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ひらぐも
ふりがな文庫
“
平蜘蛛
(
ひらぐも
)” の例文
以後はコソコソ影を見せても、
花和尚
(
かおしょう
)
さまだの、
花羅漢
(
からかん
)
さまのと、遠くから
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になって、めったに側へ近づこうともしなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
木連
(
きつれ
)
格子のあいだからそれをそっと転がし込んで、自分は土のうえに
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように俯伏していた。彼は一生懸命に息を殺していた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
他の三人の少年たちは
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにへたばった。と、次の瞬間には、部屋全体がきりきりきりと
独楽
(
こま
)
のように廻り出した。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殿下の御威光ならば
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
の如く足下にひれふすでございませう、と良い加減なお世辞を言つて秀吉を喜ばせておいた。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
憮然
(
ぶぜん
)
として、なお燈下にうずくまる男を見下ろしていると、右の
老爺
(
おやじ
)
は
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のような形をしているのが、気のせいか、見ているうちに平べったくなって
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
彼はさかさまに
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
の形で、すべっこい屋根の
面
(
おもて
)
に吸いついたまま、ジリリジリリと方向転換を始めた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
時に文治が、「これ一同静かにしろ」と
睨
(
にら
)
み付けられてピタリと止って、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようになって居ります。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは僕には分らない。僕は
荊
(
いばら
)
を負うことを辞せない。
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になってあやまる。どうぞ書いてくれ給え
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
眼に
泪
(
なみだ
)
を一パイに溜めた。口をポカンと開いて、今にも
涎
(
よだれ
)
の垂れそうな顔をしたが、両手をさし上げたまま床の上にベッタリと、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにヒレ伏してしまった。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
椰子
(
やし
)
の林は至るところに鬼の
死骸
(
しがい
)
を
撒
(
ま
)
き散らしている。桃太郎はやはり旗を片手に、三匹の
家来
(
けらい
)
を従えたまま、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようになった鬼の酋長へ
厳
(
おごそ
)
かにこういい渡した。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
せいぜい
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように平つくばって、神さまを念じながら、ただもう逆らわぬよう……それをやり過すより外に、手は無いのだが、往々
角
(
かど
)
だらけの岩石をまきこんで来るから
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
次郎は、そこに飛びこむと、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように畳に体を伏せて息を殺した。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
麻布の馬場やしきだことの、高音とかいうおかみさんだことのと、めりはりの合わねえことばかりいっていたが、やっとあとでまちがいとわかってな、今度は、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようなあやまりようよ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蝶吉に
肱鉄砲
(
ひじ
)
を食ッて、
鳶頭
(
かしら
)
に懐中の駒下駄を焼かれた上、人の
妓
(
こども
)
を食おうとする、獅子身中の虫だとあって、内の
姉御
(
あねご
)
に御勘気を
蒙
(
こうむ
)
ったのを、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
で
詑
(
わび
)
を入れて、以来きっと心得まするで
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三十郎は
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように、ピッタリ地面へ身を伏せていた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようになっておちかいをいたしました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
なに、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
の
釜
(
かま
)
と、自分の首とに、
鉄砲
(
たま
)
ぐすりを仕掛けて、粉々に砕けと遺言して腹を切ったとか。……あははは、おもしろい悪党。強情なおやじではある。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身を畳の上に
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにして、耳を澄まして寝息を窺ったが、紙張の中に人ありやなしや。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
踏まれても
蹴
(
け
)
られても、損さえしなければ
好
(
い
)
いと云う気になって、世間を渡って来た。毎日毎日どこへ
往
(
い
)
っても、
誰
(
たれ
)
の前でも、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようになって這いつくばって通った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やれやれと
寛
(
くつろ
)
ぎ出して、急にそこここに話声も起り、中断されていた喬之助いじめをまたはじめようとそっちのほうを見ると、もう皆頭を上げているのに、喬之助だけは、まだ
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
花崗石
(
みかげいし
)
の上に
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
懲罰
(
ちょうばつ
)
に処した樹上の士卒が、いつの間にか逃走した由を、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようになって慄えながら告げた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閑山は
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように額を畳にすりつけた。文次はたち上がる。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのくせ、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になって、
謝
(
あやま
)
るのではなく、間断なく隙を狙って、武蔵へ肉闘してくるのである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように畳に手をついている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になって、但馬守は、家光の
床几
(
しょうぎ
)
の横に、手をつかえていた。家光はじろと、眼をやって
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長は歩み寄って、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように手をつかえた権六勝家の、頭の上から
微笑
(
ほほえ
)
んでいった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
張飛は
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにそれへ平伏して、徐州城を奪われた不始末を報告した。——あれほど誓った禁酒の約を破って、大酔したことも、正直に申し立てて面も上げず詫び入った。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母子
(
おやこ
)
二人の露命をつないでいたもので——と
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のようにあやまりぬくのであった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつでも陥ちることが分っていながら、それまで二、三日
猶予
(
ゆうよ
)
していたのは、久秀が内々秘蔵の「
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
の
釜
(
かま
)
」があったからである。かねがね信長が
垂涎
(
すいぜん
)
してやまない名作と聞いていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金を見ると木賃の亭主は、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように
謝
(
あやま
)
り入って、それからは手のひらを返すように、頼みもしない
薪
(
まき
)
を持ってきたり、
粥
(
かゆ
)
を煮ようの、薬はあるかのと、うるさいほど、親切の安売りをする。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女はふるえ上がって、大地へ
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように手をついた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、言い訳して、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
のように、詫び入るだけだった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その彼が、なんで素直に、
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
の
釜
(
かま
)
を、敵方へ譲ろう。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、急に
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になって
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
蜘
漢検準1級
部首:⾍
14画
蛛
漢検準1級
部首:⾍
12画
“平蜘”で始まる語句
平蜘