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徹宵
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てっしょう
ふりがな文庫
“
徹宵
(
てっしょう
)” の例文
殊に
歳暮
(
さいぼ
)
の夜景の如き
橋上
(
きょうじょう
)
を往来する車の
灯
(
ひ
)
は沿岸の燈火と相乱れて
徹宵
(
てっしょう
)
水の上に
揺
(
ゆらめ
)
き動く有様銀座街頭の燈火より
遥
(
はるか
)
に美麗である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
前方の一段高い上甲板には、定めし
舵手
(
だしゅ
)
が
徹宵
(
てっしょう
)
の見張りを続けているのでしょうが、今人見廣介の立っている所からはそれも見えません。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
多分の冒険意識をもって
徹宵
(
てっしょう
)
巴里の裏町から裏まちをうろつくつもりで、ちかちかする星とタキシの——に追われ追われて真夜中の二時ごろ
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
名人の内に宿る射道の神が主人公の
睡
(
ねむ
)
っている間に体内を
脱
(
ぬ
)
け出し、
妖魔
(
ようま
)
を
払
(
はら
)
うべく
徹宵
(
てっしょう
)
守護
(
しゅご
)
に当っているのだという。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それで、医師の合田氏は、これはいけないと非常な丹精をしてくれまして、夜も
帰宅
(
かえ
)
らず、
徹宵
(
てっしょう
)
附き添い、薬も自身
煎
(
せん
)
じて看護してくれられました。
幕末維新懐古談:50 大病をした時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
「一風呂浴びて来て、飲み直しじゃ。
今夜
(
こよい
)
は
徹宵
(
てっしょう
)
呑
(
や
)
るも面白かろう。湯から上って来るまでに、娘を伴れてきておけ。湯壺へは、誰も来るでないぞ。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
官兵衛は、説客として、まず彼の門をたたき、
徹宵
(
てっしょう
)
、天下を談じ、風雲の将来を
卜
(
ぼく
)
し、また武士の
心胸
(
しんきょう
)
をひらいて
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探偵犬は付近に移されて出動を待っていた。すべての暗い辻、街燈の乏しい広場には、そこに面する家の二階に刑事が張り込んで
徹宵
(
てっしょう
)
窓から眼を光らせた。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼女が芝居見物の日は、前の晩から家中の奥のものは
徹宵
(
てっしょう
)
する。
暁方
(
あけがた
)
に髪を結ってお風呂にはいる。髪結は前夜から泊りきりで、二人の女中が後から燈をもっている。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
生気
溌剌
(
はつらつ
)
たるもので、学生たちは下宿で
徹宵
(
てっしょう
)
、新兵器の発明に
就
(
つ
)
いて議論をして、それもいま思うと
噴
(
ふ
)
き出したくなるような、たとえば旧藩時代の
鷹匠
(
たかじょう
)
に鷹の訓練をさせ
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
仄聞
(
そくぶん
)
するところに依れば
窃
(
ひそ
)
かに九大精神病科の自室に引返し
徹宵
(
てっしょう
)
書類を整理していたともいう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お手紙を見て
驚喜
(
きょうき
)
仕候、両君の
室
(
へや
)
は隣室の客を驚かす恐れあり、小生の室は御覧の如く独立の離島に候間、
徹宵
(
てっしょう
)
快談するもさまたげず、是非
此方
(
このほう
)
へ御出向き下され度く
待
(
ま
)
ち上候
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それがために、しかしわが家ながら、他家のごとく窮屈に思われ、夏の夜をうちわ使う音さえ遠慮がちに、近ごろにない寂しい
徹宵
(
てっしょう
)
の後に、やッと、待ち設けた眠りを
貪
(
むさぼ
)
った。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
いま戦線にある筈の、同じ連隊の三中隊に援兵すべく
徹宵
(
てっしょう
)
行軍していたときであった。鉄道線路添いに
高梁
(
コウリャン
)
畑を縫って前進していると遠くに銃声の絶え間ない
響
(
ひびき
)
を聞いたのだった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
イエスは夕方過ぎ群衆を返されて後、暁の四時ごろまで
徹宵
(
てっしょう
)
祈り給うたのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
胸から出る息には悲痛な音が交じっていた。その音はその種の病気に固有なものであって、眠りについてる死に
瀕
(
ひん
)
した子供のそばで
徹宵
(
てっしょう
)
看護する母親らの胸を痛ましめるところのものである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
日本街では婦人や子供を避難所へ送った後で町会組織の警備隊が勇ましく街を守って
徹宵
(
てっしょう
)
を続け始めた。すると、彼の身体の中で、秋蘭を愛した記憶の断片が、
俄
(
にわか
)
に彼自身の中心を改め始めた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
徹宵
(
てっしょう
)
人通りと酔漢の大声を伸子は窓の下に聞いた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして、その夜は三名の私服刑事が、
徹宵
(
てっしょう
)
邸の内外の見張りをしてくれることになったが、しかし、この警視庁の好意はもう手おくれであった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
吉例により乾雲丸と坤竜丸を帯びた一、二番の勝者へ
鯣
(
するめ
)
搗栗
(
かちぐり
)
を祝い、それから荒っぽい手料理で
徹宵
(
てっしょう
)
の宴を張る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼の家へ行って酒が出れば、いつも
肴
(
さかな
)
は
塩鮭
(
しおざけ
)
ときまっている。それで口には
贅沢
(
ぜいたく
)
を言い、人の馳走ならば、
徹宵
(
てっしょう
)
の快飲もやる。実に見えすいているじゃないかと。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長屋の悪太郎長竿を振って富家の庭に入り蝉を追い花を盗むも人深く此を咎めず。書生避暑地の旅舎に
徹宵
(
てっしょう
)
酔歌放吟して襖を破り隣室の客を驚かすも亭主また之を制せず。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一刻も早く彼女に関する事実の一切を貴下に御報告申し上げて、後日の御参考に供して置かねばならぬ責任を感じましたから、かように
徹宵
(
てっしょう
)
の覚悟で、この筆を執っている次第です。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は、前夜から同室していた刑事に、
徹宵
(
てっしょう
)
警戒されていたのだということだった。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
イエス様は実にこの問題について、
徹宵
(
てっしょう
)
祈り給うたのです。その祈りにおける戦いがまさに勝利をもって終わらんとした時、神はモーセとエリヤとを遣わしてイエスを力づけ給うたのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
この店では毎晩、番頭、少年店員、警務さん、
鳶
(
とび
)
のものなど、数十人の当直員を定めて、広い店内を隅から隅まで、
徹宵
(
てっしょう
)
見廻らせることになっていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
徹宵
(
てっしょう
)
の評議、そして、急転下にまとまった藩論の一致。草雲は、完全に、衆を一つにした。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鰯
(
いわし
)
のヌタに
蒲鉾
(
かまぼこ
)
が
肴
(
さかな
)
だったというが、二人とも長酒で、そんな場合はいつも
徹宵
(
てっしょう
)
飲み明かすのが習慣だったので、娘さんは肴に心配をして近所の乾物屋から干鰯を買って準備していたというね。
無系統虎列剌
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その夜ベツレヘムの郊外で、
徹宵
(
てっしょう
)
羊を
牧
(
か
)
っていた若者たちがいた。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「それに、暇がない。今夜
徹宵
(
てっしょう
)
別所殿と相談のうえ——」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
徹
常用漢字
中学
部首:⼻
15画
宵
常用漢字
中学
部首:⼧
10画
“徹宵”で始まる語句
徹宵痛飲
徹宵護衛
徹宵酒肴