)” の例文
先生は愛蘭土アイヤランドの人で言葉がすこぶる分らない。少しきこんで来ると、東京者が薩摩さつま人と喧嘩けんかをした時くらいにむずかしくなる。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
召使たちは、何分にもお館の心配を一刻もはやく安んぜねばと急ぐように、車の返却や礼のことばは明日改めてとばかり先をいて曳いて行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
米友は突き放されじとき込みました。焦き込めば焦き込むほど、米友の調子が変になりますから、折助などが嘲弄するには、よい材料であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
阿園が問いに何心なくさようと答えつ、後にてハッとおどろきたれども舌に及ばざりき、女房はき立てり
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
「何処から来たの! 何うしたと云うんです、早く云って下さい。私心配だわ。」と、き立てた。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
これから百々村どう/\むらへ出まして、与久村よくむらから保泉村ほずみむらへかゝりますと、駕籠より馬の方が余程よっぽどおくれましたから、心はけど馬はのろく、あとより来る男は遅く、姿は見えません。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
急がずかず
(新字新仮名) / 今村恒夫(著)
まあ先生そうかずに聞いて下さい。それから約三四時間夜具の中で辛抱しんぼうして、今度こそもうよかろうとぬっと首を
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御方は吾にもあらせぬかたで、新九郎の手をとって熱にふるえる。それをまた一方では、世にも怖ろしいものに掴まれたように、腕を縮めるのだった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何を思いついたのか、二人はその場で話がきまったらしく、主膳の方は急にそわそわとき立ちました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぜいからしまりのないうへに、今日けふ家探やさがしで少しき込んでゐる。話が一段落つくと、相の手の様に、何所どこかないか/\と聞く。仕舞には三四郎も笑ひ出した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とすっかり手入れの出来た来国俊らいくにとしを渡してくれた。それを見た刹那、新九郎はふと千浪や兄の面影を思い浮べたが、御方にかれ、一刀を小脇にして庭へ飛び降りた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
き込むとどもる癖があるから、いつもならばおかしいのであるけれど、誰も笑いませんで、かえって市川に同情するような心持で、老人の返答を相待っているような者さえあります。
韮崎にらさきの夕日にかれながら木曾路へ向った軍馬は初め五千——夜に入ってなお一万近くも立った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはっ勝ちな性分だから、こんな長くて、分りにくい手紙は五円やるから読んでくれと頼まれても断はるのだが、此時ばかりは真面目になつて、始から終迄読み通した。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
き込みもせず……無言のままで青眼にとった刀。こっちがおどしても手答えがない、叫んでも反応がない……自ら薩州の浪人と名乗る壮士は竜之助の太刀ぶりに、やや意外の念を催します。
「あゝ始終いてちや、ばえがしないから駄目ですよ」と美禰子が評した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「こんがらの重兵衛が、こうき立てるからにゃ、唯事じゃありませんぜ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへかしこまって早くお師匠様が用事を言いつけて下さるようにと、腹の中でそれをき立てていましたけれど、なぜかお師匠様なる人は、いつもより悠長に構え込んでいるもののようであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おれはちな性分だから、こんな長くて、分りにくい手紙は、五円やるから読んでくれと頼まれても断わるのだが、この時ばかりは真面目まじめになって、はじめからしまいまで読み通した。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
引いて構えたまま、気合もかけねば打っても突いても来ない、さりとてき立つ気色けしきも見えないで、立合としてこんなのは初めて。先の心をはかり兼ねますから、やむなく自分も仕掛けて行きません。
三人は約三十分ばかり根気こんきに働いた。仕舞にはさすがの与次郎もあまりつ付かなくなつた。見ると書だなの方を向いて胡坐あぐらをかいてだまつてゐる。美禰子は三四郎のかた一寸ちよつといた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
素気すげなき答え方。女は少しき込んで
刻々とせまる黒き影を、すかして見ると女は粛然として、きもせず、狼狽うろたえもせず、同じほどの歩調をもって、同じ所を徘徊はいかいしているらしい。身に落ちかかるわざわいを知らぬとすれば無邪気のきわみである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くなよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうしてそれが見当みあたらないと、大いにきこんで、台所にいる婆さんを、ぼやでも起ったように、仰山ぎょうさんな声をして呼び立てる。すると例の婆さんが、これも仰山な顔をして客間へあらわれて来る。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)