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爪繰
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つまぐ
ふりがな文庫
“
爪繰
(
つまぐ
)” の例文
「とに角、三浦屋のお職まで張つた女が、
袈裟
(
けさ
)
を掛けて
數珠
(
じゆず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
り乍ら歩くんだから、
象
(
ぞう
)
の上に乘つけると、そのまゝ
普賢菩薩
(
ふげんぼさつ
)
だ」
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「して、それは殿様奥様のお頼みでござりまするか。又、あなた方の御相談でござりまするか。」と、住職は
珠數
(
じゆず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら不安らしく訊いた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
終夜
(
よもすがら
)
思ひ煩ひて顏の色
徒
(
たゞ
)
ならず、肅然として佛壇に向ひ、眼を閉ぢて祈念の體、心細くも立ち上る一縷の香煙に身を包ませて、
爪繰
(
つまぐ
)
る珠數の音
冴
(
さ
)
えたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
老尼の住んでいる
庵
(
いおり
)
は、昔から伝えられた名をそのままに燈外庵と呼ばれていました。
珠数
(
じゅず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら老尼が燈外庵の庵を出ようとすると、若い尼が
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
円い輪になっているものを一粒ずつ数えてゆけば、どこまで数えていっても終局はありません。Kはどんな所でどんな心持がして、
爪繰
(
つまぐ
)
る手を留めたでしょう。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
しさいらしく珠数を
爪繰
(
つまぐ
)
っては人を笑わせ、愚僧もあの婦人には心が乱れ申したわい、お恥かしいが、まだ枯れて居らん証拠じゃのう、などと言い、私たちを誘って
兄たち
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
仲のいゝ地主友達が意見
旁
(
かた/″\
)
容子
(
ようす
)
を訊いてみると、長次郎氏は
例
(
いつも
)
のやうに手首の珠数を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
御本堂への御つとめ許し賜はらば格別の御
利益
(
りやく
)
たるべしと、念珠、殊勝
気
(
げ
)
に
爪繰
(
つまぐ
)
りて頼み入りしに
彼
(
か
)
の寺男、わが
面体
(
めんてい
)
の爛れたるをつく/″\見て、まことの非人とや思ひけむ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼がそういう話をしてしまった時に、院長は大念珠を
爪繰
(
つまぐ
)
るのをやめて、そして言った。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
サラサラ、サラサラと好い音をたてて数珠を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら、おらくは涙をこぼした。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
羽織は薄い小豆色の
縮緬
(
ちりめん
)
に……ちょいと分りかねたが……五ツ紋、小刀持つ手の動くに連れて、
指環
(
ゆびわ
)
の玉の、幾つか連ってキラキラ人の
眼
(
まなこ
)
を射るのは、水晶の珠数を
爪繰
(
つまぐ
)
るに似て、非ず
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄金の
十字架
(
くるす
)
を胸に懸けて、パアテル・ノステルを口にした日本を、——貴族の夫人たちが、
珊瑚
(
さんご
)
の
念珠
(
ねんじゅ
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
って、
毘留善麻利耶
(
びるぜんまりあ
)
の前に
跪
(
ひざまず
)
いた日本を、その彼が訪れなかったと云う筈はない。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
アコ長は、ボッテリした顎の先をのんびりと
爪繰
(
つまぐ
)
りながら
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と奥様は
珠数
(
ずゝ
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
り乍ら
唱
(
とな
)
へて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この
青玉
(
せいぎよく
)
の珠數を
爪繰
(
つまぐ
)
りしとよ。
そぞろごと
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
珠數
(
じゆず
)
爪繰
(
つまぐ
)
るを
常
(
つね
)
とする。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
達弁にまくし立てるお染の蔭から、高貴な感じのするほど美しいお雛が、
八丈
(
はちじょう
)
の
袂
(
たもと
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
るように、おどおどした顔で平次を見守ります。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
内には寂然として人なきが如く、只〻簾を漏れて心細くも立迷ふ香煙一縷、をりをりかすかに聞ゆる戞々の音は、念珠を
爪繰
(
つまぐ
)
る響にや、主が消息を齎らして、いと奧床し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
院長は念珠を少し
爪繰
(
つまぐ
)
った。フォーシュルヴァンは黙っていた。院長は言い進んだ。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
遁
(
のが
)
れつべうもこそあらじと見えつるが、虹汀少しも騒ぐ
気色
(
けしき
)
なく、
負
(
お
)
ひ奉りし仏像を
馬士
(
まご
)
に渡し、
網代笠
(
あじろがさ
)
の雪を払ひて六美女に持たせつ、手に慣れし竹杖を突き、
衣紋
(
えもん
)
を
繕
(
つくろ
)
ひ
珠数
(
じゅず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りつゝ
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、住職は
数珠
(
じゅず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら不安らしく訊いた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
寂寞
(
せきばく
)
として水晶の数珠
爪繰
(
つまぐ
)
りて泰然たり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
青玉
(
せいぎよく
)
の
珠数
(
じゆず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りしとよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「とにかく、三浦屋のお職まで張った女が、袈裟を掛けて
数珠
(
じゅず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
りながら歩くんだから、象の上に乗っけると、そのまま
普賢菩薩
(
ふげんぼさつ
)
だ」
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
院長はその大念珠を
爪繰
(
つまぐ
)
っていたが、目を上げて言った。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
達辯
(
たつべん
)
にまくし立てるお染の蔭から、高貴な感じのするほど美しいお雛が、八丈の
袂
(
たもと
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
るやうに、おど/\した顏で平次を見守ります。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
妾のお源は殊勝らしく
數珠
(
じゆず
)
など
爪繰
(
つまぐ
)
つてをりますが、身體は思ひの外立派で、ずゐぶん半盲の大男一人を、殺せないことはないかも知れません。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると早くも黒髪を、襟のあたりで切り落して、しおらしく珠数などを
爪繰
(
つまぐ
)
って居るではありませんか。
銭形平次捕物控:245 春宵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
青々とした
剃
(
そ
)
り立ての頭、目鼻立ちも醜くはなく、念珠を
爪繰
(
つまぐ
)
って仏の御名を口から絶やさないのと、竪川べりを通る時は、贅沢な素人釣の後ろに立って、一くさりの
経文
(
きょうもん
)
を
手向
(
たむ
)
ける癖があるので
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蓼斎はそう言って、思い出したように
数珠
(
じゅず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
るのでした。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は懐の捕縄を
爪繰
(
つまぐ
)
りました。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は懷の捕繩を
爪繰
(
つまぐ
)
りました。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
爪
常用漢字
中学
部首:⽖
4画
繰
常用漢字
中学
部首:⽷
19画
“爪”で始まる語句
爪
爪先
爪立
爪弾
爪尖
爪牙
爪先上
爪紅
爪音
爪皮