トップ
>
姻戚
>
いんせき
ふりがな文庫
“
姻戚
(
いんせき
)” の例文
涌谷も松山も、雅楽頭と一ノ関との
姻戚
(
いんせき
)
関係をにらんでいた。すなわち、兵部の子の
東市正
(
いちのかみ
)
の許婚者が、雅楽頭の夫人の妹であること。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
重喜のすぐ先代をみても、一女は花山院
大納言
(
だいなごん
)
の正室に、また
鷹司家
(
たかつかさけ
)
、
醍醐大納言
(
だいごだいなごん
)
、
中院中将
(
ちゅういんちゅうじょう
)
などとも浅からぬ
姻戚
(
いんせき
)
の仲であった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最近では去年大阪にいる子息のところへしばらく行っていたので、その嫁の
姻戚
(
いんせき
)
でまた主人筋になっている人につれられて、方々連れて歩かれた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山本喜誉司
(
やまもときよし
)
これも中学以来の友だちなり。同時に又
姻戚
(
いんせき
)
の
一人
(
ひとり
)
なり。東京の農科大学を
出
(
いで
)
、今は
北京
(
ペキン
)
の
三菱
(
みつびし
)
に在り。重大ならざる恋愛上のセンテイメンタリスト。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毅堂は致仕の後も久留里藩から三人扶持を送られまた丹波亀山の松平豊前守信義とその
姻戚
(
いんせき
)
なる駿州小島の松平丹後守信進との両家からも扶持米を受けていたのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
九条家と
西園寺
(
さいおんじ
)
家とは
姻戚
(
いんせき
)
関係があり、九条家は頼朝と姻戚関係があったので、後京極摂政良経の子道家と、西園寺
公経
(
きんつね
)
の女との間に出来た頼経が、実朝の亡くなったあと
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
同じ
姻戚
(
いんせき
)
の盲目青年北田三木雄の頼りなく
無垢
(
むく
)
なこころは姿に現れていて、ある日智子は絶えて久しい武蔵野の北田家を訪ねて、殆ど初対面のような三木雄を一目見て、すぐ
明暗
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
徳川家と薩摩とは、
姻戚
(
いんせき
)
の関係もあったりして、どうかすると黙契が成立しそうになる。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
市河米庵
(
いちかわべいあん
)
も八十歳の高齢ではあったが、同じ病であったかも知れない。渋江氏とその
姻戚
(
いんせき
)
とは抽斎、宗右衛門の
二人
(
ににん
)
を
喪
(
うしな
)
って、五百、安の姉妹が同時に未亡人となったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なんとなく気味のわるかった
姻戚
(
いんせき
)
の伊達政宗までが思いがけない奥羽での切支丹迫害の報告書を奉った時、彼は自分がもうそれほどまでにおそれられているのかという得意のために
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
姻戚
(
いんせき
)
関係もおおっぴらで、もっとも縁の深いのが九条家で、
月
(
つき
)
の
輪
(
わ
)
関白兼実
(
かんぱくかねざね
)
の娘
玉日姫
(
たまひひめ
)
と宗祖の結婚がはじまりで、しかも宗祖は関白の弟、
天台座主
(
てんだいざす
)
慈円の法弟であったのだから関係は古い。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
甲斐
(
かい
)
の武田信玄など、もう
姻戚
(
いんせき
)
の
誼
(
よし
)
みなどは顧みていられないように、頻りと策動の気はいが見える。北条家も油断ならない存在である。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
姻戚
(
いんせき
)
関係になるとすれば、一ノ関さまを諸侯の列にあげたい、そういうところから始まったのではないかと思うのです」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
姻戚
(
いんせき
)
の家に冠婚葬祭の事ある場合、これに参与するくらいの事は浮世の義理と心得て、わたくしもその
煩累
(
はんるい
)
を忍ぶであろうが、然らざる場合の交際は大抵
厭
(
いと
)
うべきものばかりである。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夭折
(
わかじに
)
したその一粒種の子供の写真などを持ってきて、二階に寝ころんでいる道太に見せたりして、道太の家と自分の家の古い
姻戚
(
いんせき
)
関係などに
遡
(
さかのぼ
)
って、懐かしい昔の追憶を繰り返していた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此人に妹があり、
姪
(
をひ
)
があるとしても、此人と彼等とが血統上いかにして眞志屋の西村氏と連繋してゐるかは不明である。しかし此連繋は恐らくは此人の尊屬
姻戚
(
いんせき
)
の上に存するのであらう。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ことに、堀越家とは
姻戚
(
いんせき
)
に、
荻原
(
おぎわら
)
浜子の母方はなっている。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
志方
(
しがた
)
の城主櫛橋左京は、幸いにもそれがしの家の
姻戚
(
いんせき
)
、これは必ずお味方へ引き入れます。ひとり三木城の別所
長治
(
ながはる
)
は、頑として
降
(
くだ
)
りますまい。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姻戚
(
いんせき
)
のつながりがよくわからず、ぜんたいとして、男女関係の混乱していることが想像された。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こうして信孝と勝家とは、その頃からすでに単なる
姻戚
(
いんせき
)
以上の関係にあり、いわば切っても切れぬ仲だったのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒井侯と
昵懇
(
じっこん
)
のうえ、
姻戚
(
いんせき
)
関係にもあることだし、酒井侯はまた幕府閣老のなかでも権勢のさかんな人であるため、一ノ関さまの発言には、誰も正面から反対ができないもようである。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
足利家の
飛領
(
とびりょう
)
の
篠村
(
しのむら
)
とここは遠くない。両家の
姻戚
(
いんせき
)
関係が生じたわけもわかるし、尊氏に公卿の血がながれていたことにもためらいなくうなずかれる。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姻戚
(
いんせき
)
関係はあっても、斎藤家などは、最も危険な敵だし——駿河、三河、伊勢、甲州、頼む味方など一国もない。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、一族
曹仁
(
そうじん
)
の娘を、孫策の弟にあたる
孫匡
(
そんきょう
)
へ嫁入らせ、
姻戚
(
いんせき
)
政策をとってみたが、この程度のものは、ほんの一時的な偽装平和を彩ったまでにすぎない。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——時に、光栄ある貴家と
姻戚
(
いんせき
)
の縁をむすんで、永く共栄をわかち、親睦のうえにも親睦を篤うしたいが」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
驍勇
(
ぎょうゆう
)
並ぶ者なきあなたと、伝国の玉璽を所有して、富国強兵を誇っているところの袁家とが、
姻戚
(
いんせき
)
として結ばれると聞いたら、これを
呪咀
(
じゅそ
)
し
嫉視
(
しっし
)
せぬ国がありましょうか」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主君新免氏の娘政子を妻に
娶
(
めと
)
っているので、新免家と宮本家とは主従であると同時に
姻戚
(
いんせき
)
の間がらでもあったわけで、過去帳の同列に記載されてあったのも、そんな関係から
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(おれとおぬしとは、むかしは悪友、いまは
姻戚
(
いんせき
)
。よくよく切っても切れぬ仲ではあるよ)
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それよりも大きな
過誤
(
かご
)
は、信長から歓心を迎えられて、彼と
姻戚
(
いんせき
)
をむすんだことである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして又、秋元家と、長州の毛利藩との
姻戚
(
いんせき
)
関係や、密接な交渉を考えてみると、
疾
(
と
)
くから、長州は土州の雄藩秋元とむすび、秋元藩は、当然、隣藩の足利の態度を見ていたに違いない。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近江
(
おうみ
)
蒲生郡
(
がもうごおり
)
日野の若殿といえば、氏郷のほかにはいない。年は信雄より二つ上だが、
姻戚
(
いんせき
)
関係からいえば妹
聟
(
むこ
)
だ。——信雄は、あざやかに
鞠
(
まり
)
を蹴りながら、取次の者をふり返って云った。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(二家
姻戚
(
いんせき
)
として、二国同盟して、共に、曹操を打破ろうではないか)
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呉と荊州とは、
唇歯
(
しんし
)
の関係にあるし、
姻戚
(
いんせき
)
の義理もある。——依って駈けつけねばならないが、魏の曹軍に対しては、いかんせん兵力も
兵粮
(
ひょうろう
)
も足らない。精兵三、四万に兵粮十万石を合力されたい。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえ、北条一族の
姻戚
(
いんせき
)
に列しようと、赤橋の妹を
妻
(
め
)
に持とうと、なんで初志を変えようぞ。むしろ、鎌倉御家人どもの眼をあざむくにも、徐々に大事を計ってゆくにも、よい
階段
(
きざはし
)
とすら思うている
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両家は
姻戚
(
いんせき
)
だ。氏郷の眉目には、誰よりも強い決意が見えた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「織田家とは
姻戚
(
いんせき
)
の縁を
断
(
た
)
った」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“姻戚”の意味
《名詞》
姻戚(いんせき)
結婚したことによりできる親類関係のこと。姻族。
(出典:Wiktionary)
姻
常用漢字
中学
部首:⼥
9画
戚
常用漢字
中学
部首:⼽
11画
“姻”で始まる語句
姻
姻礼
姻縁