産後さんご)” の例文
○かくて産後さんご日をてのち、連日れんじつの雪も降止ふりやみ天気おだやかなる日、よめをつとにむかひ、今日けふ親里おやざとゆかんとおもふ、いかにやせんといふ。
平岡は、あの地で、最初のうちは、非常な勤勉家としてとほつてゐたのだが、三千代が産後さんご心臓がわるくなつて、ぶら/\しすと、遊び始めたのである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おとし忽ち産後さんごあがり是も其夜の明方あけがた相果あひはてければあとのこりしお三婆は兩人ふたり死骸しがいに取付天をあふぎ地に泣悲なきかなしむより外なきは見るもあはれの次第なり近邊きんぺんの者どもばゝ泣聲なきごゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
袖子そでこかあさんは、彼女かのじょまれるともなくはげしい産後さんご出血しゅっけつくなったひとだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
暴風雨あらしの日、産後さんご初詣はつまうである如し。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
御米およね産後さんご蓐中じよくちゆうその始末しまついて、たゞかる首肯うなづいたぎりなんにもはなかつた。さうして、疲勞ひらうすこんだうるませて、なが睫毛まつげをしきりにうごかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見より澤の井も産後さんごなげきに血上りて此も其夜のうちに死去したりよつてお三婆は右の二品を所持なせどさらに人にはかたる事も無りしが寶澤は別して入魂じゆこんの上に未だ少年こどもの事なれば心もゆるして右の次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後の證據しようことして下し置れしが澤の井儀はもと佐渡さど出生しゆつしやうの者故老母諸共生國佐州へかへり間もなく御安産なりしが産後さんご血暈ちのみちにて肥立ひだちかね澤の井樣には相果られ其後は老母らうぼの手にて養育やういく申上しが又候老母も病氣にて若君の御養育やういく相屆あひとゞかず即は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)