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やじ
ふりがな文庫
“
弥次
(
やじ
)” の例文
旧字:
彌次
その
柩前
(
きゅうぜん
)
に『コラン聖典』を運ばせ唱師から泣き婆まで傭うて人間同様の葬式行列を行い、
事
(
こと
)
露
(
あら
)
われて
弥次
(
やじ
)
り殺されかけた由を載す。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何か
弥次
(
やじ
)
が飛んだようだけれど、はっきり聞えない。向うの方で、麦酒瓶が
砕
(
くだ
)
ける音がした。そして、雑然たる合唱がはじまった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
卑屈な落首の作者は、暗に信長の革新政治を
弥次
(
やじ
)
っているが、それは彼らの不平だけで、民衆の心を代表してはいなかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつの場合でもそうだが、今日の先生はいつもより一層謹厳な態度だったので、
弥次
(
やじ
)
学生もそれ以上弥次質問をする事が出来ず、黙って終った。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ミーちゃんとその若者との間に何かあるのだろうか、どうやらその何かを
弥次
(
やじ
)
っているらしいことが事情を知らない私にも、その声から察せられた。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
それは、四月三日の夜、神田の青年会館に文化学会主催の言論圧迫問責演説会というのがあって、そこへ僕らが例の
弥次
(
やじ
)
りに行った事を書いた記事だ。
新秩序の創造:評論の評論
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
しかし、ここでは聴衆というものがないのだから、道庵自身がそれを問題にしない限り、
弥次
(
やじ
)
る者も、笑う者もありませんから、いよいよ図に乗って
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
学年始めの式の朝登校すると、控所で
一
(
ひ
)
と
塊
(
かたまり
)
になつて誰かれの成績を批評し合つてゐた中の一人が、私を
弥次
(
やじ
)
ると即座に、一同はわつと声を
揃
(
そろ
)
へて笑つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
あの朝鮮語のふざけた
弥次
(
やじ
)
を聞くのが又大好きと来ている。思わず吹き出してしまう。これはどうにか一種のセンチメンタリズムと云えたものかも知れない。
故郷を想う
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
これもその前の
弥次
(
やじ
)
のけんかと見物の群集とがなかったら、おそらくなんの意味もないただの写真としか見えないであろう。やはりフランス人には
俳諧
(
はいかい
)
がある。
映画雑感(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
余は思わず
弥生半
(
やよいなか
)
ばに
呑気
(
のんき
)
な
弥次
(
やじ
)
と近づきになったような気持ちになった。この
極
(
きわ
)
めて安価なる
気燄家
(
きえんか
)
は、太平の
象
(
しょう
)
を具したる春の日にもっとも調和せる一彩色である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
の
弥次
(
やじ
)
に完全に封じ込まれて、何度も壇上に立往生した末、七年間の恥と苦痛に健康を
害
(
そこ
)
ねている。卒倒してしまった。才腕ある士だったが、まもなく政界を
退
(
ひ
)
いている。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
小初は食後の
小楊枝
(
こようじ
)
を使いながら父親を
弥次
(
やじ
)
った。自分が人を
揶揄
(
やゆ
)
することを好んで人から揶揄されることを
嫌
(
きら
)
うのは都会的
諷刺家
(
ふうしか
)
の性分で、父親はそれが娘だとぐっと
癪
(
しゃく
)
に
触
(
さわ
)
った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうでないものとの二派に分れて
弥次
(
やじ
)
を飛ばしながら、大分おだやかでない形勢になっていたところへ、一方の桟敷から誰かが何か云ったのがその親分の
癪
(
しゃく
)
に触ったものだと見える。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
老中
水野越前守
(
みずのえちぜんのかみ
)
の改革に火の消えたような有様ですが、さすがは物見高い江戸っ子、茶気と
弥次
(
やじ
)
気分は、
此期
(
このご
)
に及んで衰えた風もなく、落首を貼った高札の前は、押すな押すなの騒ぎ
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、一彦は砂丘のかげに寝ころがったまま帆村荘六おじさんを
弥次
(
やじ
)
りました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らは不意に目の前に現われた二人を
弥次
(
やじ
)
っていなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
弥次
(
やじ
)
連中はヤイヤイとはやしたてた。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ちょっと、いままでの
試合
(
しあい
)
と
目先
(
めさき
)
がかわったので、
見物
(
けんぶつ
)
はよろこんだ。大きな
弥次
(
やじ
)
のこえが、高い
樹
(
き
)
の上ではりあげている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いま開け放しておいた
襖
(
ふすま
)
から七つ八つの、いずれも穏かならぬ
面
(
かお
)
がさいぜんから現われて、この
無作法
(
ぶさほう
)
な浪士の後援をつとめていたのがいま
一斉
(
いっせい
)
に
弥次
(
やじ
)
り出した。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「奇を
衒
(
てら
)
うなっ」と
弥次
(
やじ
)
ったりして、時には、立って講壇へ迫ろうとするような乱暴者があったりした。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
米友はぜひなく、その女に背中を流してもらっていると、外の
弥次
(
やじ
)
が
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ケシかけるような
弥次
(
やじ
)
をとばしたので、卜斎に、ぴしゃりとお
出額
(
でこ
)
をたたかれて、だまってしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拍手喝采してこの奇妙な小男の、本気になって憤慨するのを
弥次
(
やじ
)
り立てて楽しもうとすると、米友はかえってそれらを相手にはしないで、欄干に結びつけてあった高札の縄目を解きにかかったから
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かえってこれは飛んだ宋江の迷惑事と察して同情をよせ、逆に
閻婆
(
えんば
)
の狂態を
弥次
(
やじ
)
り仆す有様だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
単に一方が一方に
弥次
(
やじ
)
り勝って、一方を沈黙させれば、それで勝利の満足の快感に酔うというスポーツ的興味のために
喚
(
わめ
)
いているのではないのですから、内なる二人が沈黙しようとも、すまいとも
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
出
(
い
)
ずべきはずの
弥次
(
やじ
)
が、四方からワイワイと
蛾次郎
(
がじろう
)
をひとりぜめに飛ぶので、さすがに、
恥
(
はず
)
かしいことを知らぬ蛾次郎も、すっかりまいってしまって、三たびめの
口上
(
こうじょう
)
は
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
弥次
(
やじ
)
で言ったのではなく、ほんとに感心して
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが、立つやいな魯達の
鉄拳
(
てっけん
)
に眼じりを一つ見舞われて「げふっ」と奇妙な叫びをもらした。——ところは
状元橋
(
じょうげんきょう
)
の目抜き通り、たちまちまっ黒な見物人の
弥次
(
やじ
)
声が
周
(
まわ
)
りをつつむ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“弥次(やじ)”の解説
やじ(ヤジ、野次、弥次、en: jeering ; heckling)は、主に他人の発言の合間に、非難や冷やかしの言葉を浴びせかける行為、およびその発言である。動詞化させて「やじる」という言い回しも用いられる。
(出典:Wikipedia)
弥
常用漢字
中学
部首:⼸
8画
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常用漢字
小3
部首:⽋
6画
“弥次”で始まる語句
弥次馬
弥次郎兵衛
弥次兵衛
弥次喜多
弥次声
弥次性
弥次気分
弥次馬連