)” の例文
「ついては……」と、清高はそこで、重々しく威儀づくったが、ごくとを呑む小心な体のこわさにもなりながら——「幕命でござれば」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを、沙金しゃきんが、かたわらからそっとささえた。十余人の盗人たちは、このことばを聞かないように、いずれもをのんで、身動きもしない。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「まあ、聞いて下さい。あなたの、その尊い口にもの涌くやうな話なのです。あの鍛冶屋町を知つてゐるでせう。」
(新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
いや、そんなことより、力餅ちからもちさへはぬ二人ふたりが、辨當べんたうのうまさうなのに、ごくりと一所いつしよをのんでおなかいてたまらない。……船頭おやぢさい糠鰊こぬかにしんで。……
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さりながら論語ろんごきて梅暦むめごよみ六韜三略りくとうさんりやくとする当世たうせい若檀那わかだんな気質かたぎれとは反対うらはらにて愈々いよ/\たのもしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
乞兒かたゐは人に小銅貨をねだり、麪包パンをば買はで氷水を飮めり。二つに割りたる大西瓜の肉赤くさね黒きは、いづれの店にもありき。これをおもへばきて堪へがたし。
道庵はグッとを呑み込んで
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
覚一は、針を並べたような眼で、しばらく、辺りの気配を、心の耳で聴いていたが、やがてを呑むような、小声をひそめ
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行処ゆきどこもございません、仕様が無いんでございますから、先生さえ、お見免みのがし下さいますれば、わたくしの外聞や、そんな事は。世間体なんぞ。」となかば云ってが乾く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
瞳が入ると、大勢が呼吸いきを詰めてをのんでいる、その大広間の天井へ、高く響いて……
そして乾いたお口のを待ってまた仰っしゃった。
上人しょうにん、読んでいましたのは御存じの雨月なんですが、私もなぜか自分の声に聞きれるほど、時々ぞッぞッとしちゃあその度に美しい冷い水を一雫ひとしずくずつ飲むようで、が涼しいんです。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「内の人が、」と声を出して、女房はんだ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふ、むねたきれ、かわいた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宗吉は、可憐あわれやゴクリとを呑んだ。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何と言おうと、黙ってむ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とごくりと
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
婆さんはをのんで
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お民はをのみ
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)