島影しまかげ)” の例文
いまは、どちらへ向いても、島影しまかげも見えない大海のまっ只中ただなかにいるわけだが、こんなところで投げだされたら、助かる見込みはない。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
風情ふぜいはなくとも、あの島影しまかげにお船をつなぎ、涼しく水ものをさしあげて、やがてお席を母屋おもやの方へ移しませう。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其日そのひれ、翌日よくじつきたつたが矢張やはりみづそらなる大洋たいやうおもてには、一點いつてん島影しまかげもなく、滊船きせんけむりえぬのである。
おとこいもうとは、ふねってうみわたりました。幾日いくにちも、幾日いくにちも、航海こうかいしました。うみなかますと、どこをましても、やまえなければ、また島影しまかげえませんでした。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
玉太郎は筏の上にのびあがり、顔をしかめて島影しまかげを見たり、ラツールの方をふりかえったり。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
サア、いよ/\橄欖島かんらんたうちかづいてたぞ。大佐閣下たいさかくか海底戰鬪艇かいていせんとうていはすでにあの島影しまかげるであらうか、それとも朝日島あさひじま出發しゆつぱつせぬのかしら、えい、待遠まちどうや/\。
しろくもかんでいるのが、島影しまかげのようにも、んでいる鳥影とりかげのようにもえたのであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
四晝夜しちうや航海かうかいつゝがなくぎて、右舷うげん左舷さげんせてはかへなみおとともに、刻一刻こくいつこくちかづききた喜劇きげきむかつて、橄欖島かんらんたうぼしき島影しまかげを、雲煙うんゑん渺茫べうぼうたるへんみとめたのは、は二ぐわつの二十五にち