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為事
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しごと
ふりがな文庫
“
為事
(
しごと
)” の例文
旧字:
爲事
前にはもっと入念に
為事
(
しごと
)
をしていたではないか、どうしてこう熱意が無くなったのだ、と所長の眼が尋ねているように彼には見えた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「さようですね。僕は少し遣って見ようかと思っている
為事
(
しごと
)
がありますから、どうなりますか分りません。もう大変遅くなりました」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「神の嫁」として、神にできるだけ接近してゆくのが、この人々の
為事
(
しごと
)
であるのだから、処女は神も好むものと見るのは、当然である。
最古日本の女性生活の根柢
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
百姓たちが朝の
為事
(
しごと
)
に就く前に一人一人此処にこの香を捧げて行ったものなのである。一日として斯うない事はないのだそうだ。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
教室で
為事
(
しごと
)
をしてゐる
独逸
(
ドイツ
)
人の医学士が下宿してゐる家に一つ部屋があるから、若し借りる意志があるなら世話しようといふことであつた。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
画家は、ドリアンとヘンリイ卿との間にどんな会話が取り交されたものか、少しも気がつかなかった程、
為事
(
しごと
)
に心を奪われていたのである。
絵姿:The Portrate of Dorian Gray
(新字新仮名)
/
渡辺温
、
オスカー・ワイルド
(著)
鞭を持っていたのは、慣れない
為事
(
しごと
)
で
草臥
(
くたび
)
れた跡で、
一鞍
(
ひとくら
)
乗って、それから身分相応の気晴らしをしようと思ったからである。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
夜、ホテルでそっと襟を出して、例の商標を剥がした。戸を締め切って窓掛を
卸
(
おろ
)
して、まるで贋金を作るという風でこの
為事
(
しごと
)
をしたのである。
襟
(新字新仮名)
/
オシップ・ディモフ
(著)
どれも/\引き合せられはしたが、何の誰やら、どんな
為事
(
しごと
)
をする人やら、こんがらかつて分からなくなつてゐるのである。
板ばさみ
(新字旧仮名)
/
オイゲン・チリコフ
(著)
天気の
好
(
い
)
い
夏日和
(
なつびより
)
に、男は余り気分が好いので、またそろそろ
為事
(
しごと
)
を始めようかとさえ云った。女はそれに同意しなかった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
十四歳になって両親は
顧秀才
(
こしゅうさい
)
の所へ売って妾にした。衣食はそこでほぼ足るようになったが、本妻が気があらくて、毎日その鞭の下で
為事
(
しごと
)
をした。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうは云うものの、おめえ何か旨い
為事
(
しごと
)
があるのなら、おれだって一口乗らねえにも限らねえ。やさしい為事だなあ。
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
また京都の人のために大切ないろいろの
為事
(
しごと
)
をしていて、そう遠方まで旅行をすることの出来なかった人であります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昨夜から降りだした雨が続いている、静かな雨だ、今日は
為事
(
しごと
)
をした、「裸婦」十二まで書いた。石井信次から便りがあった。二十九日に来ると云う。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ああ、それは私の
為事
(
しごと
)
の一つでしたわねえ。貴方に
吩付
(
いひつ
)
けられた。」女は居住まひを直して男の
真向
(
まむき
)
になつた。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
昔久しい間自分の主な
為事
(
しごと
)
にしてゐた色気のある事を、主人がまだ断つてゐないと云ふことは、主人の年が積もつてゐるにも拘はらず、世間で認めてゐる。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
そこで、この込み入つた
為事
(
しごと
)
は随分骨が折れるので、をばさんは逆上して来て、折々息を入れるのである。
祭日
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
それに彼等は秋の日の
日向
(
ひなた
)
ぼっこということもあるらしい。彼等を一番憎んでいるのは母であった。庭の畑作りは母の
為事
(
しごと
)
であり、彼等は畑を踏み荒すからである。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
いつもの通り机の前に
据
(
す
)
わって、刀自の
為事
(
しごと
)
をする手を心地よく見つづけながら、また話しだした。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
いつもこんな日には、外稼ぎの連中は
為事
(
しごと
)
にも出られず、三度の飯を二度にして、
転々
(
ごろごろ
)
襤褸布団
(
ぼろぶとん
)
に
裹
(
くるま
)
りながら冴えない顔をしているのだが、今日ばかりはそうでない。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
生涯掛かつて準備をした
為事
(
しごと
)
をせずに、外の為事をするのが、当世流行です。そこで体が曲つて、頭が馬鹿になる程勉強してゐるうちに、偶然ふいと誤算を発見したですな。
笑
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
大きい
為事
(
しごと
)
をして、ほてっていた小さい手からも、血が皆どこかへ逃げて行ってしまった。
女の決闘
(新字新仮名)
/
ヘルベルト・オイレンベルク
(著)
さういふ囚人は土地の様子を
精
(
くは
)
しく考へてゐるから逃げようとはしない。この島で逃げ出すのは、随分思ひ切つた
為事
(
しごと
)
で、逃げたものはきつと死ぬると云つても好い位である。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
大きい
為事
(
しごと
)
をして、ほてっていた小さい手からも、血が皆どこかへ逃げて行ってしまった。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
どうか致すと、沖に行く臆病な人が一週間も掛かつて取るだけの魚を、わたくし共は一日に取つて帰りました。つまりわたくし共は
山気
(
やまぎ
)
のある
為事
(
しごと
)
をしてゐたのでございますね。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
己は静かな所で
為事
(
しごと
)
をしようと思って、この海岸のある部落の、小さい下宿に住み込んだ。青々とした
蔓草
(
つるぐさ
)
の巻き付いている、その家に越して来た当座の、ある日の
午前
(
ごぜん
)
であった。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
「ドルフ・イエツフエルスを呼んで来い。あいつでなくては此
為事
(
しごと
)
は所詮出来ない。」
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
為事
(
しごと
)
する時に当っては、殆ど本能的に必要に応じてその中の一本を選びとる。
小刀の味
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
いつも野らで
為事
(
しごと
)
をしている百姓の女房の曲った背中も、どこにも見えない。
鴉
(新字新仮名)
/
ウィルヘルム・シュミットボン
(著)
夕方
為事
(
しごと
)
を終つて、東山の方を見ますと、東山の鬼瓦は、夕日にかがやいて、てかてかと、あか黒く光つて、本当に、かみつきさうに見えますが、自分のうちの鬼瓦は、打ちしをれたやうに
にらめつくらの鬼瓦
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
どこでも買わないとなるとその人は執筆の方の
為事
(
しごと
)
はやめてしまいます。
アメリカ文士気質
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ここに
為事
(
しごと
)
がある。それをこの小さいのが遣ります。6900
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
何故なら自分の持ち場も
為事
(
しごと
)
もよくわかっていましたから。
墓場
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
私の好奇心は、宗忠の
為事
(
しごと
)
に少からぬ興味を覚えた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
でも
為事
(
しごと
)
が山を成してゐる
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
遅い朝を、もう余程、今日の
為事
(
しごと
)
に
這入
(
はい
)
ったらしい木の道の者たちが、骨組みばかりの家の中で、立ちはたらいて居るのが見える。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そしてその手紙の要点を
掴
(
つか
)
まえようと努力した。手紙の内容を
約
(
つづ
)
めて見れば、こうである。政治は多数を相手にした
為事
(
しごと
)
である。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「あそこに何か
為事
(
しごと
)
をしている人たちが見えるな。あの人たちに訊いたら、すこしはこのへんの様子が分かるかもしれない。」
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「これから雨でも降り出したら、何をしようかなあ。そうなったら、己が
為事
(
しごと
)
をしたって、文句を言いはしないだろうな。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
山野を歩いて
為事
(
しごと
)
をする夫の気持でやはり農業歌の一種と
看
(
み
)
ていい。「かりばね」は「苅れる根を言ふべし」(略解)だが、原意はよく分からぬ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「そりゃあ好かった。家の女房ならば、Bの
為事
(
しごと
)
の助手位はやるでしょう。何しろ、自然科学にかけては、僕の十倍も詳しいと云う女ですからね。」
花嫁の訂正:――夫婦哲学――
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
十娘は毎日お化粧をして坐っているばかりで、女のする
為事
(
しごと
)
は何もしなかった。崑の着物から履物のことは一切母親にさした。母親はある日怒って言った。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
地蔵が手伝いに来てわざわざそういう
為事
(
しごと
)
をして下さるといったのは、まことに少年らしい夢であります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大窓
(
おおまど
)
の下に銅版の
為事
(
しごと
)
をする
卓
(
たく
)
あり。その上に為事半ばの銅版と色々の道具とを置きあり。左手に画架。その上に光線を遮るために使う枠を逆さにして載せあり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
即ち余は
建具
(
たてぐ
)
職の若者と同居せねばならぬ、余は此の家をも早く去る積り。東京へ帰ることにしよう。
為事
(
しごと
)
が快く続かない。今日徳田秋声を訪ねたが志を果さなかった。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いわば世界中の海を
跨
(
また
)
にかけた男らしい
為事
(
しごと
)
で、
端
(
はした
)
月給を取って上役にピョコピョコ頭を下げてるような勤人よりか、どのくらい亭主に持って肩身が広いか知れやしねえ
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
ほんの隠居
為事
(
しごと
)
に斯んなことをして居るが馴れて見れば結局この方が気楽でいいと笑っている。
青年僧と叡山の老爺
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
己は
為事
(
しごと
)
をする気になられない。ランプを
点
(
つ
)
けるのが厭なので、己は薄暗がりに、
床
(
とこ
)
の上で横になつてゐる。あたりが暗くて静かな時には、兎角重くろしい感じが起るものである。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
此困難な
為事
(
しごと
)
の全部を今の裁判官に任せてしまつてあるのが、そもそも誤判を生む原因である。陪審制度はそこの欠点を補はうとするのが目的だ。陪審官も人間であるから、
矢張
(
やはり
)
神通力がない。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
己は賊等が
為事
(
しごと
)
をしおほせて満足して逃げたなと思つた。風が静かに木々の
頂
(
いただき
)
をゆすつてゐる。夜の鳥が早い、鈍い
羽搏
(
はゞたき
)
をして飛んで行く。そして折々ピニイの木の実が湿つた地に墜ちる音がする。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“為事”で始まる語句
為事場
為事着
為事室
為事師
為事為
為事衣