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焦
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せ
ふりがな文庫
“
焦
(
せ
)” の例文
先生は
愛蘭土
(
アイヤランド
)
の人で言葉がすこぶる分らない。少し
焦
(
せ
)
きこんで来ると、東京者が
薩摩
(
さつま
)
人と
喧嘩
(
けんか
)
をした時くらいにむずかしくなる。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
召使たちは、何分にもお館の心配を一刻もはやく安んぜねばと急ぐように、車の返却や礼のことばは明日改めてとばかり先を
焦
(
せ
)
いて曳いて行った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
米友は突き放されじと
焦
(
せ
)
き込みました。焦き込めば焦き込むほど、米友の調子が変になりますから、折助などが嘲弄するには、よい材料であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
阿園が問いに何心なくさようと答えつ、後にてハッと
愕
(
おどろ
)
きたれど
駟
(
し
)
も舌に及ばざりき、女房は
焦
(
せ
)
き立てり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
「何処から来たの! 何うしたと云うんです、早く云って下さい。私心配だわ。」と、
焦
(
せ
)
き立てた。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
これから
百々村
(
どう/\むら
)
へ出まして、
与久村
(
よくむら
)
から
保泉村
(
ほずみむら
)
へかゝりますと、駕籠より馬の方が
余程
(
よっぽど
)
後
(
おく
)
れましたから、心は
焦
(
せ
)
けど馬は
緩
(
のろ
)
く、
後
(
あと
)
より来る男は遅く、姿は見えません。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
急がず
焦
(
せ
)
かず
手
(新字新仮名)
/
今村恒夫
(著)
まあ先生そう
焦
(
せ
)
かずに聞いて下さい。それから約三四時間夜具の中で
辛抱
(
しんぼう
)
して、今度こそもうよかろうとぬっと首を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御方は吾にもあらせぬ
焦
(
せ
)
き
方
(
かた
)
で、新九郎の手をとって熱にふるえる。それをまた一方では、世にも怖ろしいものに掴まれたように、腕を縮めるのだった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何を思いついたのか、二人はその場で話がきまったらしく、主膳の方は急にそわそわと
焦
(
せ
)
き立ちました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平
生
(
ぜい
)
から
締
(
しま
)
りのない
上
(
うへ
)
に、
今日
(
けふ
)
は
家探
(
やさが
)
しで少し
焦
(
せ
)
き込んでゐる。話が一段落つくと、相の手の様に、
何所
(
どこ
)
かないか/\と聞く。仕舞には三四郎も笑ひ出した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
とすっかり手入れの出来た
来国俊
(
らいくにとし
)
を渡してくれた。それを見た刹那、新九郎はふと千浪や兄の面影を思い浮べたが、御方に
焦
(
せ
)
かれ、一刀を小脇にして庭へ飛び降りた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
焦
(
せ
)
き込むと
吃
(
ども
)
る癖があるから、いつもならばおかしいのであるけれど、誰も笑いませんで、かえって市川に同情するような心持で、老人の返答を相待っているような者さえあります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
韮崎
(
にらさき
)
の夕日に
焦
(
せ
)
かれながら木曾路へ向った軍馬は初め五千——夜に入ってなお一万近くも立った。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おれは
焦
(
せ
)
っ勝ちな性分だから、こんな長くて、分りにくい手紙は五円やるから読んでくれと頼まれても断はるのだが、此時ばかりは真面目になつて、始から終迄読み通した。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
焦
(
せ
)
き込みもせず……無言のままで青眼にとった刀。こっちが
嚇
(
おど
)
しても手答えがない、叫んでも反応がない……自ら薩州の浪人と名乗る壮士は竜之助の太刀ぶりに、やや意外の念を催します。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あゝ始終
焦
(
せ
)
つ
着
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
ちや、
焦
(
せ
)
つ
着
(
つ
)
き
栄
(
ばえ
)
がしないから駄目ですよ」と美禰子が評した。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こんがらの重兵衛が、こう
焦
(
せ
)
き立てるからにゃ、唯事じゃありませんぜ」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへ
畏
(
かしこ
)
まって早くお師匠様が用事を言いつけて下さるようにと、腹の中でそれを
焦
(
せ
)
き立てていましたけれど、なぜかお師匠様なる人は、いつもより悠長に構え込んでいるもののようであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おれは
焦
(
せ
)
っ
勝
(
か
)
ちな性分だから、こんな長くて、分りにくい手紙は、五円やるから読んでくれと頼まれても断わるのだが、この時ばかりは
真面目
(
まじめ
)
になって、
始
(
はじめ
)
から
終
(
しまい
)
まで読み通した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
引いて構えたまま、気合もかけねば打っても突いても来ない、さりとて
焦
(
せ
)
き立つ
気色
(
けしき
)
も見えないで、立合としてこんなのは初めて。先の心を
測
(
はか
)
り兼ねますから、やむなく自分も仕掛けて行きません。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三人は約三十分
許
(
ばかり
)
根気
(
こんき
)
に働いた。仕舞にはさすがの与次郎もあまり
焦
(
せ
)
つ付かなくなつた。見ると書
棚
(
だな
)
の方を向いて
胡坐
(
あぐら
)
をかいて
黙
(
だま
)
つてゐる。美禰子は三四郎の
肩
(
かた
)
を
一寸
(
ちよつと
)
突
(
つ
)
つ
付
(
つ
)
いた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
素気
(
すげ
)
なき答え方。女は少し
焦
(
せ
)
き込んで
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
刻々と
逼
(
せま
)
る黒き影を、すかして見ると女は粛然として、
焦
(
せ
)
きもせず、
狼狽
(
うろたえ
)
もせず、同じほどの歩調をもって、同じ所を
徘徊
(
はいかい
)
しているらしい。身に落ちかかる
災
(
わざわい
)
を知らぬとすれば無邪気の
極
(
きわみ
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
焦
(
せ
)
くなよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてそれが
見当
(
みあた
)
らないと、大いに
焦
(
せ
)
きこんで、台所にいる婆さんを、ぼやでも起ったように、
仰山
(
ぎょうさん
)
な声をして呼び立てる。すると例の婆さんが、これも仰山な顔をして客間へあらわれて来る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“焦”の解説
焦(しょう)は、西周時代の諸侯国。
『史記』周本紀によると周の武王は神農氏の末裔を焦(現在の河南省三門峡市陝州区)に封じたとある。
『竹書紀年』の記載によると、周の幽王七年(紀元前775年)焦は虢によって滅亡した。
(出典:Wikipedia)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
“焦”を含む語句
焦燥
焦慮
焦躁
焦心
焦点
焦立
焦々
焦眉
焦土
焦熱
焼焦
焦死
黒焦
焦茶
日焦
焦茶色
焦臭
焦熱地獄
小焦
麦焦
...