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後暗
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うしろぐら
ふりがな文庫
“
後暗
(
うしろぐら
)” の例文
前後の事情から考えて見てもこの疑問の渡欧費は全部が本屋から調達したのでなくとも、
後暗
(
うしろぐら
)
い金の
出場
(
でば
)
が別にあったとは思われない。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
底の浅いたくらみが見えるようで、面白くなかったが、どんなひとでも、ひとつくらいは
後暗
(
うしろぐら
)
い思いを、心のなかにもっている。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
(やあ、ご
坊様
(
ぼうさま
)
。)といわれたから、時が時なり、心も心、
後暗
(
うしろぐら
)
いので
喫驚
(
びっくり
)
して見ると、
閻王
(
えんおう
)
の
使
(
つかい
)
ではない、これが
親仁
(
おやじ
)
。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その日も
昨日
(
きのふ
)
と同じに雪が降りつづき、銀世界と化した街に、この家ばかりはじめ/\と
後暗
(
うしろぐら
)
い雰囲気に
閉
(
と
)
ぢ込められ、底知れぬ恐れと不安に充たされてゐた。
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
「やっぱり行く事にするか。
後暗
(
うしろぐら
)
い
行
(
おこない
)
さえなければ行っても
差支
(
さしつかえ
)
ないはずだ。それさえ慎めば取り返しはつく。小夜子の方は浅井の返事しだいで、どうにかしよう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
掏摸
(
すり
)
だの
万引
(
まんびき
)
なんぞもやッぱりそうだろう。おれも——まさか掏摸や万引はしないけれど、
後暗
(
うしろぐら
)
い事だの、秘密な事には興味がある。何となく妙に面白いもんだなア。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ふざけるない、おい、おめえは、
俺
(
おいら
)
が、
後暗
(
うしろぐら
)
いことでもやってると思ってるのか」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
後暗
(
うしろぐら
)
いことをしているからで、新子自身が悪いのであるという
風
(
ふう
)
に考えた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何しろ、
後暗
(
うしろぐら
)
い体ですから、娘はまた、胸を痛めました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
出し
挨拶
(
あいさつ
)
に及びける處彼
侍士
(
さふらひ
)
用右衞門に向ひ當村に文藏と申者はなきやと尋ぬるに用右衞門何
樣
(
さま
)
文藏と申者當村に
罷
(
まかり
)
在候と答へければ侍士は點頭其文藏が身の上に近頃何ぞ
後暗
(
うしろぐら
)
き事はなきや其方より内
糺
(
たゞ
)
し致すべしと申けるに用右衞門は大に驚き文藏儀平常
實體
(
じつてい
)
にて
慈悲
(
じひ
)
深
(
ふか
)
き者ゆゑ然樣の事有べき
筈
(
はず
)
なしと思へども先彼侍士を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
(やあ、
御坊様
(
ごばうさま
)
、)といはれたから、
時
(
とき
)
が
時
(
とき
)
なり、
心
(
こゝろ
)
も
心
(
こゝろ
)
、
後暗
(
うしろぐら
)
いので
喫驚
(
びつくり
)
して
見
(
み
)
ると、
閻王
(
えんわう
)
の
使
(
つかひ
)
ではない、これが
親仁
(
おやぢ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
後暗
(
うしろぐら
)
い
人
(
ひと
)
の、
變名
(
へんみやう
)
を
用
(
もち
)
ひて
世
(
よ
)
を
渡
(
わた
)
る
便利
(
べんり
)
を
切
(
せつ
)
に
感
(
かん
)
じた。
彼
(
かれ
)
は
主人
(
しゆじん
)
に
向
(
むか
)
つて、「
貴方
(
あなた
)
はもしや
私
(
わたくし
)
の
名
(
な
)
を
安井
(
やすゐ
)
の
前
(
まへ
)
で
口
(
くち
)
にしやしませんか」と
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
たくて
堪
(
たま
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分がこの世に生れ出た理由が甚
後暗
(
うしろぐら
)
く且つ不名誉なものになるからである。生れながら侮辱されてゐるやうな気がして、父のみならず母に対しても敬愛の念を持つことが出来なくなるからである。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宗助は
後暗
(
うしろぐら
)
い人の、
変名
(
へんみょう
)
を用いて世を渡る便利を切に感じた。彼は主人に向って、「あなたはもしや私の名を安井の前で口にしやしませんか」と聞いて見たくて
堪
(
たま
)
らなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
森本のような浮浪の
徒
(
と
)
といっしょに見られちゃ、少し体面にかかわる。いわんや
後暗
(
うしろぐら
)
い関係でもあるように邪推して、いくら知らないと云っても
執濃
(
しつこ
)
く疑っているのは
怪
(
け
)
しからんじゃないか。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世