印象いんしょう)” の例文
あるいはなんの思想をもいだかずに世渡りをする者に対しては、はなはだ面白からぬ印象いんしょうを与えるがために、とかく彼此ひしの批評を受けたり、あるいは
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかし、それらは、べつにこころふか印象いんしょうをとどめなかったけれど、ただひとつ、わすれられないものがあった。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどそれもこれもみんなわたしの記憶きおくの中でこんがらがって、ぼやけてしまっているが、そののちほどなく、ひじょうに強い印象いんしょうをあたえた景色けしきあらわれた。
呂昇が彼美しい声で語り出す美しい女性にょしょうたましいは、舞台のノラを見たり机の上の青鞜せいとうを読んだりする娘達に、如何様どん印象いんしょうを与うるであろうか。余は見廻わした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
人と森との原始的げんしてき交渉こうしょうで、自然しぜん順違じゅんい二面にめんが農民にあたえたながい間の印象いんしょうです。森が子供こどもらや農具のうぐをかくすたびに、みんなは「さがしに行くぞお」とさけび、森は「お」と答えました。
主人は以上いじょうの話を総合そうごうしてみて、残酷ざんこく悲惨ひさん印象いんしょうを自分の脳裏のうりきんじえない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
幸吉の訴人そにんの件で、山城守は八丁堀へ顔向けが出来なくなったから、どうも筆屋はしからぬという印象いんしょうを与えて、この話も、筆屋が楽観しているほどは、スラスラと運びそうもないのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
第一印象いんしょうがわるかったので、太夫たゆうの人気はさんざんである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
単に男というときは、ただちに男らしいとかあるいは剛毅ごうきとか、あるいは大胆不敵だいたんふてき、あるいは果断かだん勇猛ゆうもう、あるいは任侠にんきょうというような一種の印象いんしょう惹起じゃっきす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
これがわたしの見た小さな谷の景色けしきであった——その後ずいぶんわったが——それでもわたしの受けた印象いんしょうはあざやかに記憶きおくのこっていて、ついきのうきょうのように思われる。
にうずもれた、きのこのように、利助りすけ作品さくひんは、あらわれませんでした。そしてうすあおい、遠山えんざんほどの印象いんしょうすらもその時代じだいひとたちにはのこさずに、さびしく利助りすけってしまいました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
強い印象いんしょうに残ってるのだ。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
私は花が好きですといっても、聞く人によりてはこれを悪意に解し、華美を好むという印象いんしょうを受けるものもあり、はなはだしきはものいう花と早合点はやがてんする人さえある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
最後さいごまで、だまっていた父親ちちおやや、おどそうとしたわかおとこかおは、三にんにいつまでものこっていて、不快ふかいかんじがしたけれど、小西こにしからは、まったくそれと反対はんたいな、こころよ印象いんしょうけたのであります。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)