後年こうねん)” の例文
ぞ頼みけるこれ陰徳いんとくあれば陽報やうはうありとのたとへの如く此事このこと後年こうねんに至つて大岡殿の見出しにあづかる一たんとはなりぬされば新藤夫婦は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さすが後年こうねんやまに身をかくしても、隠然いんぜん天下におもきをなした大軍師だいぐんし幸村ゆきむら、わかい時から人の知らない心がけがあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後年こうねん由井正雪ゆいしょうせつ一味のむほんのくわだてまで見やぶって、智恵伊豆という異名をとった——参州吉田の城主七万石、松平伊豆守信綱のぶつなの方へとまわっていったのです。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
後年こうねん四方赤良の一派狂歌の再興を企つるや元禄前後における先人の選集中永く狂歌の模範とすべき吟咏は大抵再選してこれを『万載集まんざいしゅう』『才蔵集さいぞうしゅう』等に載せたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかるに後年こうねん京城けいじやう諸士しよしにして、かの北狄ほくてき囘文くわいぶんけたるものすくなからず、ことあらはるゝにおよびて、官司やくにん密使みつし案討あんたうするに、無足むそく婦人ふじんすなはしかり、しか奸黨かんたう張本ちやうほんたりき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
○同年閏十月十九日大政□臣をおくらる。しかれば此 御神の御位は正一位大政□臣としるべし。後年こうねんしば/\神灵しんれい赫々かく/\たるしるしありしによりて、 天満宮、或 自在天神の贈称さうしようあり。
此日このひ此地このち此有様このありさまなが描写べうしやとゞまりて、後年こうねんいかなる大業たいげふ種子たねとやならん、つどへる人を見て一種いつしゆたのもしき心地こゝちおこりたり、此一行このいつかう此後こののち消息せうそく社員しやゐん横川氏よこかはしが通信にくはしければ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
後年こうねん天保六歌仙てんぽうろっかせん」の中の、主な rolê をつとめる事になった男である。
煙管 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浮絵は後年こうねん北斎広重によりて完成せられたる浮世絵風景画の前提と見るべきものなり。天明の初め四方赤良よものあから唐衣橘洲からころもきっしゅう朱楽菅江あけらかんこうらの才人江戸に狂歌を復興せしむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
○同年閏十月十九日大政□臣をおくらる。しかれば此 御神の御位は正一位大政□臣としるべし。後年こうねんしば/\神灵しんれい赫々かく/\たるしるしありしによりて、 天満宮、或 自在天神の贈称さうしようあり。
ずっと後年こうねん——関ヶ原のえきに、剣頭にあげた首のかずを知らず、斬ってはささの枝にさし、斬っては笹にしたところから、「ささ才蔵さいぞう」と一世に武名をうたわれた評判男は、いよいよこれから
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後年こうねん鳥居清長らの描きし天明寛政頃の背景に比較すればはなはだ粗放なるものなりき。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)