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もぐら
ふりがな文庫
“
土龍
(
もぐら
)” の例文
新字:
土竜
「松明仕掛けの睡り薬で参らすんだ。その作り方は、
土龍
(
もぐら
)
、
井守
(
いもり
)
、
蝮蛇
(
まむし
)
の血に、天鼠、
百足
(
むかで
)
、白檀、丁香、水銀郎の細末をまぜて……」
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「オオ」という
蓑
(
みの
)
直しの安蔵、道具を投げて無我夢中に、手をもって土をかき分けます。その努力やあたかも
土龍
(
もぐら
)
のように必死でした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
慎作は、坑道を見失った
土龍
(
もぐら
)
の様な父が、最後に頼ろうとする飼鳥を、理性一点ばりで拒否する自分が非常に冷酷なものに思えてならなかった。
十姉妹
(新字新仮名)
/
山本勝治
(著)
そしてそこで彼等は
土龍
(
もぐら
)
のやうな遊びを始めた。そこは物置の中とは比べものにならない位に涼しかつた。
鼠
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
地藏樣の臺座の下は、
土龍
(
もぐら
)
の穴のやうに深々と掘れてあり、この中を搜つた
彈
(
はず
)
みで、臺座のゆるんだ地藏樣が、下に轉がり落ちたと思へないことはありません。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
全く強制的に彼は朝起きるとから日が落ちるまで、
土龍
(
もぐら
)
のように働かなければならなかったのである。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
嗚呼
(
ああ
)
、後年の
梟雄
(
きょうゆう
)
武蔵守輝勝、かの肖像畫に見るところの英姿
颯爽
(
さっそう
)
たる「武州公」が、今や桔梗の方の厠の真下にある坑道の
闇
(
やみ
)
に
土龍
(
もぐら
)
の如くうずくまっている様子は
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自由を求め、ひろびろとした世界に出て、龍となって昇天する筈であった。それなのに、今は、北九州の一角、若松という不自由の天地に、
土龍
(
もぐら
)
のように
跼蹐
(
きょくせき
)
している。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
庭上で
土龍
(
もぐら
)
を捉えてこれを殺した時、やむを得ぬとはいえ、慚愧の念に堪えないと記している。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
ソレあの山の八合目にかけた森の中に
土龍
(
もぐら
)
の形に似た枯草の野があるだらう、あれはこの麓の村から牛馬の飼料を刈りにゆく草場で、その形からこの邊ではムグラツトと呼んでゐる
樹木とその葉:06 四辺の山より富士を仰ぐ記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
今村は、日光をおそれる
土龍
(
もぐら
)
のように、明るい部屋へ出るのが気まりがわるかった。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
下女
(
げぢよ
)
は
縞
(
しま
)
も
色
(
いろ
)
も
判然
(
はつきり
)
映
(
うつ
)
らない
夜具
(
やぐ
)
の
中
(
なか
)
に、
土龍
(
もぐら
)
の
如
(
ごと
)
く
塊
(
かた
)
まつて
寐
(
ね
)
てゐた。
今度
(
こんど
)
は
左側
(
ひだりがは
)
の六
疊
(
でふ
)
を
覗
(
のぞ
)
いた。がらんとして
淋
(
さみ
)
しい
中
(
なか
)
に、
例
(
れい
)
の
鏡臺
(
きやうだい
)
が
置
(
お
)
いてあつて、
鏡
(
かゞみ
)
の
表
(
おもて
)
が
夜中
(
よなか
)
丈
(
だけ
)
に
凄
(
すご
)
く
眼
(
め
)
に
應
(
こた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
警官の
土龍
(
もぐら
)
のような眼は、突き出る首とともに彼の後姿を追うていた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
霜はふる、
土龍
(
もぐら
)
の死にし
小徑
(
みち
)
に
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
土龍
(
もぐら
)
の毛のさみしい銀鼠
聖三稜玻璃:02 聖三稜玻璃
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
しかし、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
の身のまわりだけは、
常闇
(
とこやみ
)
だった。かれは、とんでもない
奈落
(
ならく
)
のそこに落ちて、
土龍
(
もぐら
)
のようにもがいていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎も角飛鳥山の一角を
禿
(
は
)
げチヨロにし、
三圍樣
(
みめぐり
)
樣の境内を
土龍
(
もぐら
)
の古戰場のやうにした上、今の神田宮本町、その頃の櫻の馬場を、大根島のやうに掘り荒したのも無理のないことです。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土龍
(
もぐら
)
のみち
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
平治の乱から二十年、
近衛河原
(
このえがわら
)
のこの邸に、
土龍
(
もぐら
)
のように住んで来た。——頼政はそう思う。土龍のようなと吾ながら思う。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生憎
(
あいにく
)
、そんなでつかい隙間もないし、床下の土には、
土龍
(
もぐら
)
の這つた跡もありません。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たずねたが、手を引くやいな、下の頼春は、別れの辞儀を見せたのみで、何もいわず、
土龍
(
もぐら
)
のように姿を消した。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「飛んでもない、穴を掘つて縛られた日には、日本中の
土龍
(
もぐら
)
は暮しが立たねえ」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
赤い秋草の根には、
土龍
(
もぐら
)
の掘りちらした土が乾き、民家の軒に干してある洗濯物のしずくがぽとぽと落ちていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとつの
土龍
(
もぐら
)
戦術ともいえるものだった。これは前例のない戦法でもなく、城壁を高く持つこと極端なほど堅固な中国では古くから行われている法である。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
土龍
(
もぐら
)
のように、地の底を掘りぬいて、地下道をすすみ敵前へ攻め出るという戦法である。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、蜀軍はわざと虚陣の油断を見せたり、弱兵を前に立てたり、日々工夫して、釣りだしを策してみたが、呉は
土龍
(
もぐら
)
のように、依然として陣地から一歩も出てこなかった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かほどな
堅塁
(
けんるい
)
が、さいごの
粘
(
ねば
)
りになって、こう急に敗れた原因は何かというと、寄手の
遮
(
しゃ
)
二無二な
土龍
(
もぐら
)
戦法が犠牲を無視して城中へ入ったのが、彼の致命を制したこと勿論だが、何よりは
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土龍
(
もぐら
)
のように首を
突
(
つ
)
っこみ、
積
(
つ
)
んであるワラ山へ
無我夢中
(
むがむちゅう
)
でもぐりこむ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人の足元から
荷行李
(
にごり
)
の積んである蔭へ
土龍
(
もぐら
)
抜けに隠れている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土龍
(
もぐら
)
のように、鉄門の蔭に、かがまっていた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵の
土龍
(
もぐら
)
作戦がだいぶ進んでいるのらしい。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
土龍
(
もぐら
)
のように、でようとしない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
土龍
(
もぐら
)
どもめ!」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
龍
部首:⿓
16画
“土龍”で始まる語句
土龍式
土龍除
土龍隊