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潮流
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てうりう
其翌日も、
空しく
蒼渺たる
大海原の
表面を
眺むるばかりで、たゞ
我端艇は
沙魚の
爲に
前の
潮流を
引出だされ、
今は
却て
反對流とて、
今度は
西南から
東方に
向ひ
然して
立ちながら、
外國や、
露西亞の
新聞雜誌に
書いてある
珍らしい
事、
現今は
恁云ふ
思想の
潮流が
認められるとかと
話を
進めたが、イワン、デミトリチは
頗る
注意して
聞いてゐた。
居ながら
海上海底の
光景を
觀測する
事を
得べく、
自動照凖器をもつて
潮流の
速力を
知り、
波動の
方向を
定め、
海戰既に
始まらは、
艇は
逆浪怒濤の
底を
電光の
如く
駛る、
其間に
立つて