トップ
>
木口
>
きぐち
ふりがな文庫
“
木口
(
きぐち
)” の例文
大して大きくありませんが、離屋付の恐ろしく贅澤な構へで、
木口
(
きぐち
)
や調度の良さは、さすが物馴れた平次の眼をも驚かします。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四間
(
よま
)
しかない狭い家だったけれども、
木口
(
きぐち
)
などはかなり吟味してあるらしく子供の眼にも見えた。間取にも工夫があった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この家は旧
札差
(
ふださし
)
の
作
(
こしら
)
えた家で、間口が四
間
(
けん
)
に二間半の
袖蔵
(
そでぐら
)
が付いており、奥行は十間、総二階という建物で、
木口
(
きぐち
)
もよろしく立派な建物であったが
幕末維新懐古談:24 堀田原へ引っ越した頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
構
(
かまへ
)
の
可慎
(
つつまし
)
う目立たぬに
引易
(
ひきか
)
へて、
木口
(
きぐち
)
の
撰択
(
せんたく
)
の至れるは、館の改築ありし折その旧材を拝領して用ゐたるなりとぞ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
首をもがれ、手を折られたあとの傷口からは、外見の黒ずんだ古めかしい色あいとは似ても似つかない、まだなまなましい白い
木口
(
きぐち
)
が、のぞいていたではありませんか。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
何と云う町なのか知らないけれども、郊外らしく
展
(
ひら
)
けていて、新らしい
木口
(
きぐち
)
の家が沢山建っていた。それでも、時々、廃寺のような寺があったり、畑や
空地
(
あきち
)
などがあった。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
驚きながら
四辺
(
あたり
)
を見ますと、結構な
木口
(
きぐち
)
の新築で、自分の
姿
(
なり
)
を見ると、
単物
(
ひとえもの
)
の
染
(
そめ
)
っ返しを着て、前歯の
滅
(
へ
)
りました下駄を
穿
(
は
)
き、腰に
穢
(
きたな
)
い
手拭
(
てぬぐい
)
を下げて、
頭髪
(
あたま
)
は
蓬々
(
ぼう/\
)
として
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「如何にも住み心地の好さそうな家だね。君は凝り性だから
木口
(
きぐち
)
も大分選んであるようだ」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
親父
(
おやじ
)
が死んでから春木町を去って小石川の
富坂
(
とみざか
)
へ別居した。この富坂上の家というは
満天星
(
どうだん
)
の
生垣
(
いけがき
)
を
繞
(
めぐ
)
らした
頗
(
すこぶ
)
る風雅な構えで、
手狭
(
てぜま
)
であったが
木口
(
きぐち
)
を選んだ凝った
普請
(
ふしん
)
であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と、おれも、考えているのだが、時々、そうでないのかと思われる事がある。おそろしく、入念だ。それに、内蔵助自身が、普請好きとみえ、
木口
(
きぐち
)
の
好
(
この
)
み、仕事のやかましさ、職人共が弱っている程、がっしりと、土台から金を
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しもたや造りですが、暮しの良さが反映して、
木口
(
きぐち
)
も見事、調度も相應、町人にしては先づ最上の暮し向きでせう。
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
普請は
木口
(
きぐち
)
を選んで
贅沢
(
ぜいたく
)
なことで建てゝから五年も
経
(
た
)
ったろうという
好
(
よ
)
い時代で、落着いて、なか/\席の
工合
(
ぐあい
)
も宜しく、
床
(
とこ
)
は九尺床でございまして、
探幽
(
たんゆう
)
の山水が懸り
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
前の、妙法寺のように荒れ果てた感じではなく、
木口
(
きぐち
)
のいい家で、近所が大変にぎやかであった。二階の
障子
(
しょうじ
)
を開けると、川添いに
合歓
(
ねむ
)
の花が咲いていて川の水が遠くまで見えた。
落合町山川記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
木口
(
きぐち
)
は余り上等とも思わなかったが、
左
(
と
)
に
右
(
か
)
く木の
香
(
か
)
のする明るい新築だった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「東京辺の安料理屋よりかえって好いくらいですね」と自分は柱の
木口
(
きぐち
)
や
床
(
とこ
)
の軸などを見廻した。嫂は
手摺
(
てすり
)
の所へ出て、中庭を眺めていた。古い梅の株の下に
蘭
(
らん
)
の茂りが
蒼黒
(
あおぐろ
)
い影を深く見せていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
元鳥越町の
甚内橋
(
じんないばし
)
袂に、
角倉
(
かどくら
)
のある二階建、せいぜい間数は六つ七つ、庭の広いのと、
洒落
(
しゃれ
)
た
離屋
(
はなれ
)
のあるのと、
木口
(
きぐち
)
の良いのが自慢——といった家です。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
アヽ
大分
(
だいぶ
)
何
(
ど
)
うも
御念入
(
ごねんいり
)
ぢやなモシ、お
棟上前
(
むねあげまへ
)
に
此
(
この
)
お
門口
(
かどぐち
)
を
通
(
とほ
)
つたが
実
(
じつ
)
に
何
(
ど
)
うも
豪
(
えら
)
い
木口
(
きぐち
)
を
入
(
い
)
れやはつて
恐入
(
おそれいり
)
ました、
上方
(
かみがた
)
から
吉野丸太
(
よしのまるた
)
や
嵯峨丸太
(
さがまるた
)
を
取寄
(
とりよせ
)
ての
御建築
(
ごけんちく
)
とは
豪
(
えら
)
いものや
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
シカモ余り広くはなかったが、
木口
(
きぐち
)
を選んだシッカリした普請で、家財道具も小奇麗に
整然
(
きちん
)
と行届いていた。親子三人ぎりの家族で、誰が目にも窮しているどころか、むしろ気楽そうに見えていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
稼業柄で
木口
(
きぐち
)
の見事さ、拵えや調度は少し品が落ちますが、それでもザラの町家などには、見られない
普請
(
ふしん
)
です。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
丈夫一式で
木口
(
きぐち
)
が橋板のように馬鹿に厚くっては、第一重くもあり、お飾り申した処が見にくゝって勿体ないから、
一寸
(
ちょっと
)
見た処は通例の仏壇のようで、大抵な事では
毀
(
こわ
)
れませんように
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“木口”で始まる語句
木口公平