標本ひょうほん)” の例文
「おれは内地の農林のうりん学校の助手じょしゅだよ、だから標本ひょうほんあつめに来たんだい。」私はだんだん雲のえて青ぞらの出て来る空を見ながら
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「これは……?」乙吉の受取ったのは、よく鉱物こうぶつ標本ひょうほんを入れるのに使う平べったい円形えんけいのボールばこで、上が硝子ガラスになっていた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うちかえって、すぐみずれてみよう、そして、きたらっておこう、もしかえらなかったら、そうだ、標本ひょうほんにしようか?
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは温泉から沈澱ちんでんしたのです。石英せきえいです。岩のさけ目を白いものがめているでしょう。いい標本ひょうほんです。〕みんながかこむ。水の中だ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
町には、貝がらだの、珊瑚さんごだの、極楽鳥ごくらくちょう標本ひょうほんだの、大きな剥製はくせいのトカゲだの、きれいにみがいてあるべっこうガメの甲羅こうらなどを売っていて、みんなほしくなった。
恐竜艇の冒険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おおきい、きれいなちょうだな。小鳥ことりぐらいあるかしらん。おとうとつけたら、きっとつかまえてしまうだろう、今年ことしなつは、すばらしい昆虫こんちゅう標本ひょうほんをつくるのだといっていたから。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
これが今日きょうのおしまいだろう、といながら斉田さいたは青じろい薄明はくめいながれはじめた県道に立ってがけ露出ろしゅつした石英斑岩せきえいはんがんから一かけの標本ひょうほんをとって新聞紙に包んだ。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ふむ。では契約けいやくした。学生が待っているから、早速さっそく標本ひょうほんになってもらおう。こっちへ来なさい」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なにをいってんだい。ぼくいろいろなむし採集さいしゅうして標本ひょうほんつくるんじゃないか。」
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
つめたがいにやられたのだな朝からこんないい標本ひょうほんがとれるならひるすぎは十字狐じゅうじぎつねだってとれるにちがいないと私は思いながらそれをひろって雑嚢ざつのうに入れたのでした。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「それは……それは、私が研究してこしらえた、ある大切な標本ひょうほんなのです」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
地理学者や探険家たんけんかならばちょっと標本ひょうほんって行けそうなものではありましたがまだまったくあたらしく黄いろと赤のペンキさえられていかにも異様いように思われ、その前には
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「君は、この魚を標本ひょうほんにもってかえりたいだろう」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は「あした石膏せっこう用意よういして来よう」ともいました。けれどもそれよりいちばんいいことはやっぱりその足あとを切りって、そのまま学校へ持って行って標本ひょうほんにすることでした。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
けれども壺穴つぼあな標本ひょうほんを見せるつもりだったが思ったくらいはっきりはしていないな。多少失望しつぼうだ。岩は何という円くなめらかにけずられたもんだろう。水苔みずごけえている。すべるだろうか。滑らない。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それから川岸を下って朝日橋あさひばしわたって砂利じゃりになった広い河原かわらへ出てみんなで鉄鎚かなづちでいろいろな岩石の標本ひょうほんあつめた。河原からはもうかげろうがゆらゆら立ってむこうの水などは何だか風のように見えた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ああいい、これはいい標本ひょうほんだ。こいつならってこいだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
標本ひょうほんじゃありません。みんなたべるじゃありませんか」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さぎにするんですか。標本ひょうほんですか」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
標本ひょうほんにするんですか」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)