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欠片
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かけら
ふりがな文庫
“
欠片
(
かけら
)” の例文
旧字:
缺片
「そうだ、そうだ。いい事をした。——畜生、もう一度出て見やがれ。あたまの皿ア
打挫
(
ぶっくじ
)
いて、
欠片
(
かけら
)
にバタをつけて一口だい。」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
またパンの
欠片
(
かけら
)
や
蜜柑
(
みかん
)
の皮といった食物まで運ばれていた——など、何が何やら、彼にとって
薩張
(
さっぱ
)
り訳の判らないことであった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一日の仕事を終えた工場では、四五人の従業員が、ラムネの瓶を箱詰にしたり、割れたガラスの
欠片
(
かけら
)
を、竹箒で、掃き集めたりしている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そこには唯
苔
(
こけ
)
の生えた上に煉瓦や瓦の
欠片
(
かけら
)
などが幾つも散らかつてゐるだけだつた。が、それは彼の目にはセザンヌの風景画と変りはなかつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それを一瞬の間に、
覆
(
くつがえ
)
してしまうような、怖ろしい力が現われたとき、人は不可抗とだけで、悔いの
欠片
(
かけら
)
も残さずケロリと
断念
(
あきら
)
めてしまうものである。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
雲一つない
鋼鉄色
(
はがねいろ
)
の空には、鎗の穂よりも鋭い星が無数に
燦
(
きらめ
)
いて、降つて来る光が、氷り果てた雪路の処々を、鏡の
欠片
(
かけら
)
を散らかした様に照して居た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
犬の
糞
(
くそ
)
だの、瀬戸物の
欠片
(
かけら
)
だの、
錆
(
さ
)
びた
釘
(
くぎ
)
だの、かぞえていると、やがて、後ろで、お蔦の呼ぶ声がした。門の
際
(
きわ
)
に、その姿が見え、
手招
(
てまね
)
きしていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は昼間
階下
(
した
)
の暗いのに
飽
(
あ
)
いて二階へ
上
(
あが
)
つて来て居る子供等が、
紙片
(
かみきれ
)
や
玩具
(
おもちや
)
の
欠片
(
かけら
)
一つを落してあつても
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
貧乏徳利の
欠片
(
かけら
)
を細かに
摺
(
す
)
り
潰
(
つぶ
)
して使うんだが、それがこの頃はだんだん上手になって、小さい南京玉をぶっ掻いて地金にするということを俺はかねて聴いている。
半七捕物帳:28 雪達磨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
冬や春は川底に
味噌漉
(
みそこし
)
のこわれや、バケツの捨てたのや、陶器の
欠片
(
かけら
)
などが汚なく
殺風景
(
さっぷうけい
)
に見えているのだが、このごろは水がいっぱいにみなぎり流れて、それに月の光や
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
売るものが
留守
(
るす
)
に
在
(
あ
)
ろうはずは無し、どうしているか知らねえが、それでも帰るに
若干銭
(
なにがし
)
か
握
(
つか
)
んで
家
(
うち
)
へ
入
(
へ
)
えるならまだしもというところを、銭に縁のあるものア
欠片
(
かけら
)
も持たず
空腹
(
すきっぱら
)
アかかえて
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
血海の中に冷く光っているガラス瓶の
欠片
(
かけら
)
でつけたものであろう、顔から頭へかけて物凄い
掻傷
(
かききず
)
が
煮凝
(
にこごり
)
のような血を吹き、わけても正視に堪えぬのは、前額から頭蓋へかけてバックリ開いた大穴から
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
欠片
(
かけら
)
、氷。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「皿を壁へ叩きつけてね、そのまた
欠片
(
かけら
)
をカスタネットの代りにしてね、指から血の出るのもかまわずにね、……」
カルメン
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ネギの白味、豚の白味、茶碗の
欠片
(
かけら
)
、白墨など。細い板の上にそれらのどれかをくくりつけ、先の方に三本ほど、内側にまくれたカギバリをとりつける。
ゲテ魚好き
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼の死には、人間の生理が一変してしまわないかぎり、どこにも、疑義の
欠片
(
かけら
)
さえ差し挟む余地がないのである。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
割れた
欠片
(
かけら
)
を、拾いあつめ、また、手車を押して歩きながら、彼は人中の
間
(
ま
)
のわるさと、憤りに血を熱くして
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生芋の
欠片
(
かけら
)
さえ芋屋の
小母
(
おば
)
さんが無代では見向きもしない時は、人間よりはまだ気の知れない
化
(
ばけ
)
ものの方に幾分か
憑頼
(
ひょうらい
)
がある、
姑獲女
(
うぶめ
)
を知らずや、
嬰児
(
あかんぼ
)
を抱かされても力餅が慾しいのだし
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瑞樹
(
みづき
)
だけでなくて沢山
双生児
(
ふたご
)
の
欠片
(
かけら
)
が出来たと私は驚きます。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
しよって、
欠片
(
かけら
)
が顔に飛んだらしい。それが眼に入って、
盲目
(
めくら
)
になるかも知れん、と書いてあった。それにびっくりして、お
母
(
か
)
さんも寝こんでしもうとるげな
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
丸官の
握拳
(
にぎりこぶし
)
が、時に、
瓦
(
かわら
)
の
欠片
(
かけら
)
のごとく、群集を打ちのめして
掻分
(
かきわ
)
ける。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十郎は、ガラスの
欠片
(
かけら
)
で、額に出来た傷に、絆創膏を貼っている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
成程、羽織を着たものは、ものの
欠片
(
かけら
)
も見えぬ。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
欠
常用漢字
小4
部首:⽋
4画
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
“欠”で始まる語句
欠伸
欠
欠点
欠陥
欠所
欠落
欠乏
欠唇
欠損
欠呻