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大籬
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おおまがき
ふりがな文庫
“
大籬
(
おおまがき
)” の例文
「驚くのも無理は無い——。
大籬
(
おおまがき
)
のお職を張って居る玉だって、此の節はそんな値は無いさ、併しあの女はそれだけの値打があるよ」
新奇談クラブ:08 第八夜 蛇使いの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大籬
(
おおまがき
)
小籬、朱塗の見世格子に煌々とネオン照り映え、門松の枝吹き鳴らすモダン風、駄々羅太鼓の間拍子もなんとなくジャズめく当代の
喜見城
(
リュウ・ド・プレジール
)
。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
婢は
幼
(
いとけな
)
くして吉原の
大籬
(
おおまがき
)
に
事
(
つか
)
え、忠実を以て称せられていた。その千住の親里に帰ったのは、年二十を
踰
(
こ
)
えた
後
(
のち
)
である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
大柄な女はいかほど
容貌
(
きりょう
)
がよく押し出しが立派でも兼太郎はさして見返りもせず、ああいう女は昔なら
大籬
(
おおまがき
)
の
華魁
(
おいらん
)
にするといい、当世なら女優向きだ
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……ある
大籬
(
おおまがき
)
の寮が根岸にある、その畠に造ったのを掘たてだというはしりの新芋。これだけはお才が自慢で、すじ、
蒟蒻
(
こんにゃく
)
などと煮込みのおでんを
丼
(
どんぶり
)
へ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
其の遊女の所へ尋ねて
往
(
ゆ
)
きはしないかと、吉原へ参って格子先を覗いて歩くと、辨天屋
祐三郎
(
ゆうざぶろう
)
という江戸町一丁目の
大籬
(
おおまがき
)
の次位
大町
(
だいまち
)
小見世
(
こみせ
)
というべき店で
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何しろ、先方様は
大籬
(
おおまがき
)
へ、茶屋からお上りになったんでございますからね、こちらもそのつもりで二十両や三十両がところは用意して参りませんと……」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大籬
(
おおまがき
)
の
太夫衆
(
たゆうしゅう
)
がもらうような、こんな御祝儀を見せられちゃ、いやだともいえまいじゃないか。だがいったい、見ず知らずのお前さんの、頼みというのは何さ。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「昔の
大籬
(
おおまがき
)
の女郎って奴、おおよそご大相な見得と見識とを、持ってもいたが見せつけもしたものさ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
吉原
大籬
(
おおまがき
)
の遊女もボンネットをかぶり、十八世紀風のひだの多い洋服を着て椅子に
凭
(
よ
)
りかかって
張店
(
はりみせ
)
をしたのを、見に連れてゆかれたのを、私はかすかに覚えている。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
下谷も入谷田圃に近い、もとなんとかいう吉原の
大籬
(
おおまがき
)
の寮の跡だという、冷たくだだッ広いこの
家
(
うち
)
は、明治三十八年の東京市中とは思われないほど、ものしずかだった。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
しかも、その源氏名の
濃紫
(
こいむらさき
)
と云う名を、万延頃の細見で繰ってみれば判る通りで、当時唯一の
大籬
(
おおまがき
)
に筆頭を張り
了
(
おお
)
せただけ、なまじなまなかの全盛ではなかったらしい。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何事かを宋江から耳打ちされて、
斜
(
すじ
)
向いの
大籬
(
おおまがき
)
の門へ、すうっと、入って行ったものである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大籬
(
おおまがき
)
に育てられた彼女は、浮世絵に描かれた遊女のようにしだらのない立て膝をしてはいなかったが、疲れたからだを少しく
斜
(
はす
)
にして、桐の手あぶりの柔かいふちへ白い指さきを
逆
(
さか
)
むきに突いたまま
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
木で彫った仏様には
違
(
ちげ
)
えねエが、象の上に乗っかっていなきゃ、そのまま
大籬
(
おおまがき
)
から突き出せそうな
代物
(
しろもの
)
ですぜ。
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
知らせて来てくれたものの話には、神尾殿は茶屋から上って
大籬
(
おおまがき
)
とやらに遊んでいるそうな。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なるほどお前は田舎の人、噂を聞かぬはもっともだが、近来江戸へ女装をしたそれも
大籬
(
おおまがき
)
の花魁姿、夜な夜な出ては
追剥
(
おいおどし
)
、武器と云えば銀の
簪
(
かんざし
)
手裏剣にもなれば
匕首
(
あいくち
)
にもなる。
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今紫は
大籬
(
おおまがき
)
の
花魁
(
おいらん
)
、男舞で名をあげ、
吉原太夫
(
よしわらだゆう
)
の最後の
嬌名
(
きょうめい
)
をとどめたが、
娼妓
(
しょうぎ
)
解放令と同時廃業し、その後、薬師
錦織
(
にしごおり
)
某と
同棲
(
どうせい
)
し、壮士芝居
勃興
(
ぼっこう
)
のころ女優となったりして
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しばらくは、
妓
(
おんな
)
をよんで、いわゆる
通
(
つう
)
な“きれいごと遊び”に時をすごしていたが、そのうち斜向いの、わけて一軒すばらしい
大籬
(
おおまがき
)
の
揚屋
(
あげや
)
に、チラと見えた
歌舞
(
かぶ
)
の
菩薩
(
ぼさつ
)
さながらの人影に
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
洲崎
(
すさき
)
の
廓
(
くるわ
)
へ入った時、ここの
大籬
(
おおまがき
)
の女を俺が、と
手折
(
たお
)
った枝に根を
生
(
はや
)
す、
返咲
(
かえりざき
)
の色を見せる気にもなったし、意気な男で暮したさに、引手茶屋が一軒、不景気で分散して、売物に出たのがあったのを
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何となく「
大籬
(
おおまがき
)
」というゆったりとしたものが感じられる。
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
秀造さんは吉原の
大籬
(
おおまがき
)
金瓶大黒
(
きんぺいだいこく
)
の恋婿で、吉原に文明開化をもちこんで、幾分でも吉原を明るくしたかわりに養家はつぶしてしまった人。異之助さんは本邦最初の、外国火災保険詐欺をやった男。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
……それじゃア、俺ら町人なんかは、どんな女郎買っていいんだい。……こういうお触れ書きを出した奴や、蔵前の札差しなんて奴は、銀で本田髷を巻き立ててよ、吉原の
大籬
(
おおまがき
)
の
花魁
(
おいらん
)
を買ってよ。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“大籬”の解説
大籬(おおまがき)は、江戸、吉原で、最も格式の高い娼家(遊女屋)。
(出典:Wikipedia)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
籬
漢検1級
部首:⽵
25画
“大”で始まる語句
大
大人
大事
大袈裟
大分
大切
大抵
大概
大方
大丈夫