有仰おつしや)” の例文
貴方あなたは、んかてえとうちが淋しい淋しいツて有仰おつしやいますけれども、そりや家に病身の人がゐりや、自然しぜん陰氣いんきになりもしますわ。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あ、エウゲニイ、フエオドロヰチの有仰おつしやるには、本院ほんゐん藥局やくきよく狹隘せまいので、これ別室べつしつの一つに移轉うつしては奈何どうかとふのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まづかう云ふ考でこの商売に入つたのでありますから、実を申せば、貴方の貸して遣らうと有仰おつしやる資本は欲いが、人間の貴方には用が無いのです
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(おめしうやつてきませう、さあおせなを、あれさ、じつとして。お嬢様ぢやうさま有仰おつしやつてくださいましたおれいに、叔母をばさんが世話せわくのでござんす、おひとわるい、)といつて片袖かたそで前歯まへば引上ひきあ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それぢや、これからもう、家が淋しいのひやゝかだのと有仰おつしやらないで下さいまし。無能力な動物に何も出來やう筈がございませんわ。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うございますから取つて置いて下さい。その代り誰にもお見せなさらないやうに、阿父様おとつさまにも阿母様おつかさまにも誰にも有仰おつしやらないやうに、ねえ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
成程なるほどときれば監獄かんごくや、瘋癲病院ふうてんびやうゐんはいされて、正義せいぎ貴方あなた有仰おつしやとほかちめるでせう、しか生活せいくわつ實際じつさいれでかはるものではありません。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
有仰おつしやれば、女だツて仍且やつぱりうでございませうよ。出來る事ならひとりでゐた方が幾ら氣樂きらくだか知れやしません。」とひやゝかにいふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「まづその御意おつもりでお熱いところをお一盞ひとつ不満家むづかしや貴方あなたが一寸好いと有仰おつしやる位では、余程よつぽど尤物まれものと思はなければなりません。全くすくなうございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『ではわたくしなどはいたづらくるしみ、不滿ふまんならし、人間にんげん卑劣ひれつおどろいたりばかりしてゐますから、白癡はくちだと有仰おつしやるのでせう。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「其様な勝手なことを有仰おつしやツたツて可けないわ。そりや何うせおやしきにゐらツしやるやうなことは無いんですからね。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)