昔風むかしふう)” の例文
甥は何と思って清の自慢を聞いていたか分らぬ。ただ清は昔風むかしふうの女だから、自分とおれの関係を封建ほうけん時代の主従しゅじゅうのように考えていた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いたにはあまり人がりませぬで、四五にんりました。此湯このゆ昔風むかしふう柘榴口ざくろぐちではないけれども、はいるところ一寸ちよつと薄暗うすぐらくなつてります。
年始まはり (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しょうは、おじいさんのそばへって、こしろしました。おじいさんのおし火鉢ひばちにあたって、昔風むかしふうふといきせるにをつけました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
室内しつないには螺旋ねぢゆかめられた寐臺ねだい數脚すうきやく其上そのうへにはあを病院服びやうゐんふくて、昔風むかしふう頭巾づきんかぶつてゐる患者等くわんじやらすわつたり、たりして、これみんな瘋癲患者ふうてんくわんじやなのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
昔風むかしふうもんはひると桑園くはゞたけあひだ野路のみちのやうにして玄關げんくわんたつする。いへわづか四間よま以前いぜんいへこはして其古材そのふるざいたてたものらしくいへかたちなしるだけで、風趣ふうちなにいのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
室内しつないには螺旋ねじゆかめられた寐台ねだい数脚すうきゃく。そのうえにはあお病院服びょういんふくて、昔風むかしふう頭巾ずきんかぶっている患者等かんじゃらすわったり、たりして、これはみんな瘋癲患者ふうてんかんじゃなのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
といふおはなしを考へました、これ昔風むかしふう獣物けものくちくといふお話のすぢでございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)