろしと詩を生ましめたものが只の路傍の石でしかなかったことに気付くと、一層事実に対して
索寞
(
さくばく
)
の気持を増す。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だから
索寞
(
さくばく
)
たる
曠野
(
あらの
)
の方角へ向けて生活の
路
(
みち
)
を歩いて行きながら、それがかえって本来だとばかり心得ていた。温かい人間の血を枯らしに行くのだとは決して思わなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十位
(
とをぐらゐ
)
の
子
(
こ
)
でもそれから
廿
(
はたち
)
に
成
(
な
)
るものでも
皆
(
みな
)
前垂
(
まへだれ
)
を
掛
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
前垂
(
まへだれ
)
がなければ
彼等
(
かれら
)
の
姿
(
すがた
)
は
索寞
(
さくばく
)
として
畢
(
しま
)
はねば
成
(
な
)
らぬ。
彼等
(
かれら
)
は
足
(
あし
)
に
合
(
あ
)
はぬ
不恰好
(
ぶかつかう
)
な
皺
(
しわ
)
の
寄
(
よ
)
つた
白
(
しろ
)
い
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼は
頁
(
ページ
)
を開くとすぐ眠くなった。それは努めて読んで行くとその
索寞
(
さくばく
)
さに頭が痛くなって、しきりに
喉頭
(
こうとう
)
へ味なるものが恋い慕われた。彼は美味な食物を
漁
(
あさ
)
りに立上ってしまった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
上野の音楽会でなければ釣り合わぬ服装をして、帝国ホテルの夜会にでも招待されそうなこの女が、なぜかくのごとく四辺の光景と
映帯
(
えいたい
)
して
索寞
(
さくばく
)
の観を添えるのか。これも
諷語
(
ふうご
)
だからだ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
索
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
寞
漢検1級
部首:⼧
13画
“索”で始まる語句
索
索然
索漠
索莫
索引
索具
索綱
索条
索麪
索溝