まじない)” の例文
此の観音様も段々繁昌して参り、お比丘さんにおきゅうえて貰えのおまじないをして貰いたいのといって頼みに来るから、私も何も知らないが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は夫婦仲好のまじないと云って誰でも探すと笑いつゝ、松にじ上り、松葉の二つい四本一頭にくくり合わされたのを探し出してくれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
由来、お寺の“逢曳あいびき”というものは、妙に秘かな春炎と妖情を増すものだった。釈迦しゃかおしえ華厳けごんまじない真言しんごんの秘密。それと本能が闘って燃える。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、火傷やけどまじないを教えましょう」といって、火傷の呪を教えてくれたそうで、その伝授に基いて、山崎家から「上の字」のお守を出していました。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
薬餌やくじまじない加持祈祷かじきとうと人の善いと言う程の事を為尽しつくして見たが、さてげんも見えず、次第々々に頼み少なに成て、ついに文三の事を言いじににはかなく成てしまう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
領主 (疑わしげに、その音楽家を眺め)その銀の竪琴に何かのまじないでも籠っていると云うのでござるかの。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
オーンこれをのろう。それからアルサンクタンの一族はクルムバ術師のまじないに害せられ、アルサイイル族の水牛は毎度虎に啖われ、かの時来なんだ諸樹はにがを結ぶと。
そこで私は何かいい水難けのまじないでもないかといろいろ考えた末庭の松の枝へ海水着の濡れたのを懸けて置こうかと思う、そして絶えず女中に水をかけさせて置くのだ
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
私はこの実が大きくて堅いことから、あるいは稲の豊熟のまじないに使われたかとも想像する。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まるでまじないみたような事をしていた。その三四郎にとって、こういう紳士的な学生親睦会しんぼくかいは珍しい。喜んでナイフとフォークを動かしていた。そのあいだにはビールをさかんに飲んだ。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おまえの髪としっかり結びあわ喼喼きゅうきゅう如律令にょりつりょうとなえて谷川に流しすてるがよいとの事、憎や老嫗としよりの癖に我をなぶらるゝとはしりながら、貴君あなた御足おんあし止度とめたさ故に良事よいことおしられしようおぼえ馬鹿気ばかげたるまじない
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
炮烙を捨つるは頭痛を直すまじない、火吹竹はおこりの呪とかいへどたしかならず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
先ず四大しだいまじないがいる。
ブランダ人虎を制するまじないを二つスキートおよびプラグデンの『巫来半島異教民種篇ペーガン・レーセス・オヴ・ゼ・マレー・ペニンシュラ』に載せた
これを証真寺というは、疑獄の真偽をたださんため本人を池に投ずるに、その言真なれば鱷これをゆるし偽なれば必ず噉う。偽言の輩僧に賄賂してまじないもて鱷を制しおのれわざらしむと。