精巧せいかう)” の例文
暗い納戸の中に、かなり大きなかごの中に入つて、精巧せいかうな車を廻して居る五匹の白鼠を見付けると、平次の好奇心は火の如く燃えます。
しかし本來ほんらい耐震性たいしんせい木造建築もくざうけんちくに、特別とくべつ周到しうたう精巧せいかうなる工作こうさくほどこしたのであるから、自然しぜん耐震的能率たいしんてきのうりつすのは當然たうぜんである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
主人しゆじんはことさらにかたなはし兩手りやうてつて、つたりつたりする眞似まねをしてせた。宗助そうすけはひたすらにその精巧せいかうつくりをながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
負傷ふしやうなをる、しかし、精巧せいかうじうこはしたならば、それはなをらない。してあのとき中根なかねじうはなしてかへりみなかつたならば、じう水中すゐちうくなつたかもれない。すなは歩兵ほへいいのちうしなつたことになる。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
爾來じらい日本建築にほんけんちく漸次ぜんじ進歩しんぽして堅牢けんらう精巧せいかうなものをしやうずるにいたつたが、これは高級建築かうきふけんちく必然的條件ひつぜんてきでうけんとしてあらはれたので、地震ぢしん考慮かうりよしたためではない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
この物語の時代には、文字や圖案めかしい簡單な文身が、漸く繪に進化しただけのことで、まだ、大模樣やボカシ入や浮世繪風の精巧せいかうな圖柄はありません。
京都きやうと襟新えりしんうち出店でみせまへで、窓硝子まどがらす帽子ばうしつばけるやうちかせて、精巧せいかう刺繍ぬひをしたをんな半襟はんえりを、いつまでながめてゐた。そのうち丁度ちやうど細君さいくん似合にあひさうな上品じやうひんなのがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
空家で見付けた竹製の鐵砲は、思ひの外精巧せいかうで、素人の細工としては、先づ最上のものでした。
さや/\と衣摺れの音の聞えるのは、羽二重か甲斐絹かひき精巧せいかう綸子りんずでなければなりません。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
天草で習つたオランダ風のかざりを應用して、精巧せいかうな鈴を作ることを工夫し、芳村道齋と名乘つて江戸中の好事家かうずかの人氣を集めましたが、名人業めいじんわざであまりお寶にはならず、年中貧乏を看板に、女房一人