つけ)” の例文
つけられしかば斯の如くあとへ廻されしなりればまづ再び馬鹿子息ばかむすこ五郎藏をたゞさんと思はれ越前守殿コリヤ五郎藏其方のさいは何故なんぢいへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝起きると洋服をつけて学校に出かけ、帰って来ると洋服を脱いで翌日の講義の下調べをして、二階から下りて来ることは少なかったが
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
銭穀せんこく取扱とりあつかひだけは全く予定した所と相違して、雑人共ざふにんどもは身につけられるかぎりの金銀を身に着けて、思ひ/\に立ち退いてしまつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
眷属けんぞくばらばらと左右に居流る。一同ものを持てり。扮装いでたちおもいおもい、よろいつけたるもあり、髑髏どくろかしらに頂くもあり、百鬼夜行のていなるべし。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
コロボツクルの男子中はたして衣服をつけざる者有りとせばアイヌはじつに其無作法ぶさはふおどろきしならん。氣候の寒暖かんだんは衣服の有無を决定けつていするものにあらず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
お浪は呆れ且つ案ずるに、のつそり少しも頓着せず朝食あさめし終ふて立上り、突然いきなり衣物を脱ぎ捨てゝ股引腹掛つけにかゝるを、飛んでも無い事何処へ行かるゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それからといふものは、まあ娘に言はせると、奈何どうしても養父おとつさんの態度しむけとは思はれないと言ふ。かりそめにも仏の御弟子ではないか。袈裟けさつけて教を説く身分ではないか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つけて古風なり松本みちの追分ありこゝより十五六里なりと午前九時鹽尻の宿しゆくへ着く
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
つけられし通り傳吉は何れにも正路しやうろの者右の河原にてころされたる女は空せみ又一人の男は彼を勾引かどはかしたるやつならんが二ツのくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つけられし如く是又長庵が惡事なりと思はるれ共本人の口より白状はくじやうさせんと猶もことばやはらげ三次が斯迄かくまで申てもおぼなきやと言はるれば長庵さればにて候此上骨身ほねみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)