はか)” の例文
この上は父のはからひに任せて、我はいづれにもあれ、外へは嫁付とつかず、一生独身にてくらし身を清らにさへ持ちたらましかばとそれのみ心に念じ居たり。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
草むらを見もてゆけば、はからず黒く醜き頭と光る眼とを認め得て、こゝにも臥したるよと驚くこと間々あり。
なお未決ながら公判開廷の期の近づきしままに、護送の便宜上客分きゃくぶんとしてかくは取りはからわれしなりけり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
数年前、米屋がますを使用していた時代には彼は錚々そうそうたる職人として桝取業をしていた。彼の腕にかかれば、必要に応じて、一斗の米が一斗五升にも八升にもはかりかえられた。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
おいらはらぬとつたけれどいてつてつてれた、べてはるいかへと流石さすがはゝこゝろはかりかね、かほをのぞいて猶豫ゆうよするに、あゝとしがゆかぬとてなんたらわけわからぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「どうも、恐ろしい世の中になって来ました。掟年貢おきてねんぐはかり立てを勘弁してもらいましょう、そんなことを言って、わたしどもへ出入りの百姓が三人もそろって談判に見えましたよ。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おいらは入らぬと言つたけれど抱いてつて買つてくれた、喰べては悪るいかへとさすがに母の心をはかりかね、顔をのぞいて猶予ゆうよするに、ああ年がゆかぬとて何たら訳の分らぬ子ぞ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
喰べては惡いかへと流石に母の心をはかりかね、顏をのぞいて猶豫するに、あゝ年がゆかぬとて何たら譯の分らぬ子ぞ、あの姉さんは鬼ではないか、父さんを怠惰者なまけものにした鬼ではないか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
運よくばまんの身代十万に延して山梨県の多額納税と銘うたんもはかりがたけれど、ちぎりしことばはあとのみなとに残して、舟は流れにしたがひ人は世に引かれて、遠ざかりゆく事千里、二千里、一万里
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うんよくはまん身代しんだいまんのばして山梨縣やまなしけん多額納税たがくのうぜいめいうたんもはかりがたけれど、ちぎりしことばはあとのみなとのこして、ふねながれにしたがひひとかれて、とほざかりゆくこと、二千、一萬
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)