大捷たいしょう)” の例文
呉の大捷たいしょうを伝えて、成都から三軍へ酒を賜った。孔明は、一夜盛宴を張って、恩賜を披露し、あわせて将士の忍苦精励をなぐさめた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくのごとく積極論派は外政上において失敗したりといえども、内政上には大捷たいしょうを博し、王政再興論はついに全国の輿論よろんとなるに至れり。
近時政論考 (新字新仮名) / 陸羯南(著)
この戦術を用ひて大捷たいしょうを博したのが長篠合戦で、鉄砲に見切りをつけた武田方は、この合戦で滅亡した。
鉄砲 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「空前絶後の大捷たいしょうを博せる云々うんぬん」と、日露戦役に於ける日本海大海戦の勝利を
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
鼠の助力で匈奴に大捷たいしょうした話も出で来たと見える。
迎えて陣屋の設けもできていません。今、直ちに逆寄さかよせをなし給えば、いつをもって労を撃つで——必ず大捷たいしょうを博すだろうと思います
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、この大捷たいしょう沸騰ふっとうも、あくる日は、もう山上にめていた。怪しげな咡き声がたちまち拡まっていたのである。たれからともなく
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千早城もまた大捷たいしょうと聞えたので、同じ五月二十三日、還幸かんこうの沙汰を布令ふれだされ、晴れの都門凱旋がいせんの途についておられたのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸先さいさきよしだ。兵糧その他、戦利品も莫大な数にのぼろう。かかる大捷たいしょうを博したのも、日頃の鍛錬があればこそ——やはり平常が大事だな」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正行まさつら正時まさときの兄弟は、父の遺訓にもとづいて、前の年から四天王寺してんのうじ和泉いずみのさかいで大捷たいしょうはくし、転じて、八尾の城をほふり、誉田ほんだの森では
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸いに、大捷たいしょうを博しました。けれどこの勝利に酔っては危険です。いくら魏に打ちってもです。——なぜならば呉というものがありますからな。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、三たびの凱歌を全軍にあげさせ、その二万余騎にのぼる味方にほこり、もう明日の大捷たいしょうをも、確信していた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに、赤壁の大捷たいしょうが誰の功によるか、という問題になれば、なお大いに議論があるが、それはいわぬことにする。敢て、ここではいわぬことにしておく
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その点は、われわれも絶えず腐心しているところですが、先頃の大捷たいしょうに、だいぶ戦利品も加えましたから、なおしばらくは支えられないこともありません。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くだって、元寇げんこうの変に、相模太郎時宗さがみたろうときむねをして、一剣護国の難にあたらせ、民ことごとくの憤怒が、筑紫つくし大捷たいしょうとなった時の如きは、それの最も歴然たるものだ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まさにこの日の戦は、河北軍の大捷たいしょうであり、それにひきかえ、曹操の軍は、官渡かんとの流れを渡って、悲壮なる退陣をするうちに、日ははや暮れていたのであった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うまの刻過ぎるまで、魏の大捷たいしょうをもって終始した。蜀の兵は、馬ものの具を捨てわれがちに潰走しだした。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは遠征軍の大捷たいしょうによってつぐなわれ、いわゆる耕牛、戦馬、金銀、犀角さいかくなどのおびただしい南方物資のみつぎの移入によっても、大いに国力を賑わし得ることは得たが
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平家も水島の大捷たいしょうに勢いをもり返して、京都奪回を目標に、うしおのごとく、山陽を北上して、先鋒の一部はすでに、兵庫に上陸して一ノ谷あたりに集結しているという。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
味方の大捷たいしょうに、曹操をはじめ、十八ヵ国の諸侯は本陣に雲集して、よろこびを動揺どよめかせていた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「山嶮の雪ける頃ともなれば、蜀兵のかても尽きて、いやでも総退却を開始しましょう。虚はそのときにあります。追撃を加えて大捷たいしょうることまちがいございませぬ」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長篠ながしの大捷たいしょうを博してからまだ一ヵ月、人生最高な会心事とゆるし、ひそかに男児の胸に四隣を圧しる武威を大列に耀かがやかして、しかも京都へのえある途中にあるのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「否々。魏軍を驕り誇らせて、淮河の隘口あいこうに誘い、周密に、この大捷たいしょうを成すの遠謀をそなえていた都督の大計には比すべくもない。軍功第一は徐盛でなければなるまい」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
追い討ちすれば、難なく、囲みはとけ、しかも大捷たいしょうを得ること、火を見るより明らかでしょう
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵国の崩壊ほうかいは、当然、味方の大捷たいしょうをここにもたらすものだったが、それを歓ぶ前に、敵とはいえ、余りな醜さ、余りな卑劣に、武門人道のうえから、信長は持ち前の感情を激発して
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周瑜はこのところ甘寧かんねい大捷たいしょうに甘んじて、曹軍怖るるに足らずと、大いにおごっていたところであったが、急に不安を抱いて、いちど要塞の規模を自身探ってみようと云いだした。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桶狭間おけはざまの一戦の大捷たいしょうは、さすがに十日余りも、清洲きよすの城下を昂奮の坩堝るつぼと化して、盆も夏祭も一緒に来たような騒ぎだったが、それも常態にかえると、鍛冶かじの家にはつちの音が聞え
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——何をしているんです! 今こそ追撃する機会です。きっと大捷たいしょうを博しましょう」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人情の余韻よいんを残すというものだ。すでに赤壁においてすらあの大捷たいしょうを博した我軍のまえに、南郡の城のごときは鎧袖がいしゅうしょく、あんなものを取るのは手をかえすよりやさしいことじゃないか
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赤壁に大捷たいしょうした呉軍も、合淝を攻めにかかってからは、いっこう振わなかった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それらの後顧こうこには、さらさら、ご懸念けねんなく、瀬戸内せとうち、山陽、山陰の軍路に大捷たいしょうをおさめられて、やがてれの都入りの日を、鶴首かくしゅ、お待ち申しあげております……とも、手紙の末尾には
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに人的損傷はその三分の一以上に及んだであろうといわれ、航行不能になって捨てていった船や兵糧や武具など、呉の鹵獲ろかくは莫大な数字にのぼり、わけても大捷たいしょうの快を叫ばせたものは
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときは長篠ながしの合戦の直後である。久しいあいだ不敗の鉄軍と誇っていた甲山の武田をして、一転、第二流国へ蹴落けおとしてしまった程な大捷たいしょうを博して凱旋したばかりの領主をいただいている職人町であった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——おう、おうっ、味方の大捷たいしょうだ。江上戦は有利に展開したぞ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ、義経からの、壇ノ浦大捷たいしょうの報をもたらして、急使が着いた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、大捷たいしょうを博した曹操は、会心の声をあげて笑っていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もとよりお味方の大捷たいしょう。今の勝鬨かちどきをお聞きなかったか」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて戦は、曹操の大捷たいしょうに帰し、曹操は玄徳に対して
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、あくまで自軍の大捷たいしょうを信じて疑わなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また先頃の桶狭間おけはざま大捷たいしょうにしてもそうである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大捷たいしょうは、あまり自慢にはなりません。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われ大捷たいしょうたり。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)