トップ
>
居処
>
いどころ
ふりがな文庫
“
居処
(
いどころ
)” の例文
旧字:
居處
さあ、これから出かけよう。お次は、三人の
白髪
(
しらが
)
の婆さん捜しだ。その婆さん達が、
水精
(
ニンフ
)
の
居処
(
いどころ
)
をわれわれに教えてくれるんだからね。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「よしっ……きっとあなたの汚名は遠からず
雪
(
そそ
)
いでみせる。だが、相手の武蔵は今、何処にいるのか、その
居処
(
いどころ
)
はおわかりですか」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「聞いてやろうと
仰有
(
おっしゃ
)
るのですかい、はッはッはッ。……まア、それはいいとして、旦那方。私は犯人の
居処
(
いどころ
)
を知っていますよ」
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
つと寄ると、
手巾
(
ハンケチ
)
を払った手で、柄杓の柄の半ばを取りしめた。その半ばを持ったまま、
居処
(
いどころ
)
をかえて、小県は、樹の高根に腰を掛けた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
翌日になって喬生の隣の老人は、喬生が帰ってこないので心配して彼方此方と探してみたが、どうしても
居処
(
いどころ
)
が判らない。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
居処
(
いどころ
)
って奴は案外人間を束縛するもんだ。何処かへ出ていても、飯時になれあ直ぐ家のことを考える。あれだけでも僕みたいな者にゃ一種の重荷だよ。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
司馬温公
(
われまつば
)
というのは三方に峯のある石のまん中が水鉢になり居り、風雅であるが
居処
(
いどころ
)
をきらうものであるから、
鳥渡
(
ちょっと
)
据えるところに難しいしろものである。
庭をつくる人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
親が自分に
自
(
みず
)
から信じて心に決して居るその説を、子の為めに変じて進退すると
云
(
いっ
)
ては、
所謂
(
いわゆる
)
独立心の
居処
(
いどころ
)
が分らなくなる。親子だと云ても、親は親、子は子だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「もうこうして
居処
(
いどころ
)
を突き留めた以上は大丈夫である。これから一と思いに踏み込んでやろうか」と思ったが、いやいや長い間の気の
縺
(
もつ
)
れに今は精神が疲労しきっている。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
痴
(
たわ
)
けた事を云うな、武士たる者が女房を
他人
(
ひと
)
に取られて刀の手前此の
儘
(
まゝ
)
では済まされぬから、両人の
居処
(
いどころ
)
へ踏込み一刀に切って捨て、生首を
引提
(
ひっさ
)
げて御両親様へ家事不取締の申訳を
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何だか深切そうな
好
(
い
)
いお
祖父
(
じい
)
さんらしいので、此人に聞いたら、
偶然
(
ひょっ
)
とポチの
居処
(
いどころ
)
を知っていて、教えて呉れるかも知れぬと思って、
凝然
(
じっ
)
と
其面
(
そのかお
)
を視ると、先も振向いて私の
面
(
かお
)
を視て
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
アトから考えると親方の虫の
居処
(
いどころ
)
がその日に限って日本一悪かったらしいね。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
姉様
(
あねさま
)
はすなわち長男の新婦、上とは屋根裏のことであるが、二階に
簀
(
す
)
をかき天井板を張ることは、古くからのことではないから、そこを姉様の
常
(
つね
)
の
居処
(
いどころ
)
と見たことは、新たな趣向だったかと思われる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
提灯も何も
押
(
お
)
っ
放
(
ぽ
)
り出して、自分でわッと言って
駈
(
か
)
けつけますと、
居処
(
いどころ
)
が少しずれて、バッタリと土手っ腹の雪を
枕
(
まくら
)
に、帯腰が谿川の石に倒れておいででした。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俗な奴等だ、呑むなら早く
呑
(
のん
)
で
帰
(
かえっ
)
て
仕舞
(
しま
)
えば
宜
(
い
)
いと思うのに、中々帰らぬ。家は狭くて
居処
(
いどころ
)
もない。
仕方
(
しかた
)
ないから客の呑でる
間
(
あいだ
)
は、私は押入の中に
這入
(
はいっ
)
て寝て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
居処
(
いどころ
)
を聞いてもそのうちに知れると云って云わないものですから、私は老人をますます
豪
(
えら
)
い異人だと思うようになったのです、それから老人は、二日
隔
(
お
)
き、三日隔きに
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
村の者もお
前
(
めえ
)
を置いては為にならねえと云う、此の間
何
(
なん
)
と云った、私は此の村を離れましては
何処
(
どこ
)
でも
鼻撮
(
はなッつま
)
みで
居処
(
いどころ
)
もございませんから、元の如く此の村に居られる様にして呉れと云うから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
居処
(
いどころ
)
は違ったらしいが、おなじ電車から、一歩おくれて、のっしのっしと出たのである。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私方に飛込んで助かった事さえありましたが、この物騒な危ない中にも、
大童
(
おおわら
)
と
松倉
(
まつくら
)
はどうやら
斯
(
こ
)
うやら久しく
免
(
まぬ
)
かれて居て、私は
素
(
もと
)
より
懇意
(
こんい
)
だからその
居処
(
いどころ
)
も
知
(
しっ
)
て居れば私の家にも来る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
新聞で知ったからやって来たんだ、多分君にも
逢
(
あ
)
えるだろう、逢えなかったら、
明日
(
あす
)
あたり伯爵家へ往って、君の
居処
(
いどころ
)
を訊いて尋ねて往こうかと思ってたところだ、どうだね、君は相変らず
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それも心細く、その言う処を確めよう、
先刻
(
さき
)
に老番頭と語るのをこの隠れ家で聞いたるごとく、自分の
居処
(
いどころ
)
を
安堵
(
あんど
)
せんと欲して、立花は手を伸べて、心覚えの隔ての襖に触れて
試
(
み
)
た。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また見れば、小親
居処
(
いどころ
)
を替えしがなお立てり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
“居処”で始まる語句
居処不定