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くずかご
ふりがな文庫
“
屑籠
(
くずかご
)” の例文
「待ってくれ、三輪の兄哥、——お寿の家から剃刀を盗み出せる
曲者
(
くせもの
)
なら、鏡台の
抽斗
(
ひきだし
)
か
屑籠
(
くずかご
)
から抜け毛を持出すのは何でもないぜ」
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
毎日警視総監
宛
(
あて
)
に何十通となく来るので、私の投書も、ろくろく眼も通されずに
屑籠
(
くずかご
)
の中へほうりこまれたのではないかとも思われる。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
クリストフはそれに注意も払わないで、招待状を
屑籠
(
くずかご
)
に投げ込んだまま、返事さえ出さなかった。彼女は別に気を悪くしなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しばらく考えたあと、かれはその封筒を、手紙ごとめりめりと
裂
(
さ
)
き、もみくちゃにし、さらにすたずたに裂いて
屑籠
(
くずかご
)
に投げこんだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
わしは習い覚た冷淡な態度で、そんな手紙に驚きもせず、
極
(
ごく
)
あたり前のことの様に、平然として読み下し、平然として
屑籠
(
くずかご
)
に投げ込んだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
私がもし第一の芸術家にでもなりきりうる時節が来たならば、この
縷説
(
るせつ
)
は
鶏肋
(
けいろく
)
にも値せぬものとして
屑籠
(
くずかご
)
にでも投じ終わろう。
広津氏に答う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「机の上をなんとかしろよ」と辰弥は云った、「まるで
屑籠
(
くずかご
)
をひっくり返したようじゃないか、よくそれで勉強ができるな」
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それでぼくが六号活字を受持っている時には、
性質
(
たち
)
のよくないのは、たいてい
屑籠
(
くずかご
)
へ放り込んだ。この記事もまったくそれだね。反対運動の結果だ
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ジルノルマン氏は身を震わしながらその手紙を取り、それを読み下し、そして四つに引き裂いて
屑籠
(
くずかご
)
に投げ込んだ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
色よき返事このようにと心に祝いて
土産
(
みやげ
)
に京都より
買
(
こ
)
うて来し
友染縮緬
(
ゆうぜんちりめん
)
ずたずたに引き裂きて
屑籠
(
くずかご
)
に投げ込みぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
或人自ら
屑屋
(
くずや
)
と名のり「
屑籠
(
くずかご
)
の中よりふと
竹
(
たけ
)
の
里人
(
さとびと
)
の歌論を見つけ出してこれを読むにイヤハヤ御高論……」
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
原稿用紙二枚に走り書きしたる君のお手紙を読み、
謂
(
い
)
わば、
屑籠
(
くずかご
)
の中の
蓮
(
はちす
)
を、確実に感じたからである。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
若い料理教師は、煙草の
喫
(
す
)
い殻を
屑籠
(
くずかご
)
の中に投げ込み立上って来た。じろりと台俎板の上を
見亙
(
みわた
)
す。これはいらんという道具を二三品、
抽
(
ぬ
)
き出して台俎板の向う側へ黙って
抛
(
ほう
)
り出した。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
水死人は社会的の現象としては、極くありふれた事である。新聞社に居る啓吉はよく、
溺死人
(
できしにん
)
に関する通信が、
反古
(
ほご
)
同様に
一瞥
(
いちべつ
)
を
与
(
あた
)
えられると、直ぐ
屑籠
(
くずかご
)
に投ぜられるのを知っている。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ナーンだ、それじゃいくら
屑籠
(
くずかご
)
を
背負
(
しょ
)
って、世間を
嗅
(
か
)
ぎ歩いても知れねえ訳だ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探偵小説と貼紙をした古
屑籠
(
くずかご
)
の蓋を取ってみると、怪奇、冒険、ユーモア、ナンセンス、変態心理といったような読物の妖怪変化が、ウジャウジャと押し合いへし合いながら巣喰っている。
探偵小説の正体
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
司令官は、紙片を、
掌
(
てのひら
)
のうちに握り
潰
(
つぶ
)
すとポイと
屑籠
(
くずかご
)
の中に、投げ入れた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我れ筆とるといふ名ある上は、いかで大方のよの人のごと一たび読みされば
屑籠
(
くずかご
)
に投げらるゝものは
得
(
え
)
かくまじ、人情浮薄にて、今日喜ばるゝもの明日は捨てらるゝのよといへども、真情に訴へ
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
各新聞の社会面は、玉村家怪事件で埋められ、その外のあらゆる記事は、おしげもなく編輯者の
屑籠
(
くずかご
)
に放り込まれてしまった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
机の前には、回転椅子が一つそなえつけてある。その他には、
側置卓子
(
サイドテーブル
)
が一つと
屑籠
(
くずかご
)
が一つころがっているきり——これがこの室の全
調度
(
ちょうど
)
である。
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
母は机の下を
覗
(
のぞ
)
き込む。西洋流の
籃製
(
かごせい
)
の
屑籠
(
くずかご
)
が、
足掛
(
あしかけ
)
の
向
(
むこう
)
に
仄
(
ほのか
)
に見える。母は
屈
(
こご
)
んで手を
伸
(
のば
)
した。
紺緞子
(
こんどんす
)
の帯が、窓からさす
明
(
あかり
)
をまともに受けた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲斐は読み終ると、机の上の
文筺
(
ふばこ
)
から
鋏
(
はさみ
)
を取り、その紙をこまかく寸断したうえで、
屑籠
(
くずかご
)
の中へ捨てた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
異常な荘厳さが、巨人の
屑籠
(
くずかご
)
をくつがえしたようなその破片の堆積から発していた。それは
塵芥
(
ごみ
)
の山であり、またシナイの山(訳者注 モーゼがエホバより戒律を受けし所)
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私は今度の事件について先生に手紙を書こうかと思って、筆を
執
(
と
)
りかけた。私はそれを十行ばかり書いて
已
(
や
)
めた。書いた所は
寸々
(
すんずん
)
に引き裂いて
屑籠
(
くずかご
)
へ投げ込んだ。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところで、被害者の家の捜索によって、二階の紙
屑籠
(
くずかご
)
から、
洋罫紙
(
ようけいし
)
にペンで
認
(
したた
)
めて四つに折って封筒に入れたまま真ん中から二つに裂いた未亡人から夫にあてた簡単な置き手紙が一通出た。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
主人はこの
鄭重
(
ていちょう
)
なる書面を、冷淡に丸めてぽんと
屑籠
(
くずかご
)
の中へ
抛
(
ほう
)
り込んだ。せっかくの針作君の九拝も臥薪甞胆も何の役にも立たなかったのは気の毒である。第三信にかかる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だからアイロニーさ。せっかく本を読むかと思うとすぐ
屑籠
(
くずかご
)
のなかへ入れてしまう。学者と云うものは本を吐いて暮している。なんにも自分の滋養にゃならない。
得
(
とく
)
の行くのは屑籠ばかりだ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小野さんは薄暗いなかを玄関へ出て、台と
屑籠
(
くずかご
)
を持ってくる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
屑
漢検準1級
部首:⼫
10画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“屑”で始まる語句
屑
屑屋
屑鉄
屑物
屑拾
屑々
屑金
屑竹
屑米
屑買