大恩だいおん)” の例文
はなせしゆゑなににしても文右衞門樣の御身のうへあんじらるゝによりいそぎ只今御尋おたづね申せしわけまた大恩だいおんうけたる文右衞門樣になに意恨いこんあつて御難儀ごなんぎになる事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば大恩だいおん教主けうしゆ阿含あごん説法せつぱう志道軒しだうけん隆々りゆう/\木陰ぼくいん揮回ふりまはす、皆之みなこれこ〻の呼吸こきふ呑込のみこんでのうへはなしなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「やっと命を助けて頂いた御主人の大恩だいおんさえ忘れるとはしからぬ奴等でございます。」
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
同窓生一人も残らず自分の通りになれ、又自分の通りにしてろうと云うような血気の威張いばりであったろうと今から思うだけで、決して道徳とか仁義とか又大恩だいおんの先生に忠義とか
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それをおおきくなってから、すこしの損得そんとくで、兄弟きょうだいげんかをしたり、たがいにゆききしないものがあれば、またなかには、大恩だいおんのある、母親ははおやをきらって、よせつけないものがあるといいますから
煙と兄弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三郎さぶろうさまと申のなり此頃このごろたまひしは和女そなた丁度ちやうど不在るすときよ一あしちがひに御歸宅ごきたくゆゑらぬのは道理どうりひかけてお八重やへかほさしのぞき此願このねがかなはゞ生涯しやうがい大恩だいおんぞかしくどうははぬこゝろこれよとはすうれしきいろはあらはれたり
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大恩だいおんまをすはこれなのです。——
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
上お早が身の素性すじやうより實家じつか森田屋銀五郎の方にて不實ふじつはたらきし事まで殘りなく申立るに越前守殿點頭うなづかれコレ早すれば汝が不儀の樣子森田屋銀五郎に大恩だいおんうけながら其主人宅を取逃とりにげ欠落かけおち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たすかりことに廿兩といふ金迄かねまでめぐまれ路用として江戸へ來りしわけなるが道中にても先生の御恩になり又親分のあつき御世話にて今日までも無難にくらるも是皆樣の大恩だいおんなりしかるに去年の極月初旬はじめ淺草あさくさの觀音樣より上野の大師樣へ參詣せんと下谷の車坂を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)