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櫛巻
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くしま
ふりがな文庫
“
櫛巻
(
くしま
)” の例文
旧字:
櫛卷
母は枕もとの看護婦に、
後
(
あと
)
の手当をして貰いながら、
昨夜
(
ゆうべ
)
父が云った通り、絶えず白い
括
(
くく
)
り枕の上に、
櫛巻
(
くしま
)
きの頭を動かしていた。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その様子を見るとまた
身体
(
からだ
)
でも良くないと思われて、真白い顔が少し
面窶
(
おもやつ
)
れがして、
櫛巻
(
くしま
)
きに
結
(
い
)
った
頭髪
(
あたま
)
がほっそりとして見える。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そうまでも
行
(
ゆ
)
きますまいが、髪を洗って、湯に入って、そしてその
洗髪
(
あらいがみ
)
を
櫛巻
(
くしま
)
きに結んで、
笄
(
こうがい
)
なしに、
紅
(
べに
)
ばかり薄くつけるのだそうです。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほつれ毛もないようなあの
丸髷
(
まるまげ
)
は空しくつぶされ、ぐるぐると
櫛巻
(
くしま
)
きにした洗い髪が、
襟
(
えり
)
にあてた
手拭
(
てぬぐい
)
の上におくれ毛を散らばらせていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
内もひっそりしていて、
菰被
(
こもかぶ
)
りの据わった帳場の方の次の狭い部屋には、
懈
(
だる
)
そうに坐っている痩せた女の
櫛巻
(
くしま
)
き姿が見えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
と、ある横町の路地の奥で、
櫛巻
(
くしま
)
きの女が洗濯しているのが見えた。その
傍
(
わき
)
にその女の子供らしい七、八つの男の子がいた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
うらうらと燃える
陽炎
(
かげろう
)
を背に、無造作な
櫛巻
(
くしま
)
き、
小弁慶
(
こべんけい
)
の
袷
(
あわせ
)
に幅の狭い
繻子
(
しゅす
)
と
博多
(
はかた
)
の腹合わせ帯を締めて、首と胸だけをこう
背
(
うしろ
)
へ振り向けたところ
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
櫛巻
(
くしま
)
きとかいうものに髪を取上げて、
小弁慶
(
こべんけい
)
の糸織の
袷衣
(
あわせ
)
と養老の
浴衣
(
ゆかた
)
とを重ねた奴を素肌に着て、
黒繻子
(
くろじゅす
)
と
八段
(
はったん
)
の腹合わせの帯をヒッカケに結び
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
女は髪を
櫛巻
(
くしま
)
きにして、洗いざらした
手拭
(
てぬぐい
)
の
頬被
(
ほおかぶ
)
り、
紺飛白
(
こんがすり
)
の
半纏
(
はんてん
)
のようなものを着て、白い湯文字がまる出しだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
葉子と顔を見合わした瞬間には
部屋
(
へや
)
を間違えたと思ったらしく、少しあわてて身を引こうとしたが、すぐ
櫛巻
(
くしま
)
きにして
黒襟
(
くろえり
)
をかけたその女が葉子だったのに気が付くと
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その
櫛巻
(
くしま
)
きの肥っちょう
面
(
づら
)
を見ると思い出した。この
女将
(
かみさん
)
は吾輩に度々特種を提供している。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
地味な着物に
黒繻子
(
くろじゅす
)
の帯、長い
笄
(
こうがい
)
、
櫛巻
(
くしま
)
きにした髪の姿までを話のなかに
彷彿
(
ほうふつ
)
させて見せる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
吉里は用事をつけてここ十日ばかり店を
退
(
ひ
)
いているのである。病気ではないが、頬に
痩
(
や
)
せが見えるのに、
化粧
(
みじまい
)
をしないので、顔の生地は荒れ色は
蒼白
(
あおざめ
)
ている。髪も
櫛巻
(
くしま
)
きにして
巾
(
きれ
)
も掛けずにいる。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「ウム。
仇
(
あだ
)
ッぽい
櫛巻
(
くしま
)
きの女? ……」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母は
括
(
くく
)
り枕の上へ、
櫛巻
(
くしま
)
きの頭を横にしていた。その顔が
巾
(
きれ
)
をかけた電燈の光に、さっきよりも一層
窶
(
やつ
)
れて見えた。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二、三日
逢
(
あ
)
わなかった懐かしい顔は
櫛巻
(
くしま
)
きに
束
(
つか
)
ねた
頭髪
(
あたま
)
に、
蒼白
(
あおじろ
)
く
面窶
(
おもやつ
)
れを見せて
平常
(
いつも
)
よりもまだ好く思われた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
見違えるほど血色に
曇
(
うる
)
みが出来て、髪なども
櫛巻
(
くしま
)
きのままであった。
丈
(
たけ
)
の高い体には、
襟
(
えり
)
のかかった
唐桟柄
(
とうざんがら
)
の
双子
(
ふたこ
)
の
袷
(
あわせ
)
を着ていた。お雪はもう三十に手の届く
中年増
(
ちゅうどしま
)
であった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もう向うを向いて布団に潜っていて、
櫛巻
(
くしま
)
きの頭だけしか見えませんでした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪は
櫛巻
(
くしま
)
きに
束
(
つか
)
ねて、素顔を自慢に
※脂
(
べに
)
のみを
点
(
さ
)
したり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
髪までやはり
櫛巻
(
くしま
)
きにしていたのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
僕の母は髪を
櫛巻
(
くしま
)
きにし、いつも芝の実家にたった一人
坐
(
すわ
)
りながら、
長煙管
(
ながぎせる
)
ですぱすぱ
煙草
(
たばこ
)
を吸っている。顔も小さければ体も小さい。その又顔はどう云う訳か、少しも生気のない灰色をしている。
点鬼簿
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
櫛
漢検準1級
部首:⽊
19画
巻
常用漢字
小6
部首:⼰
9画
“櫛巻”で始まる語句
櫛巻髪