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必竟
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ひっきょう
ふりがな文庫
“
必竟
(
ひっきょう
)” の例文
必竟
(
ひっきょう
)
ずるに自分を離れたものでないという意味から、汚い事でも何でも切実に感ずるのは吾人の親しく経験するところであります。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かかる
無辜
(
むこ
)
の人々を
毫
(
ごう
)
も罰する理由はない。もしその罪を問うことが必要ならば、
必竟
(
ひっきょう
)
その罪の帰するところは彼らに
非
(
あら
)
ずして全く私に在るのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
大臣の二、三男が家を
分
(
わか
)
てば必ず小姓組たるの法なれば、
必竟
(
ひっきょう
)
大臣も小姓組も同一種の
士族
(
しぞく
)
といわざるを得ず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
某国の他教を禁ずる、
必竟
(
ひっきょう
)
自国の平安を保つの主意に
出
(
いづ
)
るがごときは、すなわちこれを禁ずるの権利あり。
「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)
(新字新仮名)
/
ロバート・フィリモア
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
学問を字を習い書を読む上にのみ求めんとせしは我が誤ちなりし、造化至妙の人世という活学校に入りて活字をなすべしと、弱りたる気を自ら皷舞して活発に働きしゆえ
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
▼ もっと見る
このような幻想を彼岸生活として持つものの永生の願望は、
必竟
(
ひっきょう
)
現世
(
げんせ
)
を完全にして無限に延長しようとするに異ならない。しかもその現世の完成が、暴王の企てたところと方向を同じくする。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
大原満の失敗も
必竟
(
ひっきょう
)
ずるに食物上の無智識より起れるなり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その結果が
網膜
(
もうまく
)
を刺激しようが、連想を呼び起そうがいっこう構わんので、
必竟
(
ひっきょう
)
ずるに彼の興味は色彩そのものに存するのであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
というのは
必竟
(
ひっきょう
)
独立心に乏しくただ他によって自分の幸福を全うしよう、今得て居る状態よりよい状態を得たいという慾望、これはまあ人として当り前の事で
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
平岡の方から見れば、
猶更
(
なおさら
)
そうであった。代助は
必竟
(
ひっきょう
)
何しに新聞社まで出掛て来たのか、帰るまでついに問い詰めずに済んでしまった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを基礎から打ち崩して懸かるのは大変な難事業だし、又
必竟
(
ひっきょう
)
出来ない相談だから、始めよりなるべく触らない様にしている。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてそれを食う時に、
必竟
(
ひっきょう
)
この菓子を私にくれた二人の
男女
(
なんにょ
)
は、幸福な
一対
(
いっつい
)
として世の中に存在しているのだと自覚しつつ味わった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして彼らは
必竟
(
ひっきょう
)
夫婦として作られたものか、
朋友
(
ほうゆう
)
として存在すべきものか、もしくは
敵
(
かたき
)
として
睨
(
にら
)
み合うべきものかを疑った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかるところあの烏は惚れてるなと感じるのは、つまり烏がどうのこうのと云う訳じゃない、
必竟
(
ひっきょう
)
自分が惚れているんでさあ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてそれを思い合わせると、いつも似寄った刻限なので、
必竟
(
ひっきょう
)
は毎朝同じ車が同じ所を通るのだろうと推測した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
のみならず、その疑いをまた弁解しようとしている。彼は
必竟
(
ひっきょう
)
正気なのだろうか、狂人なのだろうか、——僕は書物を手にしたまま
慄然
(
りつぜん
)
として恐れた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
は釣をしないからああいう風に
厭世的
(
えんせいてき
)
になるのだと
合点
(
がてん
)
して、むやみに弟を釣に引張り出そうとするのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助には父母未生以前という意味がよく分らなかったが、何しろ自分と云うものは
必竟
(
ひっきょう
)
何物だか、その本体を
捕
(
つら
)
まえて見ろと云う意味だろうと判断した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その喜怒哀楽は
必竟
(
ひっきょう
)
するに拘泥するに足らぬものであるというような筆致が彼らの人生に
齎
(
もたら
)
し
来
(
きた
)
る
福音
(
ふくいん
)
である。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
自分は東京の中に住みながら、ついまだ東京というものを見た事がないんだという結論に到着すると、彼はそこにいつも妙な物
淋
(
さび
)
しさを感ずるのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分はただ彼の顔色が少し
蒼
(
あお
)
くなったのを見て、これは
必竟
(
ひっきょう
)
彼が自分の強い言語に
叩
(
たた
)
かれたのだと判断した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は暗い夜を
欺
(
あざ
)
むいて眼先にちらちらする電灯の光を見廻して、自分をその中心に見出した時、この明るい輝きも
必竟
(
ひっきょう
)
自分の見残した夢の影なんだろうと考えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
ずるに自然は元の自然で自分も元の自分で、けっして自分が自然に変化する時期が来ないごとく
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
私にとって一番楽な努力で
遂行
(
すいこう
)
できるものは自殺より
外
(
ほか
)
にないと私は感ずるようになったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もっともだ。お前のいう通りだ。けれども、
己
(
おれ
)
の
身体
(
からだ
)
は
必竟
(
ひっきょう
)
己の身体で、その己の身体についての養生法は、多年の経験上、己が一番
能
(
よ
)
く心得ているはずだからね」
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、まことに
言語同断
(
ごんごどうだん
)
で、ああ云うのは
必竟
(
ひっきょう
)
世間見ずの
我儘
(
わがまま
)
から起るのだから、ちっと
懲
(
こ
)
らしめのためにいじめてやるが好かろうと思って、少し当ってやったよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
島田がそんな心配をするのも
必竟
(
ひっきょう
)
は
平生
(
へいぜい
)
が悪いからなんだろうよ。何でも嫌われているらしいんだ。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は奥歯に物の
挟
(
はさ
)
まったような兄の説明を聞いて、
必竟
(
ひっきょう
)
それがどうしたのだという気を起した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古代の哲学者のように、空を飛んで行く矢へ指をさして今どこにいると人に示す事ができないから、
必竟
(
ひっきょう
)
矢は動いていないんだなどという議論もやれないでもありません。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
己
(
おれ
)
の責任じゃない。
必竟
(
ひっきょう
)
こんな気違じみた
真似
(
まね
)
を己にさせるものは誰だ。そいつが悪いんだ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども門野の答は
必竟
(
ひっきょう
)
前と同じ事を繰り返すのみであった。でなければ、
好加減
(
いいかげん
)
な当ずっぽうに過ぎなかった。それでも、代助には一人で黙っているよりも
堪
(
こら
)
え
易
(
やす
)
かった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
ずるにただ真と云う理想だけを標準にして作物に対するためではなかろうかと思います。現代の作物に至ると、この弊を受けたものは枚挙に
遑
(
いとま
)
あらざるほどだろうと考える。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その死ぬ少し前に例の通り細君が看病のため枕辺へ寄り添いますと、男はいつになく荒々しい調子で、手をもって細君を突き
退
(
の
)
けるばかりに、押し返して、御前は
必竟
(
ひっきょう
)
芸術家だ。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
無理な注文に過ぎん。しかしながら猫といえども社会的動物である。社会的動物である以上はいかに高く
自
(
みずか
)
ら標置するとも、或る程度までは社会と調和して行かねばならん。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
野々宮の様な外国に迄聞える程の
仕事
(
しごと
)
をする人が、普通の学生同様な下宿に這入つてゐるのも
必竟
(
ひっきょう
)
野々宮が
偉
(
えら
)
いからの事で、下宿が
汚
(
きた
)
なければ
汚
(
きた
)
ない程尊敬しなくつてはならない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
女は
瞳
(
ひとみ
)
を
定
(
さだ
)
めて、三四郎を見た。三四郎は其
瞳
(
ひとみ
)
の
中
(
なか
)
に言葉よりも深き訴を認めた。——
必竟
(
ひっきょう
)
あなたの
為
(
ため
)
にした事ぢやありませんかと、
二重瞼
(
ふたへまぶた
)
の奥で訴へてゐる。三四郎は、もう一遍
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして約一年ばかり、寸時の間断なく、その全勢力の支配を受けさせたいのです。兄さんのいわゆる物を所有するという言葉は、
必竟
(
ひっきょう
)
物に所有されるという意味ではありませんか。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
われらは一種の潮流の中に生息しているので、その潮流に押し流されている自覚はありながら、こう流されるのが本当だと、筋肉も神経も脳髄も、
凡
(
すべ
)
てが矛盾なく一致して、承知するから
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女は
瞳
(
ひとみ
)
を定めて、三四郎を見た。三四郎はその瞳のなかに言葉よりも深き訴えを認めた。——
必竟
(
ひっきょう
)
あなたのためにした事じゃありませんかと、
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
の奥で訴えている。三四郎は、もう一ぺん
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
野々宮のような外国にまで聞こえるほどの仕事をする人が、普通の学生同様な下宿にはいっているのも
必竟
(
ひっきょう
)
野々宮が偉いからのことで、下宿がきたなければきたないほど尊敬しなくってはならない。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああいうものが続々生れて来て、
必竟
(
ひっきょう
)
どうするんだろう」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
最後に広田先生は
必竟
(
ひっきょう
)
ハイドリオタフヒアだと思った。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必
常用漢字
小4
部首:⼼
5画
竟
漢検1級
部首:⽴
11画
“必”で始まる語句
必
必定
必要
必死
必然
必須
必用
必至
必死的
必須条件