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よくば
ふりがな文庫
“
慾張
(
よくば
)” の例文
説いたが春琴も
道修町
(
どしょうまち
)
の町家の生れであるどうしてその辺にぬかりがあろうや極端に
奢侈
(
しゃし
)
を好む一面極端に
吝嗇
(
りんしょく
)
で
慾張
(
よくば
)
りであった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
アッチもコッチもとお菓子を
慾張
(
よくば
)
って
喰
(
た
)
べこぼすのを野枝さんが一々拾って世話する処はやはり世間
並
(
なみ
)
のお母さんであった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「どこの主人も
慾張
(
よくば
)
っておりますから、大層縁起がって、つるりと
鵜呑
(
うのみ
)
。地震の卵と知れてからは、何とも申されぬ心持。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おれ
)
の
代
(
かは
)
りに
往
(
い
)
くんだ。弥「ハヽヽそれぢやア
私
(
わたし
)
が
此
(
こ
)
の
身上
(
しんしやう
)
を
貰
(
もら
)
ふのだ。女房「
御覧
(
ごらん
)
なさい、
馬鹿
(
ばか
)
でも
慾張
(
よくば
)
つて
居
(
ゐ
)
ますよ。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「誰があんな
慾張
(
よくば
)
り
親父
(
おやじ
)
を救けるもんか、さあこげ、ボートがあの巣につくまでに、俺の計画をすっかり話してやらあ」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
それをなんだ、すでに
戦
(
いくさ
)
もすみ、軍勢もひいてしまった
今日
(
こんにち
)
のめのめといまごろ鷲をぬすんできたとてなんになるかッ。あのここな
慾張
(
よくば
)
り
小僧
(
こぞう
)
めッ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、余りいろいろな
慾張
(
よくば
)
りな
考
(
かんがえ
)
が次から次と頭の中に
湧
(
わ
)
いて来ますので、どうと言って急に考が
定
(
きま
)
らない風でした。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
しかし前日の母の教へを
記臆
(
きおく
)
して居り
升
(
まし
)
たから、まんざら
吾儘
(
わがまま
)
な
慾張
(
よくば
)
つた様なこと
丈
(
だけ
)
は
其中
(
そのうち
)
に
有
(
あり
)
ませんかつた。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
ひどい
慾張
(
よくば
)
りなんだから、ひとのものは何でも欲しいだろうし、マア坊の策略くらいは僕にだって看破できる。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「親分、——私も此上
慾張
(
よくば
)
つたことは申しません。あの化け娘と一緒にならずに三千兩返して貰へば、それで澤山です、——利息なんか、一文も要りません」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこの敷石にはさいぜんのいざり乞食が、まだ
慾張
(
よくば
)
って店を出していた。明智はふと心づいて、ポケットの小銭を探り、彼の前の
面桶
(
めんつう
)
に投げ入れて通りすぎた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
義塾の
慾張
(
よくば
)
り、時節を
待
(
まっ
)
て千倍にも二千倍にもして
遣
(
や
)
ろうと、若い塾員達はリキンで居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
病人があっても本家として見もかえらぬの、
慾張
(
よくば
)
ってばかり居るのと、いきり立った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「何でも
金鵄勲章
(
きんしくんしょう
)
の年金か何かを
御藤
(
おふじ
)
さんが
貰
(
もら
)
ってるんだとさ。だから島田もどこからか貰わなくっちゃ淋しくって堪らなくなったんだろうよ。
何
(
なん
)
しろあの位
慾張
(
よくば
)
ってるんだから」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ほんと? ぢや早くしないとお前さん、
駄目
(
だめ
)
になつてしまひますよ。早く、早くつたら。」とおかみさんも仲々
慾張
(
よくば
)
りでしたから、二人で大あわてにあわてて仕度をして出掛けました。
ねずみさんの失敗
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
父親はそうでもなかったけれど、
草鞋
(
わらじ
)
の音の、その
鉄漿
(
おはぐろ
)
の口は蛇体や、鬼でしたぞね。それは
邪慳
(
じゃけん
)
な
慾張
(
よくば
)
りや。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
、板銀や一分金に変えるというあらたかな地蔵様だ。
慾張
(
よくば
)
りで通った黒木長者が、自分の畑にある地蔵様だから、屋敷内に移して
祀
(
まつ
)
って上げるって言い出したのも無理はあるめえ
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤
(
もっと
)
も彼女は老い先の短かい体であるから
慾張
(
よくば
)
ったところで仕方がないが、
甲斐性
(
かいしょう
)
のない庄造がこの先どうして
凌
(
しの
)
いで行くつもりか、それを考えると安心して死んで行けないのであった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「人間が好過ぎるんでしょうか。あんまり
慾張
(
よくば
)
るからじゃありませんか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あのここな
慾張
(
よくば
)
り
小僧
(
こぞう
)
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ええ、ええ、ごもっとも、お目に
掛
(
かか
)
ったのは震災ずっと前でござんすもの。こっちは、商売、
慾張
(
よくば
)
ってますから、両三度だけれど覚えていますわ。お分りにならない
筈
(
はず
)
……」
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「……私も読みたい読みたいと存じながら、商売もので、つい
慾張
(
よくば
)
りまして、ほほほ、お貸し申します方が先へ立ちますけれど。……何ですか、お女郎の心中ものだとか申しますのね。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また少々
慾張
(
よくば
)
って、米俵だの、
丁字
(
ちょうじ
)
だの、そうした形の
落雁
(
らくがん
)
を出す。
一枚
(
ひとつ
)
ずつ、女の名が書いてある。場所として最も近い東の
廓
(
くるわ
)
のおもだった
芸妓
(
げいしゃ
)
連が
引札
(
ひきふだ
)
がわりに寄進につくのだそうで。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな風にして、無理に
推着
(
おッつ
)
けて婿を取らしたが、実は何、路頭に立つなんて、それほど
窮
(
こま
)
りもしなんだのを、
慾張
(
よくば
)
りで、お
金子
(
かね
)
が欲しさに無理に貰ったが悪いことをしたッて、言うんだ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私も今はかぶっていた帽を取って、その二本の方を
慾張
(
よくば
)
った。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
慾
漢検準1級
部首:⼼
15画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“慾張”で始まる語句
慾張婆
慾張屋
慾張抜
慾張根性