トップ
>
取着
>
とッつき
ふりがな文庫
“
取着
(
とッつき
)” の例文
「は、」と、
頷
(
うなず
)
くと
斉
(
ひと
)
しく門を開けて
透
(
すか
)
して見る、と
取着
(
とッつき
)
が白木の新しい格子戸、
引込
(
ひっこ
)
んで奥深く門から敷石が敷いてある。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真鍮
(
しんちゅう
)
の首環をがちゃがちゃと鳴らして、さらさらと畳を渡り、蝶吉の
裾
(
すそ
)
を
掠
(
かす
)
めて、
取着
(
とッつき
)
の
階子段
(
はしごだん
)
へ、矢のごとく
駈
(
か
)
け
上
(
あが
)
った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……くどいと
不可
(
いけな
)
い。道具だてはしないが、
硝子戸
(
がらすど
)
を引きめぐらした、いいかげんハイカラな雑貨店が、細道にかかる
取着
(
とッつき
)
の角にあった。私は靴だ。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
件
(
くだん
)
の次の
明室
(
あきま
)
を越すと、
取着
(
とッつき
)
が板戸になって、その台所を越した処に、松という
仲働
(
なかばたらき
)
、お三と、もう一人女中が三人。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その段を昇り切ると、
取着
(
とッつき
)
に
一室
(
ひとま
)
、新しく
建増
(
たてま
)
したと見えて、
襖
(
ふすま
)
がない、白い
床
(
ゆか
)
へ、月影が
溌
(
ぱっ
)
と射した。両側の部屋は皆
陰々
(
いんいん
)
と
灯
(
ともし
)
を置いて、
鎮
(
しずま
)
り返った
夜半
(
よなか
)
の事です。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
で、上靴を
穿
(
は
)
かせて、つるつるする広い
取着
(
とッつき
)
の二階へ導いたのであるが、そこから、も一ツつかつかと
階子段
(
はしごだん
)
を
上
(
あが
)
って
行
(
ゆ
)
くので、
連
(
つれ
)
の男は一段踏掛けながら
慌
(
あわただ
)
しく云った。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小さな帳場格子の内から
衝
(
つ
)
と浴衣の
装
(
なり
)
で立つと
斉
(
ひと
)
しく、
取着
(
とッつき
)
に
箪笥
(
たんす
)
のほのめく次の間の
隔
(
へだて
)
の
葭簀
(
よしず
)
を
蓮葉
(
はすは
)
にすらりと引開けて、ずっと入ると暗くて涼しそうな中へ、姿は消えたが
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに
框
(
かまち
)
の
取着
(
とッつき
)
の柱に
凭
(
もた
)
れた
浅黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
此方
(
こっち
)
を見向く、うら
少
(
わかい
)
のと
面
(
おもて
)
を合わせた。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取着
(
とッつき
)
の壁が残って、戸棚が
真紅
(
まっか
)
、まるで
緋
(
ひ
)
の
毛氈
(
もうせん
)
を掛けたような棚を釣った上と下、一杯になって燃えてるのを私あお宅を行き抜けにお出入の
合
(
かな
)
ったお
庇
(
かげ
)
にゃ、要害は知ってまさ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麓
(
ふもと
)
から
上
(
あが
)
ろうとする坂の下の
取着
(
とッつき
)
の
処
(
ところ
)
にも
一本
(
ひともと
)
見事なのがあって、
山中心得
(
さんちゅうこころえ
)
の
条々
(
じょうじょう
)
を記した
禁札
(
きんさつ
)
と
一所
(
いっしょ
)
に、たしか「
浅葱桜
(
あさぎざくら
)
」という札が建っていた。けれども、それのみには限らない。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片山津
(
かたやまづ
)
(加賀)の温泉宿、半月館
弓野屋
(
ゆんのや
)
の二階——だけれど、広い
階子段
(
はしごだん
)
が途中で一段大きく
蜿
(
うね
)
ってS形に昇るので三階ぐらいに高い——
取着
(
とッつき
)
の
扉
(
ドア
)
を開けて、一人旅の、三十ばかりの客が
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう少し辛抱おしと、話しながら四五町、土橋を渡って、
榎
(
えのき
)
と柳で暗くなると、
家
(
うち
)
があります。その
取着
(
とッつき
)
らしいのの表戸を、きしきし、その若い人がやるけれど、開きますまい、あきません。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暑さの
取着
(
とッつき
)
の晩方頃で、いつものように遊びに行って、人が
天窓
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でてやったものを、
業畜
(
ごうちく
)
、
悪巫山戯
(
わるふざけ
)
をして、キッキッと歯を
剥
(
む
)
いて、
引掻
(
ひっか
)
きそうな剣幕をするから、
吃驚
(
びっくり
)
して
飛退
(
とびの
)
こうとすると
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“取着”で始まる語句
取着手
取着端