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とざま
ふりがな文庫
“
外様
(
とざま
)” の例文
旧字:
外樣
国目付というのは幕府から
外様
(
とざま
)
諸侯の
国許
(
くにもと
)
へ派遣される監察官で、定員は二名または三名、任期は半年から一年の交代である。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いわんや藤堂和泉守は
外様
(
とざま
)
大名。事あれかしの際だから、かならず三十二万石に瑕がつくくらいなことは知っていよう。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
御隠居がすでにこのとおり、外交のやむを得ないことを認めて、他の親藩にも
外様
(
とざま
)
の大名にも説き勧めるくらいだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
譜代大名
(
ふだいだいみょう
)
の心を
弛緩
(
しかん
)
させないために。——また、
外様
(
とざま
)
大名の蓄力を経済的にそれへ消耗させてしまうために。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御譜代
外様
(
とざま
)
を通じての大大名をも
後
(
しり
)
えにおさえて、第一の席は、ずっと柳生家の占むるところでござりました
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
花田準造は江木弥作親分から乞いうけて貰った子分といえば、一種の
外様
(
とざま
)
大名だ。
譜代
(
ふだい
)
大名である友田喜造とは、なにかと暗流を衝突させているのかも知れない。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その上に硯友社からは
新参者
(
しんざんもの
)
として
外様
(
とざま
)
扱いされ、紅葉にも余り気に入らないで引立てられなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
単に紋所に
止
(
とど
)
まらず、将軍及び諸大名の臣下
鎮撫策
(
ちんぶさく
)
とも関聯するもので、徳川家がむやみに
外様
(
とざま
)
大名に松平の姓を与えたこと、ないしは押懸け
婿
(
むこ
)
、押懸け嫁を縁付けて
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
江戸幕府を直接
覆
(
くつがへ
)
したものは、創業の家康が極度に恐れた
外様
(
とざま
)
の雄藩、強藩ではなくて、志士と呼ばれる下級武士の活躍であり、
大頭鯨
(
だいとうくじら
)
を追つて来た船を保護するために
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
これ
丈
(
だけ
)
では守備が不足なので、幕府は
外様
(
とざま
)
の大名に
役知
(
やくち
)
一万石
宛
(
づゝ
)
を
遣
(
や
)
つて
加番
(
かばん
)
に取つてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は
外様
(
とざま
)
中の外様大名なり。その乃祖元就が、
正親町
(
おおぎまち
)
天皇の即位大礼の資を献じてより以来、恩賜の菊桐は、彼が
伝家
(
でんか
)
の記号となり、
大膳太夫
(
だいぜんだゆう
)
は、彼が伝来の通称となれり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
長年そこの玄関に居ただけ先生との因縁も深く、先づ
外様
(
とざま
)
と譜代ぐらゐの違はある。痩せた、眉毛の恐ろしい太い、目の沈んだ男で、比喩と謎だけで小説を書かうと焦つて居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
然し信長に取っては
外様
(
とざま
)
なので、後に至って信長が其将材を
憚
(
はばか
)
って殺そうとした位だ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
薩・長・土・肥の
外様
(
とざま
)
大名は、ひそかに将軍を攻撃する計画をたてていたのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
いったい、このお台場を
外様
(
とざま
)
の大名に任せたということが、すでに徳川の名折れだ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外様
(
とざま
)
又者の類までが、もしこの作を手に入れたときは、徳川への恐れと遠慮のために、その銘をすりつぶして
佩用
(
はいよう
)
するといったような当時のご時勢でしたから、又者までもがそうであるのに
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
外様
(
とざま
)
大名にも危険なのがいます」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……稲葉能登守といえば、
豊後
(
ぶんご
)
の
臼杵
(
うすき
)
で五万二千石。
外様
(
とざま
)
大名のうちでもそうとうな大藩だが、この雅之進というやつは、よほど洒落れた男だと思われる。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
きめることは誤りでございましょう、けれども、同じ
外様
(
とざま
)
として、幕府の政策にどう対処するかという根本の立場だけは、判断することができると思います
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
外様
(
とざま
)
六万石として北東の海辺に
覇
(
は
)
を唱える
相馬大膳亮
(
そうまだいぜんのすけ
)
殿の
湯池鉄壁
(
とうちてっぺき
)
、中村城のそと構えである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
外様
(
とざま
)
も外様、敵国の降参人として、家康の臣列に加えられ、
爾来
(
じらい
)
、幾戦場の
試
(
ため
)
しと、平時の居づらさや、同藩の
猜疑
(
さいぎ
)
などにも耐えて、ようやく近頃、重用されてきた者なのである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その声は、過ぐる年に
外様
(
とざま
)
諸大名の家族が揚げて行ったような解放の歓呼ではない。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
されば
御家
(
おいえ
)
相続の子無くして、
御内
(
みうち
)
、
外様
(
とざま
)
の面〻、色〻
諫
(
いさ
)
め申しける。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
なにしろ武力の権を一手に握り、家康が選定した江戸の城に根を構え、
譜代
(
ふだい
)
外様
(
とざま
)
の
掩護
(
えんご
)
のほかに、八万騎の直参を持っているのですから、そう一朝一夕に倒れるというわけにはいきますまいから
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……
目安箱
(
めやすばこ
)
の密訴状の実否やら遠国の
外様
(
とざま
)
大名の政治の模様。……そうかと思うとお家騒動の報告もあります。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
問題が問題だから、
外様
(
とざま
)
諸侯には絶対に知られてはならない。閣老の中に協力者を固め、探査の範囲を拡げ、行動の自由を助けてもらわなければならなかった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
源十郎を法網にかけるためには一応前もってこのほうへ渡りをつけなければならないし、丹下左膳には、奥州中村の
相馬大膳亮
(
そうまだいぜんのすけ
)
なるれっきとした
外様
(
とざま
)
さまの
思召
(
おぼしめ
)
しがかかっていてみれば
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
外様
(
とざま
)
、
譜代
(
ふだい
)
を問わず、諸侯の内秘や藩政の非点をつかんで、これを
糺問
(
きゅうもん
)
に附し、移封、減地、或いは断絶などの——荒療治をやらねばならない当面の悪役が大目付じゃ。お父上でなければできぬ。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「涌谷さまが訴訟のために出府を許されてから、御
譜代
(
ふだい
)
、
外様
(
とざま
)
の大名がたでいろいろと
評
(
うわさ
)
があり、会津中将(
保科
(
ほしな
)
正之)さまでさえ、一ノ関が悪いと仰せられているということです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
曹氏の一族はみな紅袍を着し、
外様
(
とざま
)
の諸将はすべて
緑袍
(
りょうほう
)
を着ていた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
外様
(
とざま
)
諸侯の家臣のうち、筋目正しい家の子を幕府に差出すもので、はっきりいえば「人質」であり、主水は六歳のときから十三年のあいだ、江戸の証人屋敷で育ったのであった。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
譜代
(
ふだい
)
外様
(
とざま
)
のさべつなく
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「保科侯は御病弱です」と周防が云った、「そして、お忘れではないと思いますが、
外様
(
とざま
)
大名をとりつぶすことにかけては、川越侯は名手といわれている人です、そうではなかったでしょうか」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
外様
(
とざま
)
では」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「徳川幕府という機構のなかで、十善人の一に数えられていることは認めよう、だが、侯はどこまでも徳川氏の
譜代
(
ふだい
)
であり、幕府閣僚の一人だ、
外様
(
とざま
)
諸侯の代弁者でもなければ、もとより伊達家の
庇護
(
ひご
)
者でもない」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“外様”の解説
外様(とざま)とは、本来の意味は日本の歴史上において、主君(上位権力者)を中心とした主従関係の中で、主君の親族・一門や、累代にわたり仕えてきた譜第(譜代)と比較し、疎遠にある者(家臣)を指していた。
武家社会や朝廷が消滅した現代の日本においても、比喩的に「外様」の語が使用されることがある。
(出典:Wikipedia)
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“外様”で始まる語句
外様衆
外様大名
外様勤
外様者