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うえこみ
ふりがな文庫
“
植込
(
うえこみ
)” の例文
王宙は伯父の
室
(
へや
)
を出て庭におり、
自個
(
じぶん
)
の住居へ帰るつもりで
植込
(
うえこみ
)
の
竹群
(
たけむら
)
の
陰
(
かげ
)
を歩いていた。夕月がさして竹の葉が
微
(
かすか
)
な風に動いていた。
倩娘
(新字新仮名)
/
陳玄祐
(著)
下には椅子テーブルに植木鉢のみならず舞台で使う
藪畳
(
やぶだたみ
)
のような
植込
(
うえこみ
)
が置いてあるので、何となく狭苦しく一見
唯
(
ただ
)
ごたごたした心持がする。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
玄関の前には大きな
蘇鉄
(
そてつ
)
を植えた円形の
植込
(
うえこみ
)
があった。電燈の燈が
鋸
(
のこぎり
)
の歯のようなその葉に明るく
射
(
さ
)
していた。二台の自動車がその左側に置いてあった。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
庭の
植込
(
うえこみ
)
のなかに淡い柱灯がともっていた。凸凹をなした庭の窪みに、小石を敷いた大きな空池があって、風に揺ぐ植込の茂みの間に、ちらちら見えていた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
前足を
揃
(
そろ
)
えた上に、四角な
顎
(
あご
)
を載せて、じっと庭の
植込
(
うえこみ
)
を眺めたまま、いつまでも動く様子が見えない。小供がいくらその
傍
(
そば
)
で騒いでも、知らぬ顔をしている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「それから
一目散
(
いちもくさん
)
に飛び出した。——
懐中
(
ふところ
)
の十手を取り出すわけにもいかないから、逃げの一手だ。
石燈籠
(
いしどうろう
)
を
蹴散
(
けちら
)
して
植込
(
うえこみ
)
をくぐって、裏門を出るのが精いっぱい」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
爪先立ちをしてみても、
植込
(
うえこみ
)
の間から母屋の屋根つづきが、それもほんの少々
窺
(
うかが
)
われるばかりだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
植込
(
うえこみ
)
の間をぬけて内玄関へ急いだが、往来にはどの家でも誰か顔をだしているのに、道夫の家だけは誰もでていないことに気がつき、何だか異変は自分の家にもありそうな気がして
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして
何所
(
どこ
)
に一
点
(
てん
)
の
塵
(
ちり
)
とてもなく、
又
(
また
)
道
(
みち
)
の
両側
(
りょうがわ
)
に
程
(
ほど
)
よく
配合
(
あしら
)
った
大小
(
だいしょう
)
さまざまの
植込
(
うえこみ
)
も、
実
(
じつ
)
に
何
(
なん
)
とも
申上
(
もうしあ
)
げかねるほど
奇麗
(
きれい
)
に
出来
(
でき
)
て
居
(
お
)
り、とても
現世
(
げんせ
)
ではこんな
素晴
(
すば
)
らしい
道路
(
どうろ
)
は
見
(
み
)
られませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その
星明
(
ほしあかり
)
で庭の景色もおぼろに見える、昼は
左
(
さ
)
のみとも思わなかったが、今見ると実に驚くばかりの広い庭で、
植込
(
うえこみ
)
の立木は
宛
(
まる
)
で小さな森のように黒く
繁茂
(
しげ
)
っているが、今夜はそよとの風も吹かず
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いずこも同じ秋の夕暮かナ。」と種彦は戯れながらふと
植込
(
うえこみ
)
に吹入る朝風の
響
(
ひびき
)
に、「いや暑い暑いといっている
中
(
うち
)
もう秋風が吹くと見える。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
個人の住宅とほとんど区別のつかない、
植込
(
うえこみ
)
の突当りにある玄関から上ったので、勝手口、台所、帳場などの
所在
(
ありか
)
は、すべて彼にとっての秘密と何の
択
(
えら
)
ぶところもなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
午後
(
ひるすぎ
)
庭に出て
植込
(
うえこみ
)
の間を歩くと、
差込
(
さしこ
)
む日の光は梅や
楓
(
かえで
)
なぞの
重
(
かさな
)
り合った木の葉をば一枚々々照すばかりか、
苔蒸
(
こけむ
)
す土の上にそれらの影をば模様のように描いています。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
植込
(
うえこみ
)
の中を
一
(
ひと
)
うねりして奥へ
上
(
のぼ
)
ると左側に
家
(
うち
)
があった。明け放った
障子
(
しょうじ
)
の内はがらんとして人の影も見えなかった。ただ
軒先
(
のきさき
)
に据えた大きな鉢の中に飼ってある金魚が動いていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
植
常用漢字
小3
部首:⽊
12画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“植”で始まる語句
植
植物
植木屋
植木鉢
植木
植半
植物園
植村樣
植木店
植松菖助