トップ
>
多忙
>
いそが
ふりがな文庫
“
多忙
(
いそが
)” の例文
柔らげて「私が出します。ほんとに義兄さんには
多忙
(
いそが
)
しいところを毎度毎度こんなつまらぬことで御心配ばかりかけて済みません」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
夕飯の後、蓮華寺では説教の
準備
(
したく
)
を為るので
多忙
(
いそが
)
しかつた。昔からの
習慣
(
ならはし
)
として、定紋つけた
大提灯
(
おほぢやうちん
)
がいくつとなく取出された。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
江戸ではその分業が一々
際立
(
きわだ
)
って、店の仕事が
多忙
(
いそが
)
しいとまでは行かないが、中古から(徳川氏初期からを
指
(
さ
)
す)京都の方では非常に盛大なものであった。
幕末維新懐古談:08「木寄せ」その他のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「どうせ
避
(
よ
)
けた位だからちょっくら帰って来ないだろう。帰りましょう、私も
多忙
(
いそが
)
しい身体だからね。お客様に御飯を上げる
仕度
(
したく
)
も為なければならんし」と急に
起上
(
たちあ
)
がって
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『今日お
多忙
(
いそが
)
しくつて?』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
料理屋へは打合せに行く、三吉の方へは電報を打つ、この人も
多忙
(
いそが
)
しい思いをした。その電報が行くと直ぐ三吉も出て来る
手筈
(
てはず
)
に成っていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
日に増し寒さが厳しく、お
酉様
(
とりさま
)
の日も近づくと、めっきり
多忙
(
いそが
)
しくなるので、老人は
夜業
(
よなべ
)
を始め出す。私も
傍
(
そば
)
で見ている訳にいかず自然手伝うようになる。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「どうも
多忙
(
いそが
)
しくって困ります。今日もこれから寄附金のことで出掛けるところでした」
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
多忙
(
いそが
)
しがっている人に似合わず、達雄はガッカリしたように坐って、
復
(
ま
)
た煙草を
燻
(
ふか
)
し始めた。何となく彼は
平素
(
ふだん
)
のように
沈着
(
おちつ
)
いていなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
師匠の
許
(
もと
)
へは
米沢
(
よねざわ
)
町の沢田という袋物屋から
種々
(
いろいろ
)
貿易向きの注文が来て、その方がなかなか
多忙
(
いそが
)
しくなる。今までは仏様専門であったが、今は不思議なものを彫る。
幕末維新懐古談:36 脂土や石膏に心を惹かれたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
今日
彼時
(
あれ
)
から
往
(
い
)
ったら親方が
厭
(
いや
)
な顔をしてこの
多忙
(
いそが
)
しい中を何で遅く来ると
小言
(
こごと
)
を言ったから、実はこれこれだって木戸の一件を話すと、そんな事は
手前
(
てめえ
)
の勝手だって言やアがる
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
正太を見舞いに行く前の晩、三吉は種々なことで
多忙
(
いそが
)
しい思をした。
甥
(
おい
)
が病んでいることを、せめて向島の女にも知らせて
遣
(
や
)
りたいと思った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこでまた私は閻魔の顔を拵えさせられるなど自分の仕事をそっち
退
(
の
)
けにして
多忙
(
いそが
)
しいことで、エンマの顔は張り子に抜いてぐるぐる目玉を動かすような仕掛けにして
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「ええ、ええ、
多忙
(
いそが
)
しい人です」と母は引取って、やがて三吉の方を見て、「父さん——貴方は御仕事の方を成すって下さい。
何卒
(
どうぞ
)
お構いなく」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
多忙
(
いそが
)
しい時には、こんな気も起った。何を犠牲にしても、私は行けるところまで行って見ようと考えたのである。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この友人が
多忙
(
いそが
)
しい
身
(
からだ
)
に
僅
(
わずか
)
の
閑
(
ひま
)
を見つけて隅田川の近くへ休みに来る時には、よく岸本のところへ使を
寄
(
よこ
)
した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「これ、そうっとして置くが可い。
明日
(
あした
)
は大分
多忙
(
いそが
)
しい人だそうだから——」とお種は声を低くして言った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
丑松は其を承知して居るから、格別気にも留めないで、年貢の
準備
(
したく
)
に
多忙
(
いそが
)
しい人々の
光景
(
ありさま
)
を眺め入つて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何かの本でそんなことを読んだことがあった。私達の養蚕休みは、それに似たようなものだろう。
多忙
(
いそが
)
しい時季が来ると、学生でも家の手伝いをしなければ成らない。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は東京の方へ帰って行った後の
多忙
(
いそが
)
しさを予想して、せめて半日その宿の二階座敷で
寝転
(
ねころ
)
んで行こうとした。同じ部屋には旅行用の画具なぞをひろげた画家が居て
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
日の光は
斯
(
こ
)
の小屋の内へ射入つて、死んで其処に倒れた種牛と、
多忙
(
いそが
)
しさうに立働く人々の白い
上被
(
うはつぱり
)
とを照した。屠手の頭は鋭い出刃庖丁を振つて、先づ牛の
咽喉
(
のど
)
を
割
(
さ
)
く。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
吾等
(
こちとら
)
の
賤
(
いや
)
しい
生涯
(
くちすぎ
)
では、
農事
(
しごと
)
が
多忙
(
いそが
)
しくなると朝も暗いうちに起きて、
燈火
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けて
朝食
(
あさめし
)
を済ます。東の空が白々となれば
田野
(
のら
)
へ出て、一日働くと女の身体は綿のようです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
河岸の
氷室
(
こおりむろ
)
について折れ曲ったところに、細い閑静な横町がある。そこは釣好きな田辺の小父さんが
多忙
(
いそが
)
しい中でも
僅
(
わず
)
かな
閑
(
ひま
)
を見つけて、よく釣竿を提げて息抜きに通う道だ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先刻
(
さっき
)
この二階で話したと思うようなことが最早活字になって来た。面白そうな見出しで、
多忙
(
いそが
)
しく書かれた文章で。岸本は自分のことの出ているその新聞を自分で読んで見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
収穫
(
とりいれ
)
の
休暇
(
やすみ
)
が来た。農家の
多忙
(
いそが
)
しい時で、三吉が通う学校でも一週間ばかり休業した。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「叔父さんも
多忙
(
いそが
)
しいよ。叔母さんの分まで引受けなくちや成らないんだから。」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
旦那さんは勤め先の用で、旅からまた旅に出掛けなければ成らない程の
多忙
(
いそが
)
しい身を持つて来て居た。で、一月ばかりの留守の間、お節は叔父さんの
家
(
うち
)
の方へ預けられることに成つた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「済んだら早く帰って来いよ。小父さんも
多忙
(
いそが
)
しい
身
(
からだ
)
に成って来たからな——」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
三月ばかり世話になった婆やにも暇を告げねばならなかった。東京までの見送りとしては、日頃からだの
多忙
(
いそが
)
しい小山の養子の代りとして養子の兄にあたる人が家の方から来ることに成った。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小父さんも
多忙
(
いそが
)
しかった。
商法
(
あきない
)
の用事で横浜と東京の間をよく往来した。八月に入って、小父さんは東京の方の問屋廻りを兼ね、脚気の気味だという寅どんを大勝の
御店
(
おたな
)
の方へ連れて行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
多
常用漢字
小2
部首:⼣
6画
忙
常用漢字
中学
部首:⼼
6画
“多”で始まる語句
多
多寡
多勢
多少
多分
多人数
多數
多時
多日
多数