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嬉戯
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きぎ
ふりがな文庫
“
嬉戯
(
きぎ
)” の例文
彼の家は松下村の山中にあり、故にその幼時
嬉戯
(
きぎ
)
するは、その兄妹あるのみ。彼は実に家庭の温かにして、剛健なる大気中に成育せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
昨日
(
きのう
)
までの
遊
(
あそ
)
びの
友達
(
ともだち
)
からは
遽
(
にわ
)
かに
遠
(
とお
)
のいて、
多勢
(
おおぜい
)
の
友達
(
ともだち
)
が
先生達
(
せんせいたち
)
と
縄飛
(
なわと
)
びに
鞠投
(
まりな
)
げに
嬉戯
(
きぎ
)
するさまを
運動場
(
うんどうじょう
)
の
隅
(
すみ
)
にさびしく
眺
(
なが
)
めつくした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
五月某日予等は明子が家の芝生なる藤棚の
下
(
もと
)
に
嬉戯
(
きぎ
)
せしが、明子は予に対して、
隻脚
(
せききやく
)
にて善く久しく立つを得るやと問ひぬ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで彼女は再び少女に戻り、走り回ったり
嬉戯
(
きぎ
)
したりまでして、帽子をぬぎ、それをジャン・ヴァルジャンの
膝
(
ひざ
)
の上に置き、そして花を摘んだ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ただ日々
嬉戯
(
きぎ
)
して、最後に父母の膝を枕として死んでいったと思えば、非常に美くしい感じがする、花束を散らしたような詩的一生であったとも思われる。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
▼ もっと見る
そこに一糸を
纒
(
まと
)
わぬ艶かしき影を躍らせて
嬉戯
(
きぎ
)
する
様
(
さま
)
は、ギリシャの
昔語
(
むかしがたり
)
を画題とした名画でも見る様です。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その隣の
檻
(
おり
)
の金網の中には
嬉戯
(
きぎ
)
する小猿が幾匹となく、
頓狂
(
とんきょう
)
に、その桃色の眼のまわりを動かすのである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
事実は決してそうでない。自分ばかりを愛していると思っていた君江の如きは、事もあろうに
淫卑
(
いんぴ
)
な安芸者と醜悪な
老爺
(
ろうや
)
と、三人
互
(
たがい
)
に
嬉戯
(
きぎ
)
して
慚
(
はじ
)
る処を知らない。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうした彼らを見ていると彼らがどんなに日光を
恰
(
たの
)
しんでいるかが
憐
(
あわ
)
れなほど理解される。とにかく彼らが
嬉戯
(
きぎ
)
するような表情をするのは日なたのなかばかりである。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
最上層の軒蛇腹には、幼児の
嬉戯
(
きぎ
)
してゐる群像が、白い浮彫となつてめぐらされた。天職が小児科にあるといふ意味だらう。屋上には、禅堂と称する小庵が設けられた。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
恰も
彼
(
か
)
の無邪気なる小児が、人形、生物体、もしくは人像に類せる物体を飜弄して、あらゆる残忍なる姿勢動作を演ぜしめつつ、
嬉戯
(
きぎ
)
満悦せる情態に酷似せるを看取し得べし。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
抽斎は
小字
(
おさなな
)
を
恒吉
(
つねきち
)
といった。故越中守
信寧
(
のぶやす
)
の夫人
真寿院
(
しんじゅいん
)
がこの子を愛して、当歳の時から五歳になった頃まで、
殆
(
ほとん
)
ど日ごとに召し寄せて、
傍
(
そば
)
で
嬉戯
(
きぎ
)
するのを見て
楽
(
たのし
)
んだそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それからある労働者と結婚した。りっぱな家庭の母となった。が彼女は人の心のさまざまな狂愚を理解していた。ジューシエの
嫉妬
(
しっと
)
をも
嬉戯
(
きぎ
)
を欲する「青春」をも等しく理解していた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
諸々
(
もろもろ
)
の子等は
火宅
(
ひのいへ
)
の内に
嬉戯
(
きぎ
)
に楽み
著
(
なづ
)
みて、覚らず、知らず、驚かず、怖れず。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
村に近づくにつれて農夫ら多く野にあるを見たり。静けき村なるかな。小児の群れの
嬉戯
(
きぎ
)
せるにあいぬ。馬高くいななくを聞きぬ。されど一村寂然たり。われは古き物語の村に入るがごとき心地せり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
画工、その事には心付かず、
立停
(
たちど
)
まりて
嬉戯
(
きぎ
)
する
小児等
(
こどもら
)
を
眗
(
みまわ
)
す。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは子供の
嬉戯
(
きぎ
)
に耽る最も深い時間であつた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
嬉戯
(
きぎ
)
しているとは思えなかった。
鹿の印象
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
嬉戯
(
きぎ
)
し、呼びかわし、いっしょにかたまり、走り出す。きれいなまっ白な小さな歯並みの
脣
(
くちびる
)
が方々でさえずる。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
画工、
其
(
そ
)
の事には
心付
(
こころづ
)
かず、
立停
(
たちど
)
まりて
嬉戯
(
きぎ
)
する
小児等
(
しょうにら
)
を
眗
(
みまわ
)
す。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
要するに、そして一言に概括すれば、浮浪少年とは不幸なるがゆえに
嬉戯
(
きぎ
)
する一個の人物である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この修道院のうちにあっては、
嬉戯
(
きぎ
)
に天国が交じっている。それらの咲き誇ったみずみずしい魂ほど喜ばしくまた尊いものはない。ホメロスもペローとともにここに
微笑
(
ほほえ
)
むであろう。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“嬉戯”の意味
《名詞》
遊び、戯れること。
(出典:Wiktionary)
嬉
漢検準1級
部首:⼥
15画
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
“嬉”で始まる語句
嬉
嬉々
嬉敷
嬉涙
嬉笑
嬉遊
嬉遊笑覧
嬉野
嬉気
嬉泣