取添とりそ)” の例文
……とほりの花屋はなや花政はなまさでは、きかないぢいさんが、捻鉢卷ねぢはちまきで、お月見つきみのすゝき、紫苑しをん女郎花をみなへし取添とりそへて、おいでなせえと、やつてた。みづもいさぎよい。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あたゝまるやうにとふてれしときありし、なつかしきは其昔そのむかし、有難ありがたきはいま奧樣おくさまなさけと、平常へいぜい世話せわりぬることさへ取添とりそへて、いかかたもすぼまるばかりかしこまりてるさまを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
前倒まへたふしにげて、ひし美女たをやめすがると、りもはらはず取添とりそへて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をとこにてもあれかしと敢果はかなきことうらなひて、表面うわべ無情つれなくつくれども、子安こやすのおまもなにくれと、ひとよりきてことそのまゝ、不案内ふあんないをとこなれば間違まちがひだらけ取添とりそへて、美尾みをはゝ萬端ばんたんたのめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かたわら青芒あおすすき一叢ひとむら生茂おいしげり、桔梗ききょう早咲はやざきの花が二、三輪、ただ初々ういういしく咲いたのを、つぼみと一枝、三筋ばかり青芒を取添とりそえて、竹筒たけづつに挿して、のっしりとした腰つきで、井戸から撥釣瓶はねつるべでざぶりと汲上くみあ
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)